ヴェネツィアの海のGallery
「海よ!ヴェネツィアは汝と結婚せり!」
ヴェネツィアは毎年、海と結婚の儀を執り行います。
朝日に輝く海、海を行き交う大小無数の船。
かつて1000年続いたヴェネツィア共和国を彷彿するこの景色。
世界にふたつとない海の都はその景色もまた海と共にあるのですね。
ヴェネツィアで思い思いに過ごす人々の幸せな姿を。
サンマルコの桟橋を背に過ごすお年寄りたち
サンマルコ広場で鳩と遊ぶ子供達
おっとびっくり
助けてよう〜
ヴェネツィアの子供たちは逞しい。遊ぶときは運河にかかる橋をいくつも超えていく。
3輪車だって自分で運ぶのさ。
人の洪水。
この街の人々はこの街を誇りに思い、この街をこよなく愛す。
この街を訪れた人たちは、この街の虜になって帰っていく。「いつかまた来たい」という思いを抱きながら。
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運河とゴンドラのGallery
ヴェネツィアの風景に欠かせないゴンドラ。
その存在はヴェネツィアの長い歴史と共にありました。
500年変わらぬ景色と共に
ゴンドラは運河をいく
ゴンドラ職人の粋が息づく、シンプルにして技術がつまったゴンドラのシルエットは
ヴェネツィアの日常にあって
芸術作品としても
遜色ないのです
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ヴェネツィアの夜が開けます。
サンマルコ寺院の向こう側がだんだん明るくなってきました。
どの教会も東西南北決まって正門は西向きに作られるので、ファサードから眺めると朝は後光が刺すように背後から朝日を浴びるし、夕方は正面から夕日を浴びて聖堂は赤く染まります。サンマルコ寺院も例外ではありません。
ほとんど人も鳩もいない、僕の靴音だけが聞こえてくるサンマルコ広場はとても気持ち良いです。
朝のサンマルコ広場を独り占め、と思いきや、掃除のおじさんたちが広場を片付けていました。
サンマルコ小広場の街灯が静かに床の幾何学模様を照らします。ヴェネツィアの二つの円柱のその先にはサン・ジョルジオ・マッジョーレが朝日を浴びようとしています。
ドゥカーレ宮殿はとても厳か。
ゴンドラの向こうにサン・ジョルジオ・マッジョーレが静かに佇んでいます。
桟橋に静かに波打つ海の音はとてもリズミカルで心地よいのです。
だいぶ明るくなって空がいい色に染まり出しました。
もうまもなくヴェネツィアに朝日が届きます。
朝日が登ると海は輝き、ヴェネツィアの海は「海の都」の名のとおり大小無数の船が縦横無尽に走るのです。ヴェネツィアの1日が始まりました。
そしてサンマルコ広場の1日も始まります。
この人たちは観光客が押し寄せる前に、出勤してきたヴェネツィアの人々。
観光客がいない朝は、空気もひんやりして、とても気持ち良い。
この朝のサンマルコ広場での夜が明けていく様子はまた格別でした。徐々に明るくなり、太陽の光が建物や海の色を少しずつ染めていく。それをほぼ独り占めという状態。
そして昨日の夜、潮が満ちて広場に大きな水たまりを作り、サンマルコ寺院や広場が水面に幻想的に映るような状態が、朝どんな風になっているのかも興味津々でした。が、朝になったら何もなかったように、潮は引き、人々の生活が普通に始まっている。これがヴェネツィアの日常。僕がここで起こるひとつひとつの事にいちいち感動しているけれど、ここに住んでいる人々にとっては何のことはない、いつもの出来事なんだ。
サンマルコ広場の夜の美しさはまた格別でした。
サンマルコ寺院や広場を囲う列柱廊のライトアップ。列柱廊の途中には、ところどころぶら下がるランプのようにカフェの明かりが強く輝く。
カフェには広場に面したステージが設けられ、お抱えバンドがいろいろな音楽を奏でている。バンドはストリングスとアコーディオン、ピアノ中心の4,5人編成が多い。柔らかな風とともに聞こえてくる音楽は目に映る景色とともにとても心地よいものだった。
いまだ大勢いる観光客も様々で、それぞれ気ままに過ごしている。なかでも音楽が好きな者はバンドのそばに集まってくる。眺めてみると、あるカフェのバンドは人だかりができており、別のカフェでは人もまばら。集まる客の数にばらつきがあるようだ。耳を澄まして聞いてみると、人が集まっているところというのは有名な映画音楽、世界的にヒットしたポップスなどを演奏しているようだ。しばらくすると、人の少なかったカフェのバンドメンバーが演奏をやめ、なにやら相談している。そして再び演奏始めると、その当時世界中で大ヒットだった映画「タイタニック」のテーマが始まった。気がつくとさっきまで閑散としていたこのカフェの前に人だかりができていた。
といった具合に有名な曲が演奏されるたびに人の波があちこち動くといったふうで客観的に見ているととてもおもしろい。かく言う僕も自分の気に入った曲が流れるとあっちへふらふらこっちへふらふらしていたのですが。。。。でもやっぱり、聞こえてくる音楽はほとんどがアメリカ音楽。そう、ここはヴェネツィア、イタリア。「アメリカ人観光客のおかげでヴェネツィアに悪趣味が蔓延している」と塩野七生さんが著書の中で嘆いていたのを改めて思い出した。そういえばサンマルコ小広場(海に面したところ)のカフェではジャズバンドが演奏してた。これもアメリカ。「悪趣味」かはともかく「アメリカ」が相当蔓延している。でもサンマルコ広場のこの美しさは、正直もうどんな音楽か聞こえてこようと関係ないってほど素晴らしかったのです。
そのうち広場のあちこちの排水溝から水がゆっくりあふれてきた。潮が満ちて広場に広がり始めたのです。潮の勢いは静かで、でも着実にその範囲を広げ、やがてカフェの周りや広場のあちこちに大きな水たまりを作っていった。その様子はモン・サン・ミシェルの朝の満潮への移行の時のよう。大半の人は広場を去ったが、カフェでは水に浸かったいすに座り相変わらず音楽を楽しんでいる人がいる。水たまりに飛び込んではしゃぐ人たちもいる。
僕は水たまりをよけ、広場の中央に座り込み「サンマルコ劇場」の舞台をゆっくりと眺めていました。僕の前にできた大きな水たまりに目を落とすと、その水面にはサンマルコ寺院がゆらゆら映っている。 あまりの綺麗さに思わずため息がでる。
*逆さサンマルコ寺院
広場の真ん中、敷石の上に座り込みこの幻想的な姿を描き留める。あっちこっちのカフェから、優しい音楽が聞こえ、目の前にはサンマルコ寺院が水面に映る。人々は水をよけるように歩いていく。とても贅沢な時間でした。
その間も水たまりは徐々に大きくなっていき気がつくと僕が座っている場所は離れ小島になりかけていました。長い時間過ごして、スケッチもして満足した後、「今日はこれまで!」と立ち上がり、すっかり人が減った広場をばしゃばしゃ水たまりをすすみ離小島から本土たどりつく。そしてサンマルコ劇場を後にしました。
小広場から海に出てホテルへ向かいました。海側もかなり潮が満ちて歩道が半分海につかっていた。こんな光景もヴェネツィアならでは。
サンマルコ広場から歩いて3分のホテルまで行く道で、「溜息の橋」の前を通ります。夜の淡い気怠い光に照らされる溜息の橋はぞっとするような存在感でした。
海が引き起こすちょっとした出来事は、ヴェネツィアの魔法にかかって幻想的な風景に姿を変えるのです。ヴェネツィアはその街の美しさだけではなく、海に浮かぶ不思議さと合わせ、こういった海に絡んだいろいろな「ならでは」が人々を惹きつけ続けるのでしょう。
世の中には「○○のヴェネツィア」称される場所がいくつかあるけれど、ここだけがヴェネツィアであってヴェネツィアのような街は二つとない、とこの日、僕は思ったのでした。
次の朝、夜明け前に街に出て、まず真っ先にサンマルコ広場にむかった。潮が引き、昨晩の水たまりもすっかりなくなって、鳩も、人もいない広場には僕の靴音だけが響く。「世界の大広間」、「サンマルコ劇場」を独り占め。次回はそんな早朝のサンマルコ広場を。
ヴェネツィアは細く複雑に入り組んだ路地がいっぱいです。
歩いてヴェネツィア本島を移動するとき、二度と同じ道は辿れまません。ヴェネツィアを歩くには地図は必要ない。「地図は用をなさない」と言ったほうがいいかもしれない。人ひとりがやっと歩ける路地、複雑に組合わさったたくさんの小さな道を歩くには、地図はかえってじゃまになるようです。
どの方角になにがあるかを頭に入れ、あとはひたすらそっちの方角へ歩く。迷ったと思ったらちょっと大きな運河に出れば方向修正できるので、道はわからなくとも目的地にはたどり着く。ヴェネツィアの路地とはそんなもの。
塩野七生、「イタリアからの手紙」の一説によれば。。。
「ヴェネツィアをわかりたいと思ったら、夜、人のいない街を歩きたまえ。自分の靴音だけを聞きながら、運河に沿って、建物の壁に沿って歩くのだ。」
ふらふら歩いているとひょこっと「サンマルコ広場、リアルト橋、こっち」という看板に出逢います。本当か?と疑いながらその矢印に従っていくと突然視界が開け、広場に到着する。
運河にかかる小さな橋と家並み。ここには「ヴァポレットはこっち」とある。
運河には橋と共に洗濯物もかかる。一般の民家は漆喰が剥がれてレンガ剥き出し。その風合いがまた良いです。ヴェネツィアの日常を垣間見た気がします。
路地が細いから、陽の刺すところと刺さないところのコントラストがくっきり。光と影。ヴェネツィアという街をよく表す一枚です。
光と影、運河にかかる橋。これもヴェネツィアを暗示するような一枚。そして建物の微妙な傾き具合も。。。
ヴェネツィアの街歩きは新鮮な驚きや、発見の連続です。当てもなく歩いていると、突然こんな小さな運河に出逢います。ゴンドラが休んでいます。
小さな路地から小さな運河。
真っ直ぐ伸びる路地というのがほとんどない。真っ直ぐのようでも緩やかにカーブしてる。
そういう路地、意図したものかどうかはわからねど。それがヴェネツィア。
ここは露骨にカーブしてる。レンガ剥き出しの建物がいい風情を醸し出している。
ヴェネツィア工事中。
ヴェネツィアらしいというより、イタリアらしい一コマ
これもイタリア。渋い建物と鮮やかな花。そしてカラフルな洗濯物。
細い路地を颯爽と歩く。路地の細さと建物の壁が躍動している一枚。
僕が見つけた中でヴェネツィアで最も細い路地。
今ならスマホでナビもできるし、軌跡も辿れる。写真を取ればGPSで位置情報が記録されるから「2度とたどれない」ということはまずないでしょう。でも、辿れないことの尊さというのがあって、僕はこっちを大切にしたいんだなあ。