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旅行の記憶と何気ない日常を

イギリス小話 〜ネッシーに会いに

違和感とともに過ごしたオックスフォードを後に、僕はネッシーに会うために、ロンドンから夜行列車でスコットランドインバネスまで行くことにした。

海外で初めての夜行列車。週末だったこともあってか、駅の窓口で寝台のチケットを買おうと思ったのだけど、すでに満席。椅子席、2等の自由席で行くことにした。そうしたのだけど、列車をのぞいてみると、席は満席、通路すらも人や自転車でいっぱいの状態だった。インバネスまで約7−8時間、この出入り口のドアに寄りかかって過ごすしかなかった。

当時のイギリス国鉄の車両は90%の車両のドアがなんと手動開閉。これは技術的に遅れてたというより、伝統からだそうで、さらに特急でも何でも、外側にしかドアノブがない。馬車文化の名残だそうで、外からドアを開けてもらうか、中からドアの窓から外に手を出し取っ手を回してドアを開ける。馬車の伝統が不思議な形で鉄道の中に残っていた。

僕はそのドアに内側から寄りかかって寝ていたのだけど、何度か夜中の途中駅で人が乗り込む時、ドアが開き、その都度外に転がり落ちそうになった。まあ、酷い夜だった。

スコットランドを走る列車はとても爽やかな空気と緑の中だった。緑が昨日までいたイングランドより深かった。

ようやくインバネスについて、まず宿を確保する。一人旅も慣れてくると、とにかく飛び込みで部屋を探したが、まだこの当時はちゃんとツーリストインフォメーションで宿を探してもらってた。手頃なB&B(Bed & Breakfast、今日本でいう民泊?)を見つけてもらい、荷物を置いて出かける。

インバネスはInver-nessと書き「ネス川のほとり」という意味。ネス湖と同じ名前の川のほとり、ネス湖への入り口の街。ネス湖観光の拠点でもある。

僕は小さなバスツアーに申し込んだ。

8人くらいのバスツアーで、スペイン人、ドイツ人、オランダ人のカップルやらグループがいる中、東洋人一人で参加。

小さなバスに揺られ山の奥へ抜けて行くと、ついにネス湖が現れた。

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天気はどんより、とても静かな水面、とても透明な神秘的な佇まいは怪物ネッシーが出てきそうな雰囲気も満点。でも朝のこのネス湖は綺麗だったな。僕たちはここでネス湖の水を飲んだ。透き通った湖の水はとても美味しかった。

 

ここネス湖は昔から怪物目撃の記録がある。古くは565年のアイルランドの聖職者のネッシー発見に始まり、実しやかに怪物目撃の噂が囁かれ続けていました。そして、1933年にあの写真の登場で、ネッシーは世界的にメジャーな存在となるわけです。

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カメラの普及とともに、ネッシー出現写真も世の中を賑わすようになっていったのでした。近年科学的な調査も行われたりもしたが、謎は謎のまま。ネス湖の謎の怪物ネッシーの存在は1500年もの間人々にロマンのようなものを提供し続けてきたわけです。

1993年にこの写真がトリックだったことが公表されたけど、ネッシーに惹きつけられる世の中の人々にとってネッシーが本当かどうか、多分それは大した問題ではなく、もし「実在する」が真実だとしても白黒はっきりしてしまうと、その魅力は消えて無くなってしまうような気がする。永遠のミステリーであることでネッシーの魅力は輝きを増すのだと思う。

 

朝の曇った空のもと神秘的な景色と打って変わって、昼頃には晴れ間がのぞいた。空が変わるとここまで印象も違うものかと驚いたのだけど、怪物が登場しそうな朝とスッキリとても爽やで緑も水も鮮やかな昼とこれが同じネス湖の姿なのだ。

全長40kmもある細長いネス湖の中腹にこのアーカート(Urquhart)城があります。

今は廃墟となって、神秘的なネス湖の景色のとても良いアクセントとなっています。

僕はこの景色がとても好きです。

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 中世に要塞としてここに立ち、13世紀以降で城に改築された。スコットランド独立戦争の舞台にもなった歴史的にも重要なお城。多分この姿は今も変わってないんだろうな。

 

スコットランドの世界最大のミステリーの聖地、スコットランド独立を勝ち取ろうと戦った城、その前でのスコットランド伝統の楽器が鳴り響く。

昨日の晩の夜行列車はほとんど眠れず体も痛い。ネッシーには会えなかった。でもネッシーがいそうなことはわかった。スコットランドの自然も素晴らしかった。

 

 

P.S.

スコットランドを歩いていると、観光地ではかなりの確率でバグパイパーに会います。

この時初めて、生のバグパイプの演奏を聴いたのだけど、すごい迫力だった。1音でずーっとなり続ける低音、そこに単純だけど勇壮なでも、哀愁の漂うメロディを綴る高音。あとで知ったことだけど、このバグパイプは世界で一番大きな音が出る楽器だそうで、どうりで胸に響いたわけだ。

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ネッシーはいることにする

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