cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

ロンドン小話 〜マーキー

ロンドンを訪れた当時、僕はバンド小僧の端くれだった。アパートの部屋で毎日ギターを弾いて、自己満足の世界に浸っていた。正直、腕前は大したことない。とても人様に聞いてもらえるようなレベルではないけれど、バンドマンの端くれとして、ロンドンに行ったらマーキーに行こうと決めていた。

マーキーはロンドンにある老舗のライブハウス。でも単なる老舗ではなく、1958年に誕生以降、様々なジャンルのビッグネームが、ビッグネームになる前にマーキーでライブを行って、世界的なミュージシャンへと羽ばたいていった、ブリティッシュ・ロックの登竜門。ジミ・ヘンドリクスレッド・ツェッペリン、YES、ジェネシス、クイーン、ローリングストーンズ、デイヴィッド・ボウイ、ポリス、プリテンダーズ、U2デュラン・デュランアイアン・メイデン、デフレパード。。。マーキーでライブを行わずにメジャーになったのはビートルズくらい?ともいわれるほど、1995年に閉店するまで、ブリティッシュ・ロックの中心であり続けました。そして僕はその最後の頃にマーキーに行ったのでした。

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とりあえず、その日にやってるライブを聞こうと、その夜の前売り券とオリジナルのTシャツを買った。その夜、マーキーTシャツを着込んでいざマーキーに入った。

その日のライブはパンク。ギンギンに歪んだサウンドに耳をつんざくボーカル。これぞ「ザ・パンク」なライブが繰り広げられていた。客はまばらだったけど、バンドはとても気持ち良さそうに絶叫してる。

その時の写真が下にあるけど、ずーっとスモーク炊かれてたような、僕の記憶の中もバンドのクリアな映像が残ってなく、なんとなくステージ上のバンドメンバーが見える感じ。

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 この時のことで忘れられないのが、何度か失神しかけたこと。

ボーカルの絶叫と歪みまくったギターの音が、増幅されてでっかいモニターから大音響、音の塊として全身にぶつかってくる。歪みまくった音の塊は、ものすごい攻撃力で僕の体にアタックしてきて、何度か鼓膜が、聴覚が耐えられなくなったのか、一瞬気を失ってガクッと膝が折れるという今まで体験したことのない症状に見舞われたのでした。パンクおそるべし。。

4回目の膝ガクで、これは耐えられん。。。と退散。僕の最初で最後のマーキーはパンクの勢いに負けた。でも、マーキーに行った、という事実が当時の僕には嬉しかった。

 

僕は死ぬまでの間に、新しくやりたいことと、中途半端に終わってしまったのでもう一度やりたいことがいくつかある。バンドというかギターはその一つ。若さに勢い余って空回り、僕のギターはそんな感じだったような気がする。もう少しして時間ができたら、改めてギターをじっくりやりたいな。

 

 

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