cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

フィレンツェ小話 普通の日

f:id:fukarinka:20220109023029j:plain昨夜ゆったりと贅沢に夜を過ごして、この年フィレンツェはこのまま綺麗に終わる予定でした。でも昼前にヴェネツィアへの列車が出発するまでの時間、ひさしぶりに明るいフィレンツェを散策することにしたのです。今回滞在中は早朝と夜以外は別の街で過ごしていたので日の高い時間にフィレンツェを歩くのは4年ぶり。 毎日薄暗い夜明けと同時くらいにフィレンツェの街をあるいていたので、明るくなってから外に出たのは今回はその日が初めて。午前9時か10時ころだったと思う。

ホテルを出た瞬間、ドゥオモ広場はすで人の大洪水だった・・・僕の頭の周りには”?”マークがいくつも飛び出し、今日は祭りか?という疑問がわいてきた。 サンタ・マリア・デルフィオーレに入ろうという人が何重にも行列をつくり、洗礼堂のギベルティの「天国の門」をには人だかりができていて全く近づくことができない。人並みがうねりのように蠢いている様子は、何か異次元の世界に感じられました。僕は一旦開けたドアをそのまま閉めて、中に戻ってホテルのおじいさんに「今日は何の祭り?」と聞いた。「普通の日だよ」と答えが返ってくる。そうか普通の日か。。

シニョーリア広場への道も人であふれ、一体今日はどうしたのか?まるで休日のディズニーランドじゃないか!と頭が混乱しかけたとき、4年前のことを思い出した。フィレンツェはとても狭い範囲にルネッサンスの名残が集中している。そこに世界中から人が集まるものだから街中に人があふれてしまうのだ。そう、思い出した。確か4年前もものすごい人だった。だから今回、昼は別の街を回ることにしたんだ。でもここまでひどかったっけ?確かに今日は土曜日だ。この人の大洪水はおそらくフィレンツェのふつうの週末なのだろう。おじいさんは確かに言っていた「普通の日」だって。僕は人のうねりを泳ぐようにふらふらとフィレンツェの街を歩きはじめた。やはり街を堪能するなら早朝がいい。

ひと歩きしてホテルに戻り、チェックアウト。荷物をもって、おじいさんにお礼を言ってホテルを出る。サンタ・マリア・ノヴェッラ教会を横目に駅に入り、ヴェネツィア行きのジウジアーロデザインの高速列車にのった。

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列車が駅を離れると来たときと同じようにフィレンツェの街並みの上にそびえるサンタ・マリア・デル・フィオーレの姿が車窓から見えた。いつかまたこの景色が見られる日が来ることを祈りつつ、窓にへばりつく僕とは無関係に列車はどんどんフィレンツェから離れていったのでした。。。

 

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