cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

子供たちへ〜 雛人形のお話

娘が生まれて初めての雛祭りに備えて、雛人形を選びに行った時のお話です。

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長女が7月に生まれて以来、僕の生活は一変した。何はともあれ娘中心の毎日は大変だけど、楽しく、以前にもまして1日があっという間に過ぎていく。

今日で満7ヶ月、ただ、泣いて、飲んで、寝てしかできなかったのに、いまでは「はいはい」の一歩手前、おなかを床につけ、手をかいて、サーフィンのパドリングのように動き回れるようになった。つまり、ますます目が離せなくなった。女の子だけど、わんぱく盛り。元気で見ていて気持ちよい。

ちょっと気の早い話ではあるけれど、ひな祭りの雛人形を見に行きました。というのも、おばあちゃんが雛人形を買ってくれるというので隣街の「人形の街」岩槻に出かけたのでした。

車で岩槻市に入ると人形のお店がどっと増える。右も左もちょっと進むと人形店が点在する。そして駅に近づくにつれてその密度はさらに濃くなり、人形の店だらけとなる。こんなに人形の店ばかり並ぶのは人形の街岩槻ならではの風景でしょう。

ふだんはどうかわからないけど、どこのお店にはいっても雛人形がずらりと並び、両親、若夫婦、孫の組み合わせのお客が所狭しとならぶ雛人形を前にあーでもない、こーでもないと眺めている。
「気の早い話・・・」と切り出したけれど、雛人形的には気が早いどころか、いまがまさに雛人形の季節だった。というのも人形屋さんによれば初節句は「早く出して長く飾る」が基本だそうで、日のよい日には店の中が渋滞するほど人が集まるという。

 

さて、雛人形はといえば、当たり前だけどいろいろな種類がありました。
昔ながらの赤い布がしかれた7段飾りから、お内裏様とお雛様だけの親王飾り、箱のふたを開けるとそのままお飾り完了という「収納雛」なるものなど。

最近のトレンドは木製の家具調ひな壇に飾られた3段飾りというものらしく、店においてあるほとんどがそのタイプだったように思う。そして、本来の主役である人形。こちらも顔がそれぞれ特徴があり、平安顔、京顔、おぼこなど、そして、衣装も天皇陛下が着たもの同じものとか、ベルギーのゴブラン織りのものとか、デザイン・スタイルほんとうにいろいろなものがあるのだと関心しきり。
やはり、お高いお人形は、顔が、着物が素敵であり、それは当然、やはりお値段相当なものだな、と感じる。人形を見始めた最初は安くて、場所をとらない簡単なものでいいと思っていたのだが、いろいろ見ると、この子の孫の代まで通用するものを。。。などと、親ばか心が顔を出す。この子が大きくなってから「いいな」と思えるものを選べるといいなあ。

 

人形の街岩槻も、この数年で人形のお店がずいぶん少なくなったという。結婚式とお葬式、孫のイベントは不景気知らずと思いきや、時代に合わせて人の好みも変わってきているようで、こういった人生のイベント事も世の中の流れと一緒に変化している。この人形の街にもその流れに飲まれているのか、流れに乗れなかったお店はなくなっていったのかもしれない。
こういった伝統産業が衰退してしまうのはとても残念。せっかく身近にある伝統、日本の文化なのだから、もっともっと大切に守りたいものだ。

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あれからあっという間に13年。岩槻の人形の街はどうなってしまっただろう。

長女はあの時の元気がそのまま続いて、今では部活に勤しむ中学生になりました。この後また13年も経った頃には、もう長女は独立して家にはいないかもしれないな。そう考えると、子供たちと過ごせる時間というのはあっという間だ。

雛祭りが近づくといつも、雛人形を選びに岩槻の街に行った時のことと、初節句の晴れ舞台に、僕が娘の前髪切りすぎてチンチクリンにしてしまったことを思い出します。

長女よ、あの時はごめん。

 

 

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