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旅行の記憶と何気ない日常を

熊本小話 初夏の阿蘇

初夏の熊本。久しぶりに阿蘇に行ってみました。

僕は阿蘇のこの火山帯特有の雄大な地形が緑に覆われる姿が見たくて、気がついたらここにきていました。

 

草千里ここも元は噴火口。この時期は柔らかい緑に覆われてとても清々しい景色になります。

こちらは今でも噴煙を上げる噴火口。今はヘリコプター墜落事故の影響で火口見学はできないらしい。

僕の目的は阿蘇の噴火口ではありません。

草千里の近く杵島岳と言うちょっとした山があり、そこに登るのが僕の阿蘇パターンとなりました。

杵島岳は阿蘇五山のひとつ、標高1321mのそんなに高くない、こんもりした山です。しかし侮るなかれ、ひたすらの急斜面を登るのは結構きつい(普段運動不足の僕にとっては)。

でもぜいぜい言いながら一歩一歩太ももを持ち上げながら進んでいって、ふと後ろを振り返ると、こんな景色が目に飛び込んでくるのです。

下に見えるのはさっきまでいた草千里の姿。ここから見るとあそこが噴火口であったことがよくわかります。

 

そして左に視線を向けると、阿蘇の中岳や現役噴火口から休むことなくモクモクと出てくる水蒸気の姿が見えます。美しい緑もその火口付近になると近寄れない。

杵島岳は登るのはかなりキツイのだけど、登りきった時の達成感とそこから見える景色を一度味わってしまうと、今回のようにまた登りたくなる。途中何度も、もうだめだ〜と思うたびにあの景色を味わいたいと思い直して歩を進めるんです。それはまるで仕事と同じ。大変な思いをして、何度も諦めかけて、でも諦めずに達成した仕事は、世間で喝采され喜ばれる。これを一度味わうと、どんな困難があろうともこの先に待っているものには抗えず、辛くても困難でも頑張ってしまう。本当に同じだなって思いながら汗を拭く。

この足元にももと噴火口が見えます。それもいくつも。

杵島岳自体の阿蘇五山の一つ、火山でした。山頂には元噴火口があって、富士山と同じくお鉢巡りができるのです。この季節では噴火口全体が緑に覆われてとても清々しい。

そして雲がとても近い。

おはちの反対側へ回ると阿蘇山系の広大な大地を見ることができます。

杵島岳から見る景色の目玉、米塚です。

米塚もかつての火山。その形は小さな富士山。

この季節、この辺り一体が緑に覆われて、現役噴火口側とは対照的にとても爽やかな空間が広がります。

でも、僕の一番の目的はこれ。

杵島岳のてっぺんで草の上に寝っ転がって、何も考えずに空を見ること。

山頂は気持ちい風が吹いて、草をゆらす音がして、その草の上に僕が寝っ転がって空を見てる。なんて贅沢なんだろう。何もなければいつまでだってここで過ごせそうです。

 

とはいっても、いつまでもここにいるわけにいかず、渋々山を降ります。

下界はかなり気温が上がってきていました。でもウグイスや色々な鳥たちのさえずりがとても心地よい。天上界から現実世界へのゲートのような道です。

この2年間で阿蘇には4度来ました。初めて来たときは野焼きの後の黒く染まる世紀末の異世界のような景色でした。

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2回目は一面にススキがそよぐ黄金色の世界でした。

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3回目は大雨降られて雲でほとんど何も見えなかった阿蘇。

 

そして4回目は緑にあふれる爽やかな世界。

阿蘇のこの景色は自然なのだけど、人間と自然と動物が一体になって作り上げたものだと言われます。阿蘇の山々の地球のエネルギーが噴き出す荒々しくも優しい姿と、そこに暮らす人々と家畜たち。野を焼き、牧草を食べ初夏のこの緑の草原を作り、維持していると。

何かに引き寄せられて僕は阿蘇の山に来てしまうのです。

 

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