cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

ローマとアルル

f:id:fukarinka:20200414181739j:plain僕はゴッホの足跡を辿りたくてアルルに来たのだけど、当時南フランスとローマの関係についていろいろ調べて、アルルはそもそもローマの街だということを知った。

 

今では僕の中で当然のこととなっているアルルと南フランスとローマの関係だけど、当時はまだ「こんなところになぜローマ?」という疑問があった。でもこうやって少しずつローマに興味を持ってヨーロッパを旅すると、いく先々にはほぼ必ずと言っていいほどローマの痕跡が存在する。あちこちでそれを見つけては、どんどんローマにはまっていくことになったのだ。 

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アルルの街とローヌ川

この辺一帯の呼び名である「プロバンス」はラテン語のProvincia=「属州」が語源となっている。南仏プロバンス地方は当時ガリアと呼ばれたフランスにあって早くからローマの属州(Provincia Romana)として栄えた場所だったことから、「プロバンス」と呼ばれるようになった。

 

そろそろ話をアルルに戻そう。

ここアルルの起源は紀元前6世紀にギリシア人が作った街。そして紀元前123年に支配者となったローマ人が地勢上ローヌ川のほとりに位置している要衝であるここアルルを、この辺り一帯の首府とした。そのおかげで街は栄えて円形闘技場、半円劇場、テルマエ(公衆浴場)などローマ文化が街にあふれた。その後もローマ帝政末期には初期のキリスト教の重要な拠点となりアルルは長いこと南フランスで重要な街であり続けた。

 

アルルはそういう歴史のある街なのでゴッホ以前にローマの遺跡がたくさん残っている。

 

円形闘技場

1世紀に作られた円形闘技場で、完成当時は3層構造で2万5千人を収容。長い歴史の中で採石場にされ、要塞に作り変えられ、放置され、、という時期を経て19世紀に改修され、現役として復活。現在、闘牛やコンサートなどで使用されている。

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Arena

半円形劇場

 紀元前27年頃作られたので、円形闘技場より先にアルルに作られた。数百年にわたってアルルの市民を楽しませてきたけど、5世紀には採石場とされてしまい、9世紀には要塞に作り変えられ、その後埋没という悲しい運命を辿ることになる。ほとんどが破壊されてしまった。今観客席があるけど、これは近代に復元されたもの。

当時の姿を残しているのはわずかに残る円柱と舞台の土台、観客席のごく一部。

とはいえ、毎年オペラ、コンサートが行われる現役の、ある意味とても贅沢な劇場。

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アルルの円形劇場

コンスタンティヌスの公衆浴場

4世紀、皇帝コンスタンティヌス1世がアルルに滞在していた時に建造させた、ローマの公衆浴場。ローマ人は快適な生活を求め、どこの都市にも必ずと言っていいほど公衆浴場があった。

コンスタンティヌス1世はキリスト教を公認した初めての皇帝として知られ、キリスト教世界にとってはとても重要な人物。今でもコンスタンティヌスの浴場として親しまれるのはこのためなのだろう。

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コンスタンティヌスの公衆浴場

 

フォーラム広場 (Place du Forum)

ゴッホの描いた「夜のカフェテリア」があるフォーラム広場は古代ローマの街の中心Foro(Forum)があった場所。もともとあった神殿の正面ファサードの右端一部の遺跡が現代の建物の壁に埋め込まれその名残を示している。

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アルルの街角

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アルルの街角

 

上の写真はちょっとした街角の風景だけど、ローマの建築の一部と後世の建物が融合しているアルルとローマのつながりをよく表している1枚。

アーチの上に黄色い花が咲いている。このアーチを抜けた向こう側の家並みもとても魅力的な小径。こういうところもアルルの魅力。

 

 

アルルは古代ローマの重要都市として発展した。そしてローマが歴史舞台から退いた後もキリスト教布教の重要拠点として息づいた。旧市街を歩くとローマの遺跡とロマネスク様式のキリスト教関連の建物があちこちで見られる。

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サントロフィーム教会のある共和国広場

 僕はゴッホを訪ねてアルルにやってきた。でもそこはゴッホだけでなく長い歴史と芸術・文化が息づいていた。アルルはローマとキリスト教の折り重なった重厚な佇まいに、ゴッホの足跡が加わることによって他にはない、不思議な魅力を持った街となっているように思う。僕にとってアルルはまた訪ねたい、特別な街。

 

関連リンク

アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群|フランス 文化遺産|世界遺産オンラインガイド

 

 

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