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カエサル小話 カエサルと現代

カエサルと現代のつながりをいくつか。

◾️暦
カエサルと現代のもっとも身近な接点といえば、暦。誰もが耳にした事のある「ユリウス暦」は、カエサルが、それまで使っていた太陰暦を見直し、エジプトの天文学者ギリシアの数学者に新しい暦(太陽暦)を考案させ制定したもので、これがほとんどそのまま現在も使われています(正確には現在使用しているのは「グレゴリウス暦」なるものですが、これは近代になって、ユリウス暦の十数分のずれを修正したものになります)。

◾️7月
暦の中の7月は英語でJULY。これはラテン語の「(J) Iulius(ユリウス)」となりカエサルが生まれた月をあらわしています。これは当時元老院と市民集会からカエサルに与えられた栄誉として、カエサルの誕生月であることを記念して7月を「ユリウス(=JULY)」と定められたのでした。僕たちは知っているいないにかかわらず、英語で7月を言うときは「カエサル」の名前を唱えているということになります。

ちなみに8月は「AUGUST」。これはカエサルの後を継いだ初代皇帝アウグストゥス(Augustus)に由来するもので、アウグストゥスが8月の呼び名をAUGUSTに変えました。順番では30日だった8月の日数も「August」の名がついたこの月は多いほうの31日変更されたと言われています(諸説あり)。。。

◾️皇帝
ローマは歴史的に「王」「独裁」にアレルギー反応を示します。カエサルは終身独裁官となった時にローマ市民から「カエサルは王になるつもりだ!」と噂されます。そんなつもりはさらさらなかったカエサルは「私は王ではない、カエサルである」と応えてその噂を否定するのです。

カエサル帝政ローマに移行する前に暗殺されてしまったので、「皇帝」にはなりませんでした。しかし、その後の歴代皇帝は「カエサル」を名乗り、その結果「カエサル」は「皇帝」を意味する単語となりました。ドイツ語で皇帝は「カイザー」と言いますがこれは「カエサル」が語源です。

◾️シーザー
カエサル(CAESAR)の英語読みがこの「シーザー」です。ユリウス・カエサルを英語読みすると「ジュリアス・シーザー」となります。カエサルの暗殺者たちを描いた戯曲、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」によって、こちらの英語読みのほうが一般的になじみが深いのではないかと思います。

映画「猿の惑星」のボスの名前は「シーザー」カエサルとのつながりは分かりませんが、ちょっと複雑。

「シーザーサラダ」はこのサラダを考案した人の名前が「シーザー」だったそうで、カエサルとは無関係。

猫のえさの「シーザー」はつづりが「Cesar」でカエサルとは違います。

カエサルを知ると世の中のいろいろなカエサルやシーザー、カイザーが気になってきます。

 

◾️製本

実は現代の本の形を考案したのはカエサルである、と塩野七生著「ローマ人の物語」で紹介されています。当時の書物は「巻物」で図書館にはたくさんの巻物が収蔵されていました。この長い巻物をトーガ姿のローマ人が辿って読み進めることが、とても重厚な印象を与えるとされていたと言います。

合理的なカエサルは、必要な情報に素早くアクセスするために、巻物状の書物を切り分けて束ねる、現在の「本」の形を提案したのでした。ただ、当時は「ローマ人=重厚な雰囲気」が重要視されたこともあり、実現されなかったとか。

 

こうしてみると、現代の日本でもわりと身近に「カエサル」が存在することに驚きます。

 

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