フィレンツェの風景
僕はこの年、サンタ・マリア・デル・フィオーレの目の前の宿で過ごした。ロケーションは最高、宿のご主人も最高に人懐っこいおじいさんでした。
夜明け前に宿を出て、昼間とは打って変わって、嘘みたいに人のいないフィレンツェの街に繰り出しました。
誰もいないシニョーリア広場。ヴェッキオ宮殿も静かにたたずみます。
ダヴィデの前を通って、ウフィツィを抜け、アルノ川に向かいます。
アルノ川沿いに歩いていると
空は徐々に色づいてきました。
日が昇る直前、淡い水色の空をバックにピンクに染まる雲。こんな空に出会うことがあります。僕の一番好きな空の眺めです。
ミケランジェロ広場に着くと、こちらでもダヴィデが迎えてくれました。
朝日が顔を出し、
フィレンツェの街も朝日に染まり始めます。
フィレンツェの1日の始まりです。
宿に戻ると
朝日を浴びるジョット鐘楼が、サンタ・マリア・デル・フィオーレのファサードが映えます。こちらも中々幻想的です。
フィレンツェは昼間はまるでディズニーランドが若く人が溢れます。歩いても楽々回れるこじんまりした狭いフィレンツェは、その魅力によって世界中から観光客が集まってくるのです。その結果、昼間は恐ろしいほど人が溢れる。大好きな街なのだけど、この人混みだけはいただけません。そこで僕は昼はフィレンツェを離れて近所のトスカーナの街を巡り、朝と夜にフィレンツェの街を徘徊するのです。朝と夜、そこには静かで洗練されたノイズのないフィレンツェの街が広がるので。