cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

エッフェル塔小話 夜の帳

f:id:fukarinka:20201114140909j:plain初めてパリに来た時は真夏でした。

あの時、エッフェル塔の夜のライトアップをどうしても見たいと思って、僕はシャイヨー宮に行ったのです。

当時まだパリの夜が遅い(暗くなるのが遅い)ことを知らずにまだまだ明るい6時頃からシャイヨー宮の石柵のヘリに座って、暗くなるのを待ち始めたのでした。

 

f:id:fukarinka:20201114153936j:plain

シャイヨー宮はパリの中で一番「自由奔放」を感じた場所でした。

なんだか格式・格調高く街全体が美術館な佇まいのパリの中で、時代感、様式、格式、人種など全て解放されたような、シャイヨー宮とトロカデロ庭園とはそんな場所。アフリカンなパーカッションが鳴り響き、スケボーやローラースケートの技を競う人たち(ちょうど良い坂道がある)、いろいろなスタイルでくつろぐ人々、大道芸をする人、見る人、早足に過ぎていく観光客と土産物の売り子、誰がどこで何をしてても良い、ここはそういう場所でした。

 

昼間轟音上げて吹き出していた大砲のような噴水は今は鳴りを潜め、乾いた空気に小気味良いパーカッションの音が広場に響く。そんな空気を楽しみながらのんびり過ごしていたのだけど、さっぱり空は暗くならない。最初は1時間くらい過ごして綺麗なライトアップを見てホテルに帰ろうと思っていたのに、退屈はしないけど、いったいあとどれくらいしたら夜が来るのか。

f:id:fukarinka:20201114155542j:plain

 

ちょっと前にいたイギリスよりも夜が遅い気がする。

はっきりと覚えてないけど夜9時近くになってようやく空が暗くなってきた。空が紅く、徐々に暗く変化して、そしてついにエッフェル塔にあかりが灯る。空がようやく夜の色になるとエッフェル塔は綺麗に、夜空をバックにした浮き彫りのように輝いていました。

f:id:fukarinka:20201114155435j:plain

 

移ろい変わってゆく空とエッフェル塔にすっかり心奪われていた僕は、ふと我に返って周りを眺めてみた。こんなドラマチックな空の演出にもかかわらず、トロカデロ庭園では相変わらずずっとパーカッションは鳴り響き、シャイヨー宮の緩く長い坂道でローラースケートやスケボーが技を競い合い、みんな何もかわらず思い思いに過ごしている。彼らはまるで夜が来たことすら気づいていないよう。明るかったと時と変わったことといえば、わずかに観光客が減って、土産物の売り子がいなくなったことくらい。この場所で明るいうちから夜への変化を楽しんでいるのは僕だけかもしれない。

f:id:fukarinka:20201114155448j:plain

すっかり辺りは暗くなり、僕は目的果たして無事メトロに乗ってホテルに帰ったのでした。

これがまだ学生だった僕の初めて見たパリの、初めてのエッフェル塔の夜の姿でした。

 

以来何度かパリに来て時々夕暮れから夜にかけてエッフェル塔を見に行ったけど、毎回いつも、あの時ここで4時間も過ごしたことを懐かしく思い出すんです。夜空に映えるエッフェル塔を眺めて帰る、あの時は4時間、今回は1時間とか、今回は30分だけ、とか。。。

次に行ったら、また4時間過ごしてみようかと思う。

 

 

この時、1999年。西暦2000年まであと875日の日。

f:id:fukarinka:20201114155517j:plain

 

この時、西暦2000年 

f:id:fukarinka:20201114155621j:plain

 やはりエッフェル塔のないパリはありえない。

 

 

cmn.hatenablog.com

cmn.hatenablog.com