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ガウディの足跡5 カサ・カルヴェ

Casa Calvet

時期◼️1898-1900  ガウディ46-48歳

場所◼️ カスプ通り48 Carrer de Casp, 48, 08010 Barcelona

現在◼️個人住宅 玄関ホールと1階レストラン部分のみ内部を見学可能

 

繊維工場を経営する新興ブルジョワ、ペトロ・カルヴェットの邸宅。

ガウディがセルダ都市計画に沿った新市街に初めて建てた建築で、1899年に開催された第一回バルセロナ市建築年間賞を受賞しました。

周囲の建物との調和をとるために、ガウディの作品にしては地味なバロック様式の外観となっているけれど、その細かい装飾からは他の建築とは一線を画したガウディの個性を感じとることができます。内部には家具や細かな金具など随所にガウディらしい奇抜な造形が試みられています。

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第一回バルセロナ市建築年間賞の審査会は、

「内部、外部、また数多くのディテイルにおいて、作者の思考形式を明確に定義するきわめて個性的な輪郭線をもっている」と評しました。25年ほど前の現地資料の日本語訳なので小難しい表現だけど、

「周りに調和して見えるけど、実はとても個性的な建物に仕上がっている」という感じだろうか。

その評価の通り、ファサードの彫刻、バルコニーなど細かい部分でガウディらしい独創的な装飾でこの建物は飾られている。

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カサ・カルヴェを手がけた時、ガウディは40代後半。
建築学校を一緒に卒業していった他の建築家達はもうずっと以前から新市街に作品を建てている。

彼らに比べればガウディの表面的な出世(=新市街に作品を建てる)はずいぶんと遅いといえるけど、この時すでにガウディはサグラダファミリアの建築家として知られるようにもなり、サグラダファミリアカタルーニャのモニュメントとも見られるようになっていたことから、ガウディは国民的な建築家として広く知られるようになりつつあった。

 

一方でガウディの作品は独創的なものが多く、話題にもなるが常に批判とも背中合わせというのが当時の世間の反応だった。世間にとっては当時はまだ、建築学校の校長が卒業式でガウディを評して放った「天才なのかキチガイなのかはわからない」という状態が続いていたのだろうと思う。

 

カサ・カルヴェでは第一回バルセロナ市建築年間賞を受賞している。実際に見てみても、とてもいい建物なのだけど、ガウディ本人はこの仕事を、この受賞をどう感じただろうか?

カサ・カルヴェの前に手がけたグエル邸では施主であるグエルが施主寄りの設計は却下して、ガウディの創造力を存分に発揮させた。

逆にカサ・カルヴェでは施主寄りの設計としたのではないだろうか。結果、随所にガウディらしさはあるものの、全般的には周囲と調和した世間受けの良いものが完成して、受賞もした。

でも、ガウディにとってこの仕事は消化不良だったのではないかと思う。その後に続くカサ・バトリョカサ・ミラを見て、実際にカサ・カルヴェを目の前にするとガウディの鬱憤が伝わってくるような気持ちになった。

 

***ガウディと僕 

カサ・カルヴェが完成した時、ガウディは48歳。

48歳の僕は仕事に全精力のほとんどをつぎ込んでしまった。仕事での成果は上げることができたけど子供達が参ってしまった。仕事に集中するあまり家庭の父親の顔をなくしてしまったようだ。これを反省して49歳の年、思い切って地位も仕事も捨てて長い休みを取ることにした。僕にとって48歳はとても重要な歳だった。

 

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