cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

パリ小話 やっぱりモンマルトルへ

f:id:fukarinka:20201129194905j:plain僕にとってモンマルトルは、必ず立ち寄らないとすまない場所。

僕にとってパリはヨーロッパの中でも特別な街ですが、その中でもモンマルトルはさらに別格。

多くの人にとってのパリのイメージは、19世紀のパリ大改造で生まれた洗練の街。パリといえば凱旋門シャンゼリゼオペラ座界隈の整然とした街並、そしてエッフェル塔でしょう。

 

でもパリはとても多様な都市。

パリ誕生の場所で信仰的にも地勢的にもパリの中心でありつづけるシテ島があり、古代ローマから続く街カルチェラタン、サンジェルマンデプレの様な場所があり、世界に誇る3つの美術館がセーヌ沿いにあり、伝統的かと思えばポンピドゥ・センターやレ・アル、モンパルナスの様な超近代的(未来的?)な場所があるし、シャイヨー宮のような超自由な場所もあり。。。ギリシア神殿の形をした教会があると思えば、オペラ座の天井はシャガールだし、、本当に懐深い。

 

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街全体が美術館のようなパリにあって、モンマルトル界隈は素朴でちょっとごちゃごちゃしてて、肩肘張らずに過ごせる場所。それに19世紀から20世紀にかけて、数えきれないほどの才能が集まり、多くのムーブメントを生んだ歴史的に貴重な場所だということも僕をこの場所に引き寄せる大きな理由。

世界史上、時々、ある場所のある時期に天才が集中して現れることがあります。都市国家アテネ最盛期にはペリクレスという政治の天才とフェイディアスという彫刻の天才を頂点に多くの才能が集い、ルネサンス期のフィレンツェではレオナルドやミケランジェロといった人類の至宝といえる様な天才たちが活躍しました。いわばスーパースターがある時期ある場所に集中することがあるわけです。

19世紀末のモンマルトルはアテネフィレンツェの状態とはちょっと違うけど、後世に向けて情熱をもって伝統と格式に争い、新しい世界を切り開こうとした人たちが集まっていた。王侯貴族ではなく貧しくも逞しく生きる庶民をモデルとし、光や風を空気をとらえたり、斬新な表現方法を生み出し、新しい世界へと、貧しくても絵が売れなくても。モンマルトルにはそんな人間臭さと、エネルギーが溢れていた場所であり、今でもその名残りが感じられる場所なのです。

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今までパリに寄らずに、列車の乗り継ぎだけのつもりの時も、パリに着くと結局、「やっぱり30分だけ」とモンマルトルの引力に負け、モンマルトルだけに立ち寄ることになるのでした。

北駅からメトロで2駅、Anversで降りて、丘に向かって坂を登っていく。いつもの様にサクレクールが顔を出して優しく迎えてくれる。丘に上がってサクレクールの前からパリの街を見渡す時、とても満たされた気持ちになるのです。またここに来れた、と。そして情緒ある階段を過ぎ、テルトル広場に行き、路地裏を少し歩いて、、ほんの少しだけパリを、というかモンマルトルを堪能して、北駅に戻る。

僕にとってモンマルトルとはそういう場所。次いつ行けるかわからないけど。

 

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