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旅行の記憶と何気ない日常を

ヨーロッパ旅行の今昔 2 〜飛行機編

今も昔も直行便で12時間。ヨーロッパまでの時間はあまり変わっていない。

今と昔、飛行機で大きく変わったことといえば、タバコとプライベートモニタとリコンファームだろうか?

 

まずは、最大の変化「タバコ」。これは飛行機に限らず、世界的な禁煙の流れに沿って、飛行機も90年代後半には大半の航空会社が全面禁煙にしたと記憶している。

その昔、1990年代前半は今と違って飛行機には喫煙席があった。座席ごとに灰皿があって喫煙エリアはタバコの煙でモヤモヤだった。一応エリアを区切って禁煙席があったけど、実質カーテンで仕切られているだけなのでタバコの匂いが相当回っていただろう。当時は僕も喫煙者だったので何も感じてなかったけれど、タバコをやめて20年、10m先の喫煙者の煙が嫌でたまらなくなった今、もしあの禁煙席に座らされたら、とても我慢できなかったと思う、その前に飛行機に乗れないだろう。当時は喫煙者以外にとってはただただ迷惑な話だったと思う。

 

次にプライベートモニタ

1990年代後半くらいから徐々にエコノミーにも各座席ごとにモニターが付き始め、映画もゲームもドラマも見放題になった。最初は小さな、画質もよくないモニターだったけど、最近は10inchくらいの大きなモニタがついたエコノミークラスもよく見かけるようになった。

その昔、基本的に座席に個別のモニターはない(だって液晶モニターなんてなかったのだから)。映画上映はあったけど作品を選ぶことはできず、さらに決められた時間に上映された。画面はというと、機内区画を分ける壁のスクリーンに当時の画質の悪い大きなプロジェクターで投影。だからまず映画の好みが合うかどうかの問題がそもそもあって、次にスクリーンが見えるかという問題がでる。機内のスクリーンは小さく、席によって見える見えないの様子が随分変わる。というか大半の席はまともに見ることはできなかったと思う。それに、見たい映画じゃなかったり、見たい映画でも見えなかったりする時も、機内は強制的に暗くされてしまう。窓のシェードは閉められ、消灯状態となる。そうしないと性能の悪かったプロジェクタではまともに映画を写すことができなかったから。「映画がつまらないから、窓の外の景色を見よう」なんてことが許されなかったのです。

その昔の「機内エンターテインメント」環境は「楽しめる」というものではなかったように思う。

でも当時も12時間以上のフライトが辛いと感じたことはなかった。1人で何して過ごしていたのか、あまり覚えてないのだけれど。

今でも時々航空会社によって、または外国のローカル線に乗ると、あと最近で言えばLCCを利用するとモニタのない機体に遭遇する。そんな時も今なら、自分のiPadで映画を楽しめる。iPad, iPhoneがあるのでまず退屈することはない。機内インターネットなんてサービスもあるから、プライベートモニタの時代は次の段階へ移りつつあるのかもしれない。

 

もう一つ当時と今で大きく違うことがある。「リコンファーム」。当時あまり理由を考えた事はなかったけど、帰りの便の出発2日前くらいに航空会社に連絡して予約確認をしなければいけないというルールがあった。これをしなかったらどうなったのか、試した事はなかったけど、予約が取り消されて帰れなくなるとかいう話だったような気がする。

その昔、旅行先で帰りの便のリコンファームのために恐る恐る電話したのを覚えているけど、このまどろっこしいのもいつの間にか必要なくなった。正確には必要なくなった航空会社が増えたということらしいのだけど、最近僕がよく利用する航空会社は必要ないし、周りに聞いてもリコンファームの話は聞かなくなった。

 

冒頭にフライト時間は変わらないと書いたけど、1970年代から90年代にかけて、「コンコルド」という超音速旅客機が登場して、空の旅の高速化が進みかけた時期もあった。僕は2度ほど実物を見たことがあるけれど、とても美しい、かっこいい飛行機で思った以上に小さな機体だった。マッハ2.2で飛んだから、東京からヨーロッパまで6時間ほどで飛べたのではないか?

でも環境問題と採算性へ時代が流れていき、それに逆行していたコンコルドは2000年代に入ってすぐ姿を消した。時代の流れからは外れてしまったけど、一度乗ってみたかった。

そのコンコルドとは真逆の話が、僕の最初の海外旅行のフライトだった。

初めてのヨーロッパへのフライトはマレーシアのクアラルンプール経由、南回りで20時間以上かかる予定だった。でも、実際はトラブル続発でロンドン到着までに48時間もかかった。

まず、成田から飛行機が飛ばない。3時間くらい遅れて別の航空会社で振替、シンガポールチャンギ空港経由でクアラルンプール着、なんとか乗り継ぎ便に間に合う時間にクアラルンプールに着いたのに、今度はクアラルンプールからの飛行機がトラブルで飛ばず、結局丸1日、言葉も通じないマレーシアの空港で足止めとなってしまった。現在のクアラルンプール空港と違い、当時の空港はとてもローカル、とても時間潰しに苦労したのを覚えている。そんなわけでロンドン到着も1日遅れとなった。ロンドン着までに家を出てからかれこれ48時間以上かかってしまった。初の飛行機、初の国際線、初めての海外旅行でこれは結構大変でした。でも最初がこれだったので、その後、何が起きても動じない心が鍛えられましたね。

 

 時間が流れていろいろな変化が起きているけど、便利に変わっていくものもある、変わらないものもある、変わって欲しくないものもある。

喫煙席がなくなって、リコンファームもなくなって、便利に快適になった。

プライベートモニタは今後はどうなっていくだろう?iPhoneiPadの普及でなくなっていく、少なくなっていくのかもしれない。

変わらないものといえば、エコノミークラスの食事、窓の大きさ、エコノミーの席の狭さ。今では仕事で飛行機に乗ることがほとんどだけど、エコノミーに乗るたび、あの狭さ、食事のコンパクトさを感じるたびに、昔の楽しかった旅の記憶が蘇るので、僕はこれらは変わらないで欲しいような、でも変わって欲しいような、ちょっと複雑な気持ちになるのです。

 

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