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パンテオン1 全ての神々に捧げる神殿の中へ

パンテオンはローマ帝政初期に誕生し、その形をほぼそのまま維持している貴重な建物です。古代ローマの遺跡はほぼどれも半壊または全壊のような状態であることを考えると奇跡ともいえなくもない。コロッセオでも触れたように、本来ローマンコンクリートを使ったローマ建築は非常に耐久性が高く、二千年くらいの時間はものともしないのかもしれません。でも実際のコロッセオや他のローマ建築がぼろぼろなのは、後世の人間が破壊したから。それら遺跡は建築資材の調達場所として利用され人間によって少しずつ崩されていった。

一方で、パンテオンローマ帝国崩壊後もキリスト教の教会として使用されたため、人による破壊を免れました。そしてその形をほぼ変えることのなかったパンテオン

二千年もの時を経て、古代ローマの技術の高さを今でも世界に伝え続けるのです。

*イタリアで買った絵葉書

 

ここから見える姿はまるでギリシアのコリント式神殿です。正面にある円柱は高さ12.5mの高さがあり、エジプトから運ばれた花崗岩の一本岩で作られています。入り口の空間には合計16本の円柱が並び、その中で4本だけ赤い花崗岩が使われています。コリント式の柱頭は大理石で作られていて、ファサードの下、円柱の間を通っていくと時は、ギリシアのコリント式神殿に入るが如く、です。

その先に現存する最も古い大きな青銅の扉が現れ、いよいよパンテオン内部に入ります。

 

内部に足を踏み入れると、そこにはロトンダと呼ばれる円形の空間が広がります。見事な床、見事な内壁の装飾が色大理石によって構成され、円周を八当分した方角にはそれぞれ祭壇のような空間が設けられています。そして上を見上げると。。。

 

 

そして上を見上げると見事なドーム天井がこの空間を包み込んでいることがわかります。そして天井には直径9mの明り取りの窓(オキュラス / Occulus)が開いており、そこから太陽の光が聖堂内に差し込む様はとても幻想的。

床や下層の壁の色大理石の見事な装飾とは対照的に、ドーム内側は無機質な、今でいうコンクリート打ちっぱなしの天井なのですが、そこに施された格間と呼ばれる無数の四角い段々がOcculusからの光によって影を作り、不思議なほど豊かな表情を見せてくれます。その様子は鮮やかな色大理石の床や下層の装飾を地味に感じさせるほど。パンテオンのドーム天井は芸術的であり感動的でした。

二千年もの間、姿かたちを変えずに存在できたということに加えて、僕は二千年も前のローマ人の感性に脱帽するばかり。この空間に入るとなぜここがパンテオンと呼ばれ、なぜキリスト教徒が教会として利用しようと思ったかがすんなり腹落ちします。当時のキリスト教徒はこの素晴らしい空間を使わずにはいられなかったのでしょう。

 

パンテオンには画家のラファエロやアンニバレ・カラッチ、作曲家のアルカンジェロ・コレッリ、建築家のバルダッサーレ・ペルッツィといったルネサンス期の芸術家や、近代イタリアを統一したV.エマニュエレ2世など、多くの著名人たちが葬られています。パンテオンを訪れたら、この人たちの墓石を一つ一つ探していくのも楽しいでしょう。

 

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