cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

ヨーロッパ旅行の今昔4〜 写真とカメラ

f:id:fukarinka:20200429014350j:plain写真とカメラ

ヨーロッパ旅行で僕にとっての一番の変化はこれかもしれない。

その昔、まずフィルムカメラであったということ。これは今と一番の大きな違い。

1995年までの旅行ではコンパクトカメラ。コンパクトデジカメではなくてコンパクトカメラ。フィルム。なので、イギリス、エジプト、最初のギリシア、スペイン、南フランスの写真は古くて、鮮明な写真は残ってない。

1996年に初めて一眼レフを買って以来、毎年の旅行では約500枚の写真を残すようになる。ズームレンズを使ったので表現力が格段に上がったし、一眼レフの写りはやはり違う。

でもまだフィルムであることは変わらないので、毎回荷物の中に20本以上フィルムが入った状態で行きも帰りも気が気じゃなかった。何かって、行きはフィルムをダメにしたら、現地で質の悪いフィルムを買わなければならないし、帰りにダメにしたら、せっかく撮った写真がなくなる。。。写真を撮ること自体も、デジカメなら撮ったその場で写真を確認できるけど、フィルムカメラはどう写ったかは現像しないとわからない。。時々、帰国するまで待てず、現地で現像して帰りの飛行機で楽しむなんてこともした。ヨーロッパのプリントは日本より一回り大きいのが良かったりした。

またフィルムはスペースとコストに限りがあるので無駄に撮れない。一枚一枚が一発勝負の真剣勝負。ちょっとしたメモがわりに一枚とか、ちょっとアングルを変えて念のため何枚も、とかはありえない。軽い気持ちで一枚というものがないので、自分がとった写真は全て覚えている。

今回のmare nostrumの再構成でも、古い写真をたくさん使っているのだけど、これのほとんどがフィルムスキャナーでアナログ写真をデジタル化したもの。この手間ったら今考えると、10年分5000枚もの写真を地道に、忍耐強く、根気よくデジタル化したと我ながら関心します。

2000年の旅行で初めてデジカメを使った。確か30万画素の小さなデジカメで画質はまだまだ酷いものだったけど、便利さと手軽さに感動した。

 

さて時は流れ,2018年に17年ぶりにベルギーとフランスへ行ったときは、9日ほどの間にデジタル一眼、iPhoneでとった写真は2000枚になった。とった写真はその日のうちにiPadの大きい画面で見ることができる。また、デジタル一眼も去ることながらiPhoneの画質の素晴らしいことったらない。さらにiPhoneでとった写真にはGPSデータも記録されて、あとで地図で場所が確認できる。90年代のことが嘘のようだ。

 

ちょっと比較してみよう。

1991年、初めてのパリ。この時はお手軽カメラ。でも、これはこれでなかなか良い写り。

f:id:fukarinka:20200429015604j:plain

 

1997年一眼レフでの写真。鮮明度がかなり上がる。

f:id:fukarinka:20200429015742j:plain

 

2000年、デジカメの写真。ピントも画質も荒いけど、とにかく便利に感動。

f:id:fukarinka:20200429020257j:plain

 

2018年。デジタル一眼。鮮明さが半端ない。このシャープさは僕の腕ではなく、カメラの、更に言えば画像処理の力。驚くほどの鮮明度です。

f:id:fukarinka:20200429020431j:plain

 

更に、(一般人の僕にとっての)カメラの進化を感じるのは暗い場所。

フィルム時代のノートル=ダムの内部。

f:id:fukarinka:20200429020728j:plain

 

2018年デジタル一眼で撮ったほぼ同じ場所。もうぐうの音も出ない。カメラのセンサーの性能とやはり画像処理の力。

f:id:fukarinka:20200429020924j:plain

 

デジタル写真の技術の進化はすごい。誰でも簡単に鮮明な写真を残すことができるようになって、ネット上でも臨場感たっぷりの写真が星の数ほど溢れるようになった。

でも、改めて今まで撮った写真を見比べてみると、昔の写真も悪くない。臨場感、鮮明さで言ったら最近のデジカメやiPhoneには到底叶わないのだけど、昔の写真って何だか、見るときに柔らかさというか、安らぎみたいな印象が伝わってくるんですよね。デジカメの便利さを体験してしまうと、もうフィルムカメラには戻れないのだけど、昔は昔で味があって良い。そんなことを改めて感じてしまった。

 

僕にとっての、昔の大切な旅行は今と比べると不便なことも多かったけれど、でもその不便さが愛しい思い出として鮮明にこの脳みそに焼き付いている。インターネットやスマホが世界的なツールとなって、旅行のスタイルも大きく変わった。便利になって、誰もが鮮明な写真を残せて世界に発信できる。どこに行っても電車の乗り方、地図の案内、ホテル、レストランの情報が手元にある。もう「迷って困ったけど、こんな景色に出会った」みたいなことはなくなるのかな。「写真もこれはとても綺麗な景色だけど、写真では綺麗に残せないから、写真を取らずに目に焼き付けておこう」みたいなことも、もうないのかもしれない。

 

パリは僕にとって、回数で言ったら一番訪れている街。

初めて行った1991年から2018年の27年の変化を見ているのだけど、写真の写りが違うだけで、街の本質はそれほど変化していない。そういう普遍的なところがヨーロッパの街の魅力。

次はパリの街へ。

 

P.S. 2019年、パリのノートルダムが大変なことになってしまった。でもきっと元どおりになって、普遍性を取り戻してくれることでしょう。

 

 

cmn.hatenablog.com

cmn.hatenablog.com