cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

古代ローマ小話 パンとサーカス

「パンとサーカス」という言葉、この耳に残るフレーズは一度聴いたら忘れません。そして「パンとサーカスによってローマ帝国は滅んだ」と、この言葉は堕落の象徴のように世の中に広まっていると思われる。実際僕も以前はそう思っていたし、おそらく今でもこ…

空と雲と 月と輪

昨日の夜、外に出て空を見上げるとこんな光景が頭上にありました。 天頂に位置する月はほぼ満月、うっすらそれを遮る雲。その雲に、月の光が淡い光の輪を作っていました。 余計なことは何も考えずに、ぼーっと幻想的な光の輪を眺めました。とても癒されます…

コロッセオ3 その構造

2000年前のローマ市民になったつもりでコロッセオの中に入ります。 とはいえ、2000年の時の流れは想像力では隠しきれず、かつてはピカピカだったであろう壁面はすっかり風化して、通路にはどこに使われていたのかもわからない石材が無造作に転がる、なかなか…

コロッセオ2 そのデザイン

コロッセオを実際に間近でみると、その巨大さの割に重々しさや野暮ったさが感じられません。あれだけ見上げるような巨大な建物であっても、見た目の印象は重厚というよりむしろ軽やかですらあります。 ◾️デザインの妙 その理由は大きく2つに分かれる(と僕は…

コロッセオ1 なぜコロッセオか

イタリア語:コロッセオ(Colosseo),ラテン語 :コロッセウム / Colosseum)。 学生時代の歴史の教科書に出てくる2000年前の、5万人を収容する円形闘技場です。などという説明など不要な、おそらく世界でもっとも有名な古代建築の一つ。古代ローマのことは知らな…

コロッセオ0 圧倒される

ある夏の暑い日、僕が初めてローマを訪れたとき、まず最初にカンピドリオの丘に登りました。麓から、美しい階段のような坂道「コルドナータ(Cordonata)」を登って、ミケランジェロがデザインした広場に入り、さらにルネサンスの建物の間を抜けた時、視界が…

コロッセオ 目次

学校で歴史の教科書に必ず載っていた古代ローマの遺跡。だれもが知っているであろう有名な遺跡は、巨大で、美しく、そしてローマの技術の粋を集めた逸品でした。コロッセオを初めて見た時の衝撃から、コロッセオにまつわる様々を綴っていきます。 cmn.hatena…

小話 感覚する構造展

仕事が一区切りしたので、近所の美術館(寺田倉庫)で前から見たかった企画展を見に行ってきました(先日のゴッホとほぼ同じ場所で以前、建築模型展を見に来たエリア)。 その名も「感覚する構造」。 あまり興味のない人には何を言ってるやらわからないと思い…

空と雲と 人の営みと

空や雲の写真を撮るときは、純粋な空の姿を収めたくて、できるだけ人口の構造物を入れないようにしています。でも時々無機質な構造物と空の姿がマッチするときがあるのです。 今回はそんな写真を。 夕焼け空と鉄塔のコラボレーション。 朝焼け空と鉄塔に送電…

ちょっとローマ史9 歴代皇帝

帝政期の歴代皇帝をまとめはじめて、最初は大雑把につくろうと思っていた皇帝リストは、最終的に東ローマ帝国が滅亡する最後の皇帝まで、約1400年分のすべての皇帝170名ほどの名前を連ねることになりました。 在位期間は様々で、アウグストゥスのように44年…

小話 Van Gogh Alive(ゴッホ展)

僕の会社は天王洲、寺田倉庫(美術館)から歩いて5分。寺田倉庫は以前は「スターウォーズ模型展」や「ジブリ展」といったメジャーどころから、「建築模型展」というとても渋い展覧会など、とても僕の好みにマッチした企画展を提供してくれます。この日は昼食…

空と雲と 富士山と

この日、車で外に出ると、建物の隙間から時折見える遠くの山がものすごくクリアに見える。何か予感がして、車を土手の上目指して進んでいくと、視界が開けて、こんな景色を拝むことができました。 この日のお日様が隠れた直後、雄大な富士山が夕陽をまとって…

ちょっとローマ史8 共和政から帝政へ

約500年続いた共和国ローマは、カエサルによってローマ帝国へと生まれ変わります。多くの人々が信じた共和政は国家ローマそのものの進化に対応できず、その役割を終えることになりました。 カエサルの死と、後を継いだオクタヴィアヌス(アウグストゥス)の巧…

新年明けましておめでとうございます

全ての人にとって、良い年でありますように。 cmn.hatenablog.com

空と雲と 2023年の空

2023年に心揺さぶってくれた空の姿をまとめてみました。 いろいろ大変なこと辛いことが多い2023年でしたが、こんな空を眺めているとそんな出来事が、どうでもいい小さなことであるかのように体と心の芯から邪気が抜けていくような感覚になります。そしてもっ…

カエサル34 エピローグ

カエサルを書き出して、気がついたら1年半ほどが過ぎていました。さらっと書こうと思って、ここまでずいぶんはしょってきたつもりでしたが、カエサル関連の記事は50、カエサルだけで8万字くらいの文字を費やしたみたいです。 正直とても驚いているのです。な…

カエサル小話 言葉の選択

忘れられない、忘れてはいけないカエサルの言葉たちを。 「文章は、用いる言葉の選択で決まる。日常使われない言葉や仲間うちででしか通用しない表現は、船が暗礁を避けるのと同じで、避けねばならない」 塩野七生著「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ル…

カエサル小話 カエサルと現代

カエサルと現代のつながりをいくつか。 ◾️暦カエサルと現代のもっとも身近な接点といえば、暦。誰もが耳にした事のある「ユリウス暦」は、カエサルが、それまで使っていた太陰暦を見直し、エジプトの天文学者とギリシアの数学者に新しい暦(太陽暦)を考案させ…

カエサル33 カエサルのいないローマ

カエサルのいないローマでは、「第2次三頭政治」が始まります。オクタヴィアヌスとアントニウス、それにレピドゥスによる三頭政治なるもの。その目的は反対勢力の壊滅というから、カエサルの時の三頭政治とは趣がずいぶん異なります。 アントニウスとオクタ…

カエサル小話 アンチ・キケロ

マルクス・トゥッリウス・キケロ(Marcus Tullius Cicero, 紀元前106年〜 紀元前43年)。ローマ共和政末期を代表する政治家であり文筆家、哲学者であり弁護士でもありました。 キケロはラテン文学の手本とされるたくさんの著作を生み出し、カエサル以上に現代…

カエサル32 大彗星

カエサルが亡くなって遺言状が公開されたとき、第一相続人のオクタヴィアヌスはローマにはいなかった。カエサルのパルティア遠征に同行するためにカエサルがつけてくれた忠実で有能なアグリッパと共にギリシアのアポロニアにいました。オクタヴィアヌスは忠…

カエサル31 遺言

カエサルが暗殺されたあと、 3月16日にカエサルの家で身近な者たちだけが集まり、カエサルが書いた遺言状の存在が明かされ、その場で開封することとなりました。 その場に集められたのは、カエサルの近親者に加え、カエサルの側近、そして執政官アントニウス…

カエサル小話 ”ブルータスよ、お前もか”の誤解

ブルータスよ、おまえもか。。 カエサルの最後の言葉とされるのが、この言葉「ブルータス、お前もか(Et tu, Brute?)」。1599年、シェイクスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー(The tragedy of Julius Caesar)」でこのセリフが使われ有名になったと言われ、シ…

カエサル30 Idus Martiae再び

Idus Martiae(3月15日)、カエサルは暗殺されました。 シェイクスピアは「ジュリアス・シーザー」で元老院議会の会場に到着したカエサルと、「3月15日の不吉」を唱え続けた占い師にこんなやりとりをさせている。 シーザー:「3月15日は来たぞ」 占い師 :「…

カエサル小話 王とカエサルと皇帝

ローマ最高の力を持って終身独裁官に就任したカエサルに対して、ローマの人々は、カエサルが「王」になるのではないかと疑いを持ち始めます。歴史的に「王」や「独裁」に強烈なアレルギーをもつローマ市民は、「終身独裁官」となったカエサルに対して心のア…

カエサル小話 ガリア戦記と内乱記

ガリア戦記と内乱記。 今では「ガリア戦記」「内乱記」として本屋に並ぶ名著ですが、もともとはカエサルが本国ローマへ報告書として書き、刊行されたものです。カエサルのこれら報告書は、その洗練された文章からラテン文学の最高傑作として、刊行当時から絶…

カエサル小話 アンチ 元老院最終勧告

カエサルがさまざまな改革を行った事柄の一つに「元老院最終勧告の廃止」があります。今回はこの元老院最終勧告についてのお話です。 500年つづいた共和制=元老院体制は優れた政治体制ではあったのだけど、広大になったローマを統治するのは限界でした。 ロ…

カエサル小話 カエサルの右腕

カエサルが帝政国家への改造に着手した直後、ユリウス暦が適用されてまもなくの紀元前45年3月「ムンダの会戦」という戦闘が起きます。このムンダの会戦は元老院派の残党との戦いで、元老院派を率いて散ったのはカエサルの元側近、側近中の側近、「カエサルの…

カエサル小話 ユリウス暦と7月

カエサルと現代、実はたくさんの接点があります。そのもっとも身近な接点といえば、暦といえるでしょう。 内戦が終わり、まずカエサルが導入したのが暦の改訂でした。 当時ローマ世界が使用していた暦は月の満ち欠けを基準にした「太 陰暦」で1年は12ヶ月で3…

カエサル29 パクスロマーナと帝政

カエサルは新しい国づくりに向けて、一気に事を進めていきます。 内戦が終わってから、一つ一つを対処していったのではなく、内戦を進めながら同時にあらゆる改革の準備を進めていたかのように、言葉通り「一気に」さまざまな事柄がほぼ同時に進んでいくので…