ノイシュバンシュタイン城のあるアルプスにつながる険しい山々が連なる側と対照的に、下の写真を撮った場所、こちらはひたすら平坦な牧草地が広がって、湖が点在します。ホーエンシュバンガウの村とノイシュバンシュタイン城は、ちょうど山々と平原の境にあるのがわかります。
平原は広大な牧草地となっているので、のんびり歩いていると所々で放牧された牛たちと出会います。
その牧草地帯を縫うようにサイクリング、ハイキングコースが作られているので、長期滞在の人々が散歩したり、サイクリングしたり、そんな人たちとも遭遇します。
こんなふうに広大な緑のなかを小鳥のさえずりを聞きながらのんびり歩き、ふと振り返ると山々、その中腹に白亜のノイシュバンシュタイン城、こんな贅沢な場所がほかにあるだろうか、と「心洗われる」気持ちになるのです。
その平原の真ん中にちょこんと、小さな教会が建っています。その名をセント・コロマン教会(St. Coloman)という、こじんまりした、これもまた景色に溶けるような教会があるのです。
牛も礼拝に訪れそうな、のどかな教会です。
下の写真はテーゲルベルクの山の上から眺める教会とその周辺で、真ん中ちょっと右の白い点がセント・コロマン教会です。その教会は周りには何もないのがよくわかります。なんでこんな場所に教会が建っているのか?
セント・コロマン教会は聖人コロマンに捧げ、あやかる教会です。
聖コロマンは元々は11世期のアイルランドの王子でした。聖地エルサレムへの巡礼の途中、オーストリアでスパイの疑いをかけられ捕らえられ、処刑されてしまいます。しかしその死後にコロマンの遺体やその墓で多くの奇跡が起きたことによって「聖人」として崇拝されることになりました。
聖コロマンは旅人の守護聖人であり、暴風雨や火災などの災害、頭や足の病気、ペストから人々を守ると言われています。また、牛の守護聖人でもあるので、シュバンガウの牛たちもこの教会に礼拝に訪れているのかもしれません。
セント・コロマン教会があるこの場所は、11世紀に聖コロマンが巡礼途中に休みをとったと言われる場所で、そこにできた野外礼拝堂がこの教会の起源です。その後17世紀に巡礼教会として今の姿になりました。
広がる緑の大地の中、ひっそり建つこの教会はとても絵になります。
ノイシュバンシュタイン城を背景にしたこの風景はホーエンシュバンガウに来たら、ぜひ見ておきたい一枚の絵のような姿です。