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ジュネーブ 小話 〜スイス人のスイス

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ジュネーブに行くとつい買いたくなってしまうのが、Victorinoxのアーミーナイフ。

ジュネーブの街にある古いVictorinoxの専門店で買うんです。

1997年に行った時に買ったのがこれ。だいぶ年期が入ってきました。

刺抜きと爪楊枝はどこかに飛んでいってしまった。

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そして1991年に初めて買ったのがこれ。

照明の抑えめな落ち着いた店内で木製の棚から店員が勧めてくれたのがこのナイフ。

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1291年のConfoederatio Helveticaスイス連邦)建国から数えて700周年記念モデル。1291-1991の文字とウィリアム・テルとその息子が描かれたものです。

こちらも未だ現役、毎日持ち歩いています。 

 

でも、なぜスイスの建国記念でウィリアム・テルなのだろう?

 

ウィリアム・テル(ドイツ語でヴィルヘルム・テル)は14世期にスイス中部に生まれ弓の名手として活躍したと言われる人物。しかし記録には残っておらず実在したのかどうかはわからない伝説の英雄と言われます。

ウィリアムテルを代表するエピソードは「息子の頭の上にリンゴをおき、そのリンゴを弓矢で射る」というあの有名な話です。詳しい話は知らなくとも、ウィリアムテル=弓の名手=頭の上のリンゴを射抜く、というのは日本人でも多くの人が知っているキーワード。

スイスで伝承されきた話としては、 ウィリアムが活躍したという14世期、スイスは神聖ローマ帝国(現在のドイツ、オーストリアあたり、当時はハプスブルク家が支配していた)からの侵略を受けてました。当時の悪代官のくだらない決め事に逆らい、ウィリアムは罰を受けることになります。それが「息子の頭の上のリンゴを射抜くこと」でした。ウィリアムテルは見事に矢で息子の頭を避けてリンゴを貫き難を逃れた、そのエピソードは永く広く伝えられることになるわけです。

日本人の僕にはこのエピソードを多分童話として子供の頃に絵本で見聞きして、その後もCMなどのテレビの題材として弓の達人(イギリスのロビンフッドと混ざることもあるけど)として時々名前を姿を見かけ、ロッシーニの戯曲で音楽としても記憶に刻まれてきましたね。

 

ウィリアムテルは後に神聖ローマ帝国の悪代官を弓で殺します。この出来事がスイスが自由独立へと向かう反乱の始まりだったと言われており、スイス人がスイスを勝ち取るきっかけを作った人物として、歴史上の記録には残っていないのだけど多くのスイス人の心の中で実在した英雄として生きているのです。

 

スコットランドのウィリアム・ウォレス、イングランドロビンフッド、そしてスイスのウィリアム・テル。みんな記録に残っていないけど実在したと信じられている英雄であり、自由獲得の立役者。

中世ヨーロッパにはきっとまだまだ記録に残っていない英雄が色々なところにいるのだろう。

 

 

www.victorinox.com

 

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