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旅行の記憶と何気ない日常を

ローマ小話 S.P.Q.R.

現在のローマの街を歩くと、あちらこちらで目にする「S.P.Q.R」の文字。何かのお知らせのチラシの最初に、看板の頭に、街灯に、マンホールの蓋に、そして古代ローマの遺跡に、このS.P.Q.R.の文字が並びます。

S.P.Q.R.とはラテン語で”Senatus Populus Que Romanus”の4つの頭文字です。直訳すると「ローマの元老院と市民」。これはローマ共和政、帝政通じて古代ローマの国家そのものを表すサインとして共和政期から使われるようになりました。

意味としては、文書に書かれるのであれば「元老院議員ならびに市民諸君、注目!」「ローマ市民のみなさーん!」という呼びかけだったり、軍の軍団旗にS.P.Q.R.と刻んで、「我々はローマの軍団である」ことを示し、公共建物や施設にはローマ(元老院と市民)のものであることを示すために、いろいろなところにこのS.P.Q.R.が誇らしげに刻まれていました。

 

この写真はフォロ・ロマーノのサトゥルヌス神殿。ファサードにはS.P.Q.R.の原文が刻まれています。

 

カエサルのフォロの前に立つ、カエサルの像。ここの台座にもS.P.Q.R.。「ローマの元老院と市民諸君!ユリウス・カエサルです!」という感じでしょうか。CAESARの文字より、S.P.Q.R.の方が文字が大きいんです。

 

これはカピトリーノ広場の現代の街灯の根本にあるS.P.Q.R.。現代のローマ市は古代に倣って街のあちこち、掲示物やお知らせその他いろいろにS.P.Q.R.を使用しているらしい。現在ローマには元老院はないのですが、古代ローマの末裔として(?)S.P.Q.R.を活用している模様。

ローマ人にとっての「S.P.Q.R.」は国家ローマそのものを表すサインでした。ローマ市民にとっての安心であり、心のよりどころであり、誇りでもあった。ローマ軍の兵士たちはこの4文字によって士気を高められ、「S.P.Q.R.」の文字に命をかけた。ローマ人の心揺さぶる、そんな力がこの「S.P.Q.R.」の文字にはありました。

 

現在でもローマ市でこの「S.P.Q.R.」が使われてるわけだけど、古代ローマ人は多分寛容に「好きなだけ使え!」と言ってると思います。

 

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