エジプトの人たちはどんな人々だったのだろう。
豪華絢爛のファラオの副葬品、ラムセス2世の巨像、ピラミッド。。。どれも桁違いの遺跡や遺物に目が行きがちになるけれど、所々でなんというかエジプト人の本質が垣間見られるような気がするんです。
心が和むエジプト人の本質とは。
家族愛にあると思った次第。
上の写真はエジプト考古学博物館の図録から引用の「小人のセネブとその家族」。セネブは身体的なハンデを物ともせず、ファラオの友人、宮廷の監督官、葬祭殿の神官も努めた成功者。セネブの4500年前の家族の姿です。
奥さんがそっとセネブの腕に手を添えてとても仲睦まじい様子がわかります。そして足元には楽しそうな二人の子供の姿。エジプトにはこの他にも幸せな家族を表す像や絵が存在しています。
若くしてファラオになり、暗殺されたツタンカーメンの椅子にはツタンカーメンと仲睦まじく寄り添う妻の姿が描かれています。
テーベの神殿にはファラオの巨像の足元にちょこんと王妃がいたりして、エジプトではファラオから一般の市民まで家族の姿を残そうとした人が大勢いたのです。
家族を愛して、それを公然に示すことが吉とされた、古代エジプトとはそういう社会だった、そんな想像が膨らみます。
それぞれが人間らしく、ファラオも王妃も神官達も、一般市民達、職人達も、そして盗掘者すらも、それぞれの立場や境遇で、それぞぞれが信じるやり方で、人間らしく人生を生きて、愛しい家族とともに現生を過ごし、永遠の来世を信じて死の旅立ちを受け入れる。
死者の書、ミイラ、ピラミッド、王家の谷、テーベの遺跡達、なんだか僕がエジプトで見てきた全てが繋がったような気がします。