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ローマ小話 サンタンジェロの天使

サンタンジェロ(Saint Angelo)は「聖なる天使」を意味しており、大天使ミカエル(Saint Michel サン・ミシェル)を指します。

16世紀の疫病の大流行からローマを救うために、ハドリアヌス霊廟に大天使ミカエルが降り立ったという伝説によって、ハドリアヌス霊廟は「サンタンジェロ」と呼び名が変わります。


サンタンジェロ城とサンタンジェロ橋は天使に溢れ、何だかとても平和な空気がここ一帯を包んでいるような、そんな気持ちになります。それを演出するのがサンタンジェロ橋に立つベルニーニとその工房の弟子たちによる10体の天使像。

それぞれの天使はキリスト受難にまつわるもの(聖遺物)を手にしているといいます。

キリストを打った鞭、キリストの頭に乗せられたイバラの冠、磔刑に使われた十字架、手足を打ちつけた釘、十字架の上に掲げられた罪状書、十字架上のキリストの脇腹を突いたロンギヌスの聖槍。。。受難の聖遺物を持つ天使たちの表情はどこまでも優しく穏やかです。

 

僕はこの天使たちを空をバックに見上げるように写真に撮るのが好きでした。

 

中でもこの写真が一番のお気に入りで、このブログのクリスマスカードにも使ったことがあります。

 

日本人にとっては「天使」と聞くととてもほんわかした気分になります。

しかし「大天使ミカエル」は神の軍勢を率いて悪魔と戦う勇敢な戦士。その存在はユダヤ教から、キリスト教イスラム教へも引き継がれていくほどの重要な存在。平時の優しい雰囲気の裏側には、悪魔を相手にするほどの大変な勇気と覚悟に溢れている。それが大天使ミカエルで、大天使ミカエルを讃える教会や聖堂が各地に多く存在します。

映画「ローマの休日」では、サンタンジェロはアン王女が最後に「普通」を過ごした場所。王女が憧れる普通の人の「普通」、それらと別れる決意する場所として、 名匠ウィリアムワイラーはサンタンジェロを選んだ。理由は大天使ミカエルの「勇気と覚悟」とアン王女の「勇気と覚悟」を重ね合わせた、そんなところにあるのかもしれません。

 

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