cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

シャモニ小話 トレッキング

f:id:fukarinka:20210403133518j:plainアルプス観光の醍醐味は、壮大な自然に、手軽に誰でも簡単にアクセスできること。ロープウェイや登山電車が嘘のような場所まで万人を運んでくれる。手軽に登って、アルプスの大パノラマを堪能した後、手軽に戻ることもできるのだけど、よりアルプスの自然を身近に堪能するために別のオプション=トレッキング(ハイキング)コースもまた充実しているのです。ここシャモニにもたくさんのトレッキングコースが用意されていて、このときはメール・ド・グラスを起点に歩きでモンタンヴェールからシャモニまで、まずは氷河の谷を歩き、その後山々を迂回してもどるようにシャモニを目指すコースで約10kmくらいの道のりです。

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*ものすごい風が

この日、早朝はとても穏やかで気持ちの良い天気で、さっきまでいた氷河の上もとても快適でした。しかし太陽がこの谷を照らし始めてからモンブランの方から「暴力的」ともいえる強風がこの谷を吹き降ろし、僕はこの暴力的な風の中をトレッキングをすることになったのでした。

 

下の写真ではこの時の「暴力的な風」はまったく伝わらないのが残念。

この谷の奥の方がエギュイーユ・デュ・ミディやモンブランになるのですが、厚い雲に覆われてよく見えません。

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*針の峰

明るくなって陽を受けるドリュ針峰(Aiguille de Dru)。氷河の対岸に鎮座する鋭い山です。モンブラン周辺の山々はかなりの確率でAiguille=「針の峰」と呼ばれます。この山々のナイフのような稜線をみるとその所以に納得です。

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岩だらけの場所から、緑が根付く地帯まで降りてきました。相変わらず暴力的に風が吹いています。が、相変わらず風は写真で表現できないのが残念。

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斜面の緑と氷河の青白のコントラストがとても印象的でした。

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針峰群を迂回する折変えし地点。ここから山々の向こう側に入ってシャモニの方へ向かいます。

ここの場所からはメール・ド・グラスと取り巻く山々が一望できます。自分がいかにちっぽけな存在かを思い知らされるとにかく雄大な景色です。

ここでこの景色を見ながら昼食をとります。朝は氷河の上、昼はこの景色が見ることのできる場所で食事というのはこの上なく贅沢な環境です。

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*と思いきや

確かにメール・ド・グラスの一大パノラマが見える場所なのだけど、この景色を見ようとすると氷河を降りてくる暴風を真正面から受け止めなければなりません。息をするのも苦しい向かい風で食事どころではありません。なので、大きな岩陰に隠れて風を避け、食事をしました。そうしたら同じように、風を避けて食事をする子供たちにも遭遇。僕と同じように岩陰で風をしのいでいます。

本当はこの景色を満喫しながら食事をしたかったんですけどね。

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*一変して穏やかな。。。

山を越えシャモニの街側の斜面に入ると、さっきまで吹き荒れていた風が嘘のようにおさまった。なんだこれ?と思い、少し引き返してみると、氷河の谷側は相変わらず暴風が吹き荒れている。こちら側は、氷河の谷側の状況が嘘のように穏やかに「無風」になっていました。分厚い雲もなければ風もない、太陽が顔を出して日差しが暑いくらい。ほんの数百約メートル移動しただけで、この差はすごい。でも、これが山岳地帯の天候なのです。

ここからは右下にシャモニの街を、左にシャモニ針峰群、正面にモンブラン山群とボソン氷河を眺めながら進みます。

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しばらく歩いてシャモニの街が見下ろせるところまで来ました。

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*水!

山のこちら(シャモニ)側に入ってから風が止み、日差し強く大汗かきながらのトレッキングになりました。用意していた水も尽きて、喉がカラカラ。そんなとき、ちょうどこの急斜面を流れ落ちる滝というか小川に出会った。

シャモニ針峰群の雪解け水が山の斜面を流れ落ちている。一見してとても透明で美味しそうな水をまさしく天の恵みと、僕はこの川の水を直接流れに口をつけてガブガブ飲んだのです。とても冷たくて、とてもおいしかった(その後お腹も壊すことなく)。多分人生で一番美味しいと感じた水です。 

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この中のちょうどいい石の上で荷物を下ろし寝っ転がって一休み。空を見上げて水の流れる音を聞きながら過ごす時間はとても贅沢でした。そして、いつまでいても飽きませんでした。

 

途中、こんな岩から逞しく生える花。

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シャモニの方からやってきた子供たちとすれ違う。

暴風注意。

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この日、山のこちら側はとても天気が穏やかで、トレッキングコースから見える景色はどこを切り取っても素晴らしい。スイスのベルナーオーバーラントを歩いたときのことを思い出します。あのときは雨に降られ雲に覆われ何にも見えなかった。。。あの時の経験があるので、今日この日のありがたみをものすごく感じるのです。

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 遠く先にモンブランとエギュイーユ・デュ・ミディへのロープウェイの乗り継ぎ地点、プラン・ド・レギーユが見えてきました。

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 昨日乗ったロープウェイが前方に見える。

歩きながら何本もロープウェイが通り過ぎて行ったけど、その動きは激しく、ゴンドラは大きく揺れ、その度中から歓声というか悲鳴が中から聞こえてくる。この激しさはスイスにはありません。

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プラン・ド・レギーユに到着。

今日もロープウェイは観光客を満載している。その先にケーブルが渡されて見えるのはエギーユ・デュ・ミディだけど、今日は雲に巻かれている。

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僕のこの時の記録はこのプラン・ド・レギーユで終わっている。

そのほかの部分は今でも鮮明に覚えているのだけど、このときこの後どういうふうにシャモニに戻ったのか記憶をたどれないのです。今ならスマホで無制限に写真をとって、GPSで経路が記録されいくらでも辿れるものだけど。でもこれも昔の旅の古き良き部分かもしれません。

 

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