小話
僕の職業は会社員です。なにをやっているかと言えば光を扱うエンジニア。今は元エンジニアの事業部門を預かる管理職なんだけど、自己紹介するとしたら「エンジニア」であることを強調します。今何をやっていてもエンジニアである(あった)ことの誇りというか…
現サンタンジェロ城(ハドリアヌス霊廟)には五賢帝の5人目の皇帝マルクス・アウレリウスも埋葬されています。今回は皇帝マルクス・アウレリウスのお話です。 皇帝になるずっと以前から、マルクス・アウレリウスはギリシア哲学に傾倒します。中でも自然の中…
雲が漂う夜空にカメラを向けたら、こんな写真が撮れました。 月の光と共に無数の星々が輝く星月夜。 浮世のことは全て忘れていつまでも眺めていたくなる、そんな空でした。 ゴッホは「星月夜」という絵を描きました。おんなじような空を見ていたのかもしれな…
サンタンジェロ(Saint Angelo)は「聖なる天使」を意味しており、大天使ミカエル(Saint Michel サン・ミシェル)を指します。 16世紀の疫病の大流行からローマを救うために、ハドリアヌス霊廟に大天使ミカエルが降り立ったという伝説によって、ハドリアヌス…
今年の夏も暑く長かった。10月後半まで30℃近い気温が続き半袖で過ごせたなんて、春夏秋冬日本の四季は、春と秋がなくなって夏冬の二季になってきたと考えると気持ち悪い。世界を見ても各地で異常気象と呼ばれる災害が起きていたり、本当に地球規模の環境変化…
映画「ローマの休日」のクライマックスとなるのが、現在ではサンタンジェロ城と呼ばれるここ、ハドリアヌス霊廟です。この場所がアン王女の「希望」の最後の場所となるのでした。記者のジョー、カメラマンのアーヴィンと共にサンタンジェロ城の前の桟橋で、…
今回は僕の同期でエンジニアからパン職人に転身したKbのお話し。 Kbは同期入社で新入社員の時から顔と名前は知ってる仲だった。でも彼は元々生産技術という別の部門にいて当時ほとんど交流はなかった。これから話すKbとの関係ですっかり忘れてしまっていまし…
オードリー・ヘプバーン主演、初の映画出演で最高傑作である映画「ローマの休日」はスペイン広場周辺もたくさん登場します。 トレヴィの泉の美容院で髪をバッサリ切ったあと、アン王女(オードリー・ヘプバーン)はコンドッティ通りのショーウィンドウにショ…
夕方外に出て、息を呑むような空の姿に出会いました。 沈んだお日様が雲を赤く染めています。 その雲は下の層に左から右へまーっ直ぐに一直線に伸びる何本もの筋雲。こんなに綺麗に細くながーく伸びる雲はあまり見たことがありません。 さらにその上には、筋…
あの日のローマは朝からとっても不安定な空模様。ざあーっと豪雨になって雷がゴロゴロ鳴ったかと思えば、パーっと日が刺して虹ができる、そしてまたゴーっと雨が降る。あの日のローマ周辺はほぼ一日そんな天気でした。なのであの日、1日中傘を出したりしまっ…
スペイン広場にて、あの日とても暑い夏の日でした。 まだ午前中だというのに持ち歩いていた水はあっという間に空っぽになり、たどり着いたスペイン広場の入り口にあるベルニーニの「船の噴水」で水を飲みます。ローマにはあちこちに泉や噴水があんですが、真…
今回紹介するのは、おそらく僕が一番長く一緒に仕事をした上司のお話。 僕の会社の事業部は、誰もが知ってる製品を手がけ、その分野では世界一と言われる技術を持っていました。その中でも僕の所属する部隊は、世界的にも希少な技術分野でカッパさんのような…
フォロ・ロマーノのど真ん中に現在まで残っている神殿、その名前となっている「アントニヌス・ピウスとファウスティナ」。今回はこの夫婦のお話です。 古代ローマ史上最も平和な時代だった五賢帝の世紀。その中でも優れた皇帝として特筆されるのが、トライア…
カエサルはアウグストゥスにとっては母の従兄弟=大叔父に当たります。寛容を旨として、誰とでも気さくに接し、ユーモアを絶やさない、ハゲの女ったらしで、エピキュリアン(快楽主義者)を貫いたカエサルに対して、アウグストゥスはといえば、真面目一徹。 風…
トレヴィの泉につながるヴィルゴ水道をローマに引いたのは、アグリッパという人物。 アグリッパがヴィルゴ水道を引かなければトレヴィの泉は存在しなかったかもしれません。それ以前にアグリッパがいなかったら、ローマ帝国の歴史はなかったかもしれません、…
今午前4時47分 窓の外が明るくなって、僕が過ごしていた一角も、空港のあちこちで灯りがつき、騒々しくなってきた。空港が動き始めました。周りも起きて活動始めている。 隣のカップルも起きて、ヒソヒソ話してる。最初からそのくらいのトーンで話せばよかっ…
今午前3時40分。始発電車まで1時間半。 周囲はだいぶ静かになりました。大半の人が居場所を見つけ寝場所を確保して寝ています。子供は床が冷たくて気持ちいいのか、せっかく敷いてもらったタオルから大きくはみ出て寝ています。あっちの方からはゴーゴーとい…
今午前2時、僕は羽田空港にいる。 今日、いや今となっては昨日の夜に地方での仕事から空路戻って、本当なら今頃は家の布団でぐっすり寝てるはずだったのに羽田空港にいるのです。 出発地の空港で綺麗な夕焼けを見て20:30発の飛行機に乗り込むはずが飛ばず。…
僕はどこに行っても必ず早朝の街を散策します。観光地であればあるほど昼間の大混雑を避けてゆっくり落ち着いて街や建物を堪能するためで、この日も早朝にローマの街を歩いてトレヴィの泉に来ました。街全体が博物館のようで、観光客で溢れかえる昼間のロー…
僕が出会ったとても印象深い人物、天才的エンジニアであり、僕のかつての師匠であった人のお話です。 それは僕が30歳にさしかかるころ。エンジニアとして先にも後にも「この人を追い越すことはできそうもない」と思っていた通称カッパさん。 年齢は3つ先輩…
僕は今まで、たくさんの人々と仕事をしてきました。その中には大変お世話になった人、僕の仕事に、あるいは生き方そのものに大きく影響を与えてくれた人、共に戦ってくれた人もいれば、ちょっと残念だけど僕にとっては良い経験にはなった人など、様々な人々…
皇帝ハドリアヌス(在位117〜138年 CAESAR PVBLIVS AELIVS TRAIANVS HADRIANVS AVGVSTVS) 2000年ほど前の今日(138年7月10日)に皇帝ハドリアヌスが息を引き取りました。 五賢帝三人目の皇帝で、若い頃からギリシア文明に精通した文化人であり、政治、軍事か…
「賽は投げられた(Alea jacta est!)」 とは、ルビコン川を渡ることを決断したカエサルが、自軍の将校や兵士たちに向かって放った言葉です。 辞書で調べると意味は「決断した後は実行あるのみ」とあります。 僕は6/30をもって今の会社を退職して、7/1から新し…
先日仕事を早めに切り上げて、近所の寺田倉庫でやってる企画展「感覚する構造展 後期 法隆寺から宇宙まで」をみてきました。今年1月にみた「感覚する構造展」の続編です。 最初に高さ4m近い法隆寺の構造再現模型がどーんと迎えてくれます。 その向こうに奈…
東京駅で電車を降りて外を歩いたのは五年ぶり?久しぶりに東京駅周辺を歩いてみました。 たまたま今日はこんな場所で食事をする機会をいただいて、食事と一緒に外の景色を堪能することができた、貴重な時間だったのです。 こんな角度から東京駅を眺めるのは…
ローマ史上「全盛期」と言われる期間、その最初を担ったのが皇帝トライアヌス(CAESAR MARCVS VLPIVS NERVA TRAIANVS AVGVSTVS)。 トライアヌスはヒスパニア(現スペイン)属州に生まれた史上初めての属州生まれの皇帝となりました。生まれなんぞどこだって、…
皇帝ティトゥス(TITVS FLAVIVS CAESAR VESPASIANVS AVGVSTVS)はフラヴィウス朝2代目の皇帝として、紀元79年に即位します。ところが、その即位とほぼ同時にヴェスヴィオ火山の噴火、ローマの大火、疫病という未曾有の災害に見舞われ、逃げることなく対策に挑…
先日僕の会社に、小さな訪問者が現れた。 地上14階のオフィスに何故か、羽の色と模様がとても綺麗な蛾(が)。どうやってここまできたのか分からない。蛾だけど、放っておこう。せっかくこんなとこまで来たんだから、どうぞごゆっくり、好きなようにお過ごしく…
コロッセオの落成式が行われたのが紀元後80年。そこに至るまでには様々な紆余曲折がローマにはありました。 カエサルが帝政ローマをグランドデザインして、その後を継いだアウグストゥスがローマ帝国とパクスロマーナを完成させ、アウグストゥスはカエサルの…
僕の街はバラの街。最寄の駅前はバラの花壇が線路に沿うように配置され、ちょうどバラの花が咲き乱れている。そして近くの公園では、「ばらまつり」が開催されていた。僕自身ばらまつりのバラを見に行ったのは三年ぶりになる。 この土日にばらまつりは開催さ…