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旅行の記憶と何気ない日常を

ルーブル美術館8 ルーブル小話〜センスを育む

 f:id:fukarinka:20200511142505j:plainルーブルの3つの至宝のうち、サモトラケのニケ1863年ギリシアエーゲ海サモトラケ島で、当時のフランス領事が発見したときは118ものカケラに過ぎなかったといいます。それを持ち帰り、復元、いまのような姿となってルーブルの至宝として大切に展示されている。もう一つの至宝「ミロのヴィーナス」はこちらもエーゲ海のキクラデス諸島のミロス島の畑からでてきました。やはりばらばらな状態で発見され、それをフランス大使が購入してルーブルのコレクションになりました。

ともに「カケラ」の価値を見抜いてフランスに持ち帰ったフランス人の存在。ナポレオンのヨーロッパ各地からの芸術品の略奪などは許されるものではないけれど、芸術に対して敏感である、そういう感性が国民レベルで根付いているというのはとてもうらやましい。

 

ヨーロッパの街並みはとても整然と細部までデザインされていて、きれいなところばかり。そのルーツは古代ローマにあり、古代ローマの芸術のルーツは古代ギリシアにある。

ギリシアの優れた学問や芸術、建築をローマ人はこぞって学び、自分たちのものにしました。

それは街づくりに活かされ、いまのヨーロッパの大きな街のほとんどのルーツはローマ人が築いたもの。芸術にもとことんこだわったローマ人の美意識は、たくさんの綺麗な街や建築を残したのでした。

ローマが滅んだあと、暗黒の中世を経てルネサンスが起こってから、またヨーロッパにローマの、ギリシアの芸術があふれることになる。そしてそのローマ人の感性をいまのヨーロッパ人は受け継いで、ヨーロッパ人の芸術に対する感性は2000年前から養われているのです。

 

ヨーロッパの街を歩くといつも思いました。

常日頃からこんな綺麗なものにさりげなく囲まれている人たちにはかなわない。

自然に感性が研ぎ澄まされていく、そういう環境が日常にあるわけなので。。。 

 

さらに、下の写真はルーブルでの一コマで、中学生くらいの子供たちが本物のギリシアの彫刻を前に、なにやら講義を受けている。ルーブルに限らず美術館や教会にある名画などを訪れると、ときどきこういう場面に遭遇するのです。

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 それが幼稚園児たちのときもあるし、小学生のときも大学生のときもある。年齢とわず、本物を前にいろいろ学ぶ訳です。ヨーロッパの子供達にはそういう機会がたくさんある。

普通の生活の中のデザイン、生活に自然に溶け込んでいる芸術に触れながら、時々こうして世界最高峰の作品を前にいろいろな話を聞きいて感じることはどんどんその感性を研ぎ澄ましていくはずなのです。

 

うらやましい。

日本(東京)はその点、他の国々よりはまだ恵まれている。昔一度モナリザやミロのヴィーナスがやってきたり、世界の有名な美術館のコレクションがちょこちょこやってくる。その受け皿もあるという意味で。でも、日常的なヨーロッパの人たちの環境はよだれが出ます。

 

うちの子供達にも少しでもこういう感性を磨いて欲しいと、小さい頃から時々ルコルビジェ国立西洋美術館や美術展なんかに連れていくようにしていたのですが、どうだったかな?

長女12歳の次女10歳の年にルーブルとオルセーとオランジェリーに連れてったけど、その価値に気づくのはまだまだ先のようです。

 

実生活の何かに直結するものではないけど、綺麗なものを綺麗だと感じることのできる感性をもつことは人生を厚く、豊かにするこれだけは間違いないので、子供たちにはしつこく感性を磨かせたいものです。

 

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