cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

ホーエンシュバンガウ小話5 〜食事

僕の貧乏旅行では優先順位がいくつかあって、その中で「食事」はかなり下にランクされていました。今思えば現地の料理をあまり食べなかったなんて「なんて勿体無い」と思うのだけど、当時の僕は食事にかける時間があるくらいならその分、好きな場所に長くいるとか、知らない場所をもっと歩くとか、食欲より体験欲というか、知らない場所の開拓欲というか、そういうものの方が圧倒的に勝っていたのでした。

そんなわけでこの時のドイツの食事もソーセージスタンドで済ますとか、サンドイッチ的なもので適当に済ましていたのですが、時々それができずに仕方なく(?)しっかりとした夕食を取る場合もあり、ホテル・ミュラーに滞在した夜がちょうどそんな状況となったのです。

 

その日、夕方はあっという間にゴーストタウン化するホーエンシュバンガウで「外で軽く」の食糧を買い損ねてしまった僕は途方に暮れていたのでした。このまま何も食べずに朝まで過ごすか。。。でも、その日は朝からシュバンガウの平原を歩き、山を歩き1日過ごして腹ペコ状態。外はどこもやってないけど、ホテルのレストランなら開いている。でもホテルのレストランなんて。。。としばらく悶々と過ごしていたのですが最後に空腹に負けた。

ホテル・ミュラーのレストランは確か庭に面したテラスがあって、村の夜と同じく照明を暗く抑えた、落ち着いた雰囲気を醸していました。

お客はこれまた夜の村と同じくまばらな感じ。旅行先で食事をする時、英語のメニューでもわからない単語も多くて、知らない言葉だと尚更未知の世界が待っている。ウェイター、ウェイトレスに聞いてから頼む時もあるし、とにかく何が来るかわからないけど、頼んでみることもある。アルルでの食事のように気さくなウェイターがいるとまた楽しい。

この時は、比較的わかりやすいメニューだったような気がする。

頼んだのは。。。。

スープとパン、前菜はなんだったっけ?メインは川魚のソテー、ザワークラウト洋梨がのったプレート。

アルプ湖で取れた白身魚のソテーは淡白だけど肉厚で美味しかった。そして初めて食べたザワークラウト。言ってみればキャベツの漬物、でもこの少し酸っぱい感じのキャベツの漬物、これがまた美味しくて僕はハマってしまった。今でも時々瓶のザワークラウトを買う。でも、この時の味に勝るものはなかなかない。茹でた野菜も少しついてたかな。一通りを満喫して食べ終わり、いよいよデザートの洋梨にかかる。

丸々したとても美味しそうな切身が4つくらい並んでる。薄暗い落ち着いた雰囲気のホテルのレストランでなんて贅沢してるんだろう、と幸せな気持ちで、洋梨の切身を一つかじってみた。あれ?なんだこれは。。。。

 

ホクホクするこの食感、これはじゃがいもだ。

薄暗くてわかりづらかったというのと、あの時ちょうど洋梨を食べたかったんだろうな。白くて丸くて肌艶が洋梨のように見えたけど、とにかくじゃがいもだった。

みずみずしく甘いトロッとした食感の洋梨だと思って、食べたものがホクホクのジャガイモだった時の驚きは、それはそれはすごいものでした。とても文字だけでは伝えられない。。。

しかも、このじゃがいもは、おそらくザワークラウトと一緒に食べると、おいしく食べられるように、びっくりするほど味がない。。。

デザートを食べ損ねた?がっかり感と、最後に味のないジャガイモ4切れを食べる寂しさと、ザワークラウトと食べたら美味しかっただろうなーという残念さと。

色々な気持ちが入り混じりながら、その日の食事は満足したような、不完全燃焼のような感じに終わったのでした。

 

初めてのホーエンシュバンガウのホテルミュラーのレストランでの出来事。洋梨は食べられなかったけど、懐かしい思い出です。

 

P.S.先日渋谷で、とても久しぶりにドイツ料理を食べました。なんかすごく口に合うというか、美味しかった。でもザワークラウトは、ホテルミュラーの味には届かなかったな。

 

 

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