cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

スイスへ インターラーケン

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ブリュッセルからの夜行列車は午前4時にフランスとスイスの国境の街、バーゼルに到着しました。

これからスイスアルプスに向かうために、外はまだ真っ暗で本当のところまだ動きたくない時間なのだけど、ここで列車を乗り換えなければならない。うっすら電灯がともされているバーゼルの駅で、パスポートを遠目に見せて通るだけのカタチばかりの入国審査を済ませ、5つほど向こうのホームへ向かう。そこにはベルン行きの列車が待っていました。今さっきまで乗っていた列車から寝台車が切り離され、次の行き先であるベルンへの列車に連結されようとしているのが見えました。実は昨夜はお金等もろもろの事情でクシェットにも寝台車に乗れず、座席で一晩過ごすことになって、今眠い目をこすりながらホームを歩いている。クシェットか寝台に乗っていれば、そのまま車両ごと列車を移動して、ただ寝ているうちにベルンまでは行けたのにと、寝台車の客を羨みながらその列車に乗り込んだ。バーゼルからベルンまではほとんどウトウト過ごしていたのだけど、気がついたら外はうっすら明るくなっていました。


 スイスでの一番の心配は天気でした。アルプスで壮大な山々を眺めながらのハイキングが目的だったので天気が悪いと台無しになってしまう。しかしベルンへ行く途中、空を眺めると雲が厚く立ちこめている。地面を見るとついさっきまで降っていたらしい雨の後が残っていて、雨で増水したらしい川はごうごうとすごい勢いで流れていた。

空の高いところの厚い雲とは別に、木立の高さほどの低いところに、本当に手に届きそうな距離に雲が漂っていました。朝の木々の深い緑と白い低い雲のコントラスト、ゆっくり漂う雲の様子は幻想的で、天気が悪いのを少し忘れさせてくれる光景が車窓を流れて行ったのでした。

列車が進むにつれて、少しずつ雲が切れ始めた。

雲間からは青空が見え、進行方向の遠くの空には青空が広がっていることに気づいた時、かなり眠いのだけど、わくわくして寝てなんかいられなくなってしまった。

建物が増え、遠くに見える教会がベルンに近づいた事を教えてくれました。列車は崖っ淵のような河岸を走り、谷の対岸の絶壁の上には朝靄のかかったスイスの首都ベルンの街が広がっていました。

ベルン到着。ここでブリュッセルから2度目の乗り換えです。朝のベルンの街に繰り出すことも考えたけど、乗り換えの時間が20分ほどと短かったのでおとなしくホームで列車を待つことにしました。

この日3本目の列車はベルンの駅を離れて広大な牧草地帯を進み、かのベルナーオーバーラントの玄関口インターラーケンに向かいます。

空に雲はほとんどなくなっていた。列車の進行方向を眺めてみると、遠く方に不思議な真白なピークが3つ見える。一見雲のようにも見えるそれが山だとわかるにはしばらくの時間が必要でした。あれはこれから向かうベルナーオーバーラントの3峰、アイガー、メンヒ、ユングフラウの姿でした。まさかこんなに遠くからあれほどはっきりと見えるとはと、しばらく驚きで、ほかの山が近づいて、ひとたび3山の姿が見えなくなるまで列車の窓に張り付き続けたのでした。

 
やがて、左手に大きな湖が現れました。トゥーン湖です。インターラーケンまでもう間もなくだという知らせ。

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インターラーケン(Interlaken)とは"湖の間"を意味し、その名の通り、トゥーン湖、ブリエンツ湖の2つの湖の間に位置する街です。そしてここは世界中から観光客が集まる、スイスアルプスのリゾート、ベルナーオーバーラント・ユングフラウ地区への玄関口です。

ちょうど湖のある方向から朝日が昇り始め、とても静かな水面に反射する朝日が眩しい。列車は湖のすぐわきを、少しでも増水しようものならすぐ線路が水浸しになると思われるほどの水際の低いところをくねくね走っています。そのおかげで湖の様子がよくわかるし、気持ちのよい景色とちょっとしたスリルを味わうことができました。やがて湖が切れてからは川沿いを走る。川の水の色が今まで見たことのないような、白く濁ったエメラルド色をしている。流れが速いのは山のそば、アルプスの川であること、そして色が白いのはその水が氷河に源がある証拠です。川沿いを走り始めてからほどなくインターラーケンに到着しました。

すぐとなりのホームには一足先にベルリンからのICE(ドイツの新幹線)が到着していました。インタラーケンの小さなホームには少々不釣り合いな長い編成の近代的な車両。ICEがこんな所まで来ているとはちょっと驚きました。

 

座席に一晩ろくに眠れない夜だったけど、スイスのいろいろな景色、山や湖、何より青い空が疲れも眠気もどこかへ追いやってくれました。

インターラーケン到着。

この後、ベルナーオーバーラント3山の麓、氷河が削って作ったU字渓谷の村、ラウターブルンネンへ向かいます。

 

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