僕とパリの不思議なつながり。
学生のころ本屋で見つけた1枚の絵葉書。モノトーンこの風景に惹かれて購入、長いこと部屋に飾っていました。当時どこのなんだかわからなかったけれど、とても素朴な素敵な景色が気に入っていた。その絵葉書にはタイトルとしてこう書かれていた。
「情緒ある階段」
それから数年後。初めてパリを訪ねて、ここモンマルトルを歩き回っているときに、どこのなんだかわからなかった風景を偶然発見したのでした。サクレクールへ向かって大きな階段を上がり、ぐーっと深呼吸して、しばらくそこでパリの街を一望する。そしてテルトル広場の方へ行こうと思って歩き始めてすぐ、モンマルトルのケーブルカーのほうに視線をやった時、今までどこのなんだかわからなかった好きな絵葉書の景色が突然、目の前に現れたのです。
毎日部屋で見ていたから、すごく見慣れた、でもはじめての見るリアルな景色を前にしばらく何のことやらよくわからず混乱して、「こんなことが実際にあるのだ」と、とても不思議な感覚は今でも忘れられません。
偶然見つけた絵葉書の景色。それはその題名どおり情緒あふれる素敵な空間でした。
僕はパリに行くたび、モンマルトルに行くたびに、ここのこの景色は必ず見て、歩いて帰ってくる。はじめてこの景色を見た時の驚きと感動を毎回思い出すのです。
次にまたパリに行くときも、きっとそうする。