cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

小話

欧州列車の小話 ヴェネツィアへの道

ある年に僕は、フィレンツェからいわゆるイタリアの新幹線「ユーロスター・イタリア」に乗りヴェネツィアを目指しました。 花の都から水の都へ。ルネサンスの街からこの世にふたつとない海に浮かぶ街へ。 この列車、イタリアの有名な車デザイナー、ジウジア…

ロミオとジュリエット小話

ヴェローナ⇨シェイクスピア⇨僕の住む街。 演劇とバラの花が有名というか、盛んというか。そういうところです。 最寄駅を出ると、地面にこんなのが埋まっています。 シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のジュリエットがバルコニーで囁く有名なセリフで…

欧州列車の小話 車内オペラ

ここで綴るのはスイスのツェルマットからミラノへ列車で向かった時の貴重な思い出です。 *失意のツェルマット ミラノへの出発の日、ツェルマットは朝から雲が立ちこめ、最後にマッターホルンの姿を見ることはできませんでした。結局ツェルマット3日間の滞…

ミラノ小話 メモの価値

「メモ書き」が一枚1億円の価値をもち、「メモ書き」の展覧会が開かれると大勢の人がそれを見るために集まってくる。絵でも彫刻でもない、言ってみれば「ただのメモ」に大勢の人々が引き寄せられるのです。そう「ただのメモ」はレオナルド・ダ・ヴィンチが…

ミラノとキリスト教

僕は無信仰、というか八百万の神様と生きていると思っているので、宗教に対しては常にフラットな立場でいます。それはこれからも変わらないでしょう。そんな中でも僕にとってのキリスト教は、ルネサンスはじめたくさんの時期と地域で才能ある芸術家たちを刺…

ミラノ小話 遠くて遠い最後の晩餐

レオナルド・ダ・ヴィンチ作「最後の晩餐」を見るまでに、僕はミラノに3度、サンタ・マリア・デレ・グラツィエ教会には4度足を運びました。でも実際にこの絵としっかり対面できたのはたったの1度だけ。そのせいもあってか、僕はこの絵に対して、その世間一…

ミラノ小話  憩いのドゥオモ広場

ドゥオモ広場の写真を見てネオンギラギラの一角のあるこの広場がどうにも好きになれなかった。なんかヘンテコな形をしたゴシックの王道とは違う大聖堂もどうなのか?まだミラノを訪れる前、これが僕のドゥオモと広場に対する印象でした。 でも、実際にミラノ…

イタリア小話 イタリアへの道

当時イタリアは治安の悪い国として知られていたので、いつも緊張感とともにイタリアへ入国していました。入国方法はその時々でいろいろ。空路で直接イタリアに入ったり、ドイツから、スイスから、フランスから鉄道だったり、車だったり。 *スパイが如く 初…

シャモニ小話 トレッキング

アルプス観光の醍醐味は、壮大な自然に、手軽に誰でも簡単にアクセスできること。ロープウェイや登山電車が嘘のような場所まで万人を運んでくれる。手軽に登って、アルプスの大パノラマを堪能した後、手軽に戻ることもできるのだけど、よりアルプスの自然を…

シャモニ小話 氷河に立つ

僕はかねがね「いつか氷河の上に立ちたい、氷河をさわってみたい」と思っていた。だから遠く氷河の表面に人の姿を見つけたときは、迷わずそっちに向かって進みました。そして、ずんずん進んでいくと道が切れた。下を見下ろすとたくさんの人が氷河の上にいる…

シャモニ小話 ワンダーランド

アルプスのリゾートでは登山電車やケーブルカーが老若男女問わず万人、を富士山頂より高い標高まで簡単に連れて行ってくれます。 急な斜面もモノともせず、時には岩山をくり抜きトンネルを作ってまで登山電車を通し、時には絶壁のような岩壁の頂上に一本のケ…

シャモニ小話 パリ発シャモニへ

パリ・リヨン駅から夜行に乗ってシャモニへ向かいます。 僕は夜行列車に乗るときにはいつも通路側の窓から顔を出して列車の出発を待ちます。列車に乗り込み自分のコンパートメントに荷物を入れたあと、毎回儀式のようにそうしてるんです。この出発までの駅や…

小話 ハドリアヌス帝のコイン

新たにローマのコインを手に入れました。といってもレプリカ(よくできた偽物)です。2000年前の本物も欲しいけど、触って観察して眺めて、多少乱雑にあつかっても気にする必要もないところがレプリカのいいところ。 このコインはハドリアヌス帝を象ったデュ…

モン・サン・ミシェル小話  道

モン・サン・ミシェルと本土をつなぐ道ができたのは1877年。監獄としての役目を終え、修道院の活動を再開して間もない頃のことでした。その後、鉄道を通していた時期もあったこの一本道は、巡礼者も観光客も安全にモン・サン・ミシェルに行き来できる重要な…

モン・サン・ミシェル 小話 潮が満ちて

モン・サン・ミシェルを包む干潟は干満の差が15m以上とも言われ、時間によって周囲の景色がずいぶん変わります。本土と繋がる道などなかったその昔は干潟を渡って修道院に向かう巡礼者が何人もが満ち潮に飲み込まれて命を落としたと言われ、ここは「魔の海」…

ヴェルサイユ小話

初めて期待を込めてヴェルサイユに行った時、煌びやか過ぎる室内と、広大過ぎる庭園があまりに自分とかけ離れ、まるで共感できませんでした。一つひとつを切り取って丁寧に見ていくと、その時代の優れた装飾や調度品なのはわかるのだけど、ここにはこれでも…

パリ小話 やっぱりモンマルトルへ

僕にとってモンマルトルは、必ず立ち寄らないとすまない場所。 僕にとってパリはヨーロッパの中でも特別な街ですが、その中でもモンマルトルはさらに別格。 多くの人にとってのパリのイメージは、19世紀のパリ大改造で生まれた洗練の街。パリといえば凱旋門…

モンマルトル小話 情緒ある階段

僕とパリの不思議なつながり。学生のころ本屋で見つけた1枚の絵葉書。モノトーンこの風景に惹かれて購入、長いこと部屋に飾っていました。当時どこのなんだかわからなかったけれど、とても素朴な素敵な景色が気に入っていた。その絵葉書にはタイトルとして…

エッフェル塔小話 夜の帳

初めてパリに来た時は真夏でした。 あの時、エッフェル塔の夜のライトアップをどうしても見たいと思って、僕はシャイヨー宮に行ったのです。 当時まだパリの夜が遅い(暗くなるのが遅い)ことを知らずにまだまだ明るい6時頃からシャイヨー宮の石柵のヘリに座っ…

パリ小話 200日記念

パリの記事を書き始めたのが、いまからちょうど200日前だということにふと気がついた。パリでフランス革命200周年を記念して作られたのはグランダルシュ(新凱旋門)。 パリの記事描き始め200日は何を記念としようか。。。 とはいえパリの街の魅力は尽きない…

パリ小話 パリの駅

フランス語で駅のことを「Gare」といいます。パリには主要な国鉄(SNCF)の駅が6つ。それぞれ行き先が違い、趣も異なる駅がパリの中心部を避けて、街を取り囲むように点在しています。 北駅 Gare du Nord:フランス北部、イギリス、ベルギー、オランダへ 東駅 …

シャンゼリゼ小話 遠い遠い凱旋門

僕がまだ学生の頃にはじめてパリを訪ねたときに、「パリに来たらまず最初にシャンゼリゼを歩いて凱旋門へ行こう」と考えた。 パリ郊外のホテルから地下鉄をコンコルド広場で降り、地上に上がるとそこには360度これぞパリな風景が広がっていて、気分は大そう…

パリ小話 〜朝散歩4

カルーゼル凱旋門からコンコルド広場、エトワールの凱旋門、そしてグランアルシュ までは一直線上にならんでいます。観覧車ができてしまって、ちょっと邪魔なのだけど、この「抜け」はとても気持良い。 カルーゼルのアーチがあって、コンコルド広場のオベリ…

パリ小話 〜朝散歩3

僕はシテ島をあとにして、セーヌ沿いをルーブル方面へ。 パリで一番好きな芸術の橋「ポン・デ・ザール(Pont des'Art)」へ。 ここも朝一番は誰もいなくてとても気持ち良い。 車は通れない「人のため」の橋。床は木で覆われていて、ここを渡る時は足から伝わっ…

パリ小話 〜朝散歩2

レ・アル地区からセーヌ川へ抜ける。 パリの整然とした建物の上の青空がはっきり見えてきた。まだ太陽の光は街に落ちてこない。 ついこの街灯の写真をとってしまいます。この時は朝日に輝く空の光を、街灯が取り込んでいる見たいです。 パリ最古の、当時の技…

パリ小話 〜朝散歩1

この年のパリは、親子3世代の旅行で、なかなか自分のペースで街歩きができなかったこともあって、ある朝早く一人でパリの街を闊歩することにした。 まだ薄暗いうちにサン・ドニのアパルトマンを出発、人も車も少しだけという静かな街に出ました。建物を出て…

パリ小話 オルセー ラトゥールという画家

フランスには二人のラトゥールという画家がいます。一人はジョルジュ・ド・ラ・トゥール(Georges de La Tour 1593-1653)。光と影を見事に描き出す17世期に活躍した画家で、その作風から「夜の画家」と呼ばれます。僕の父は「大工の聖ヨセフ」という絵が好き…

パリ小話 オルセー閉館間際の至福

僕は2018年に約20年ぶりにオルセーを訪ねた。そんな20年ぶりに行ったので、ゆっくりじっくりとオルセーを堪能したかったのだけど、その時はなんと入場受付締め切り直前、僕たちの後ろ一組が「本日最後の入場者」という状態でした。 「近年のパリは」、「この…

パリ小話 オルセーとゴッホ

ゴッホは一般的に後期印象派に分類される。 僕は昔からゴッホの絵を見るたびに思うことがあった。 ゴッホは後期印象派に分類される この人を後期「印象派」という名前でくくるのは適切なのだろうか、と。。 2年ほどのパリ時代にゴッホは印象派の画家たちと過…

パリ小話 オルセーとルノワール

印象派の画家で、僕の中でもっとも早くブレイクした画家、ピエール・オーギュスト・ルノアール(1841-1919)。 光と空気の揺らぎを描いたのがモネ、自らの心のゆらぎを通して日常世界を描いたのがゴッホならば、ルノアールは「人々の幸せの空気を描いた」画家…