イギリスで一番心惹かれる建物。
Big Benとウェストミンスター宮殿。
ウェストミンスター宮殿は「宮殿」と名前がついていますが、国会議事堂です。当時僕にとってはそのこと自体が衝撃的でした。日本の国会議事堂とウェストミンスター宮殿。あまりに違いすぎると。
テムズのほとり、ウェストミンスターと呼ばれるこの場所にはもともと11世紀から「ウェストミンスター宮殿」と呼ばれる王宮がありました。
1529年に大火災が起きて宮殿が焼けた後、王宮がホワイトホールに移ったことをきっかけに、当時ウェストミンスター周辺に起こっていた議会や裁判所がウェストミンスター宮殿に集まってきたと言います。そしてこの場所はのちに市民革命となったピューリタン革命、議会民主制誕生の舞台となり、そしてこれからEU離脱と、昔も今も政治的な歴史舞台であり続けるのでした。
1834年の火災でまたしても建物は焼失して、新しい宮殿が再建された。それが今のウェストミンスター宮殿。1840年に着工して1867に完成、ネオゴシック(ゴシックリバイバル)様式と呼ばれるとても美しい建物。本家ゴシックの重厚さに対して、ゴシックの構造的な美しさを継承しながら、繊細な線を用いて軽やかな印象を醸しています。新しくもあり、懐かしくもある、それがネオゴシック。
僕はロンドン滞在中テムズ川の対岸のこの場所から、何度もこの美しい建物を眺めました。
そして、ビッグベン(Big Ben)
ウェストミンスター宮殿の着工から遅れること12年、デザインも宮殿と少し違う時計塔として生まれたビッグベン。もともと「ビッグベン」とはこの時計塔で時を告げる大きな鐘の愛称だったのですが、いつのまにか、この時計塔そのものの愛称になったのでした。
1859年7月11日に最初にビッグベンはロンドンの街にその鐘の音を響かせました。時々トラブルに見舞われたけど、それから150年以上、ビッグベンはロンドンで時を刻み、金を鳴らし続けているのです。
テムズ川の向こう側でウェストミンスター宮殿とビッグベンを眺め、この街灯が綺麗なウェストミンスター橋を渡り、ビッグベンを間近に眺める。色々な時間にこの景色を眺めたけれど、この時の夕暮れ時、と言っても夜8時頃、に見たこの姿が一番、忘れられません。