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フィレンツェ小話 天国の門と地獄の門

f:id:fukarinka:20220108175906j:plainフィレンツェのサン・ジョバンニ洗礼堂の東の扉にあるのは1492年完成のロレンツォ・ギベルティ(Lorenzo Ghiberti 1378-1455)による初期ルネサンスの傑作。以降のミケランジェロ初め以降の芸術家にたくさんのインスピレーションを与えてきました。

この扉はミケランジェロによって「天国の門」と名付けられたのは前回お話しした通り。

この天国の門に影響を受けた作品が日本にあります。その名も「地獄の門

天国の門 ロレンツォ・ギベルティ(Lorenzo Ghiberti 

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地獄の門 フランソワ-オーギュスト-ルネ・ロダン(François-Auguste-René Rodin 1840- 1917)

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このロダンの「地獄の門」は上野の国立西洋美術館にあります。

1880年ロダンはパリの装飾美術館の入り口の扉の制作を依頼されました。そのときダンテを熱烈に愛読していたロダンフィレンツェのギベルティによる「天国の門」に倣い、ダンテの「神曲」の「地獄篇」を表現しようと即決したそうです。最初は「天国の門」のようにいくつかのパネルに分かれたデザインだったものが、どんどん混沌とした地獄の様相を表すように変わっていったと言います。全体的なフォルムはフィレンツェの「天国の門」とその周辺部と同じですが、ディテイルは完全にロダンのダンテ「神曲」に着想したどろどろした「地獄の門」。

現在このブロンズの「地獄の門」は世界で7つあるそうで、その一つがここ東京上野にあるというのはとても幸運なことです。

 

ちなみに国立西洋美術館の表庭には「地獄の門」のほかにも「考える人」「カレーの市民」といったロダンの作品があります。

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