ここシテ島はパリ発祥の地であり、ここノートルダムはフランスの信仰の中心。
当然観光客も大勢押し寄せ、下手をすると入るために広場に長い列をつくり、やっとの思いで中に入っても大勢の人にまみれながら見て回ることになってしまう。
そこで僕は朝、ノートルダムに行くのです。
朝、世界各地からの観光客が動き出す前に行くのです。
まだ朝日がパリの街を照らす前にホテルを出て、観光バスのない、人気の少ない、通勤の車が行き交う道を行き、橋を渡り、ノートルダムに向かって歩きます。
聖堂前の広場では掃除のおじさんがホウキをかける音が響きます。その横を通って、いつものように聖母マリアの門から中に入ります。聖堂の内部は外で聞こえていた朝の街の音が、乾いた騒音がうそのみたいに静かで、人もいないのでざわつきの音もなく、自分の靴音が響くのが気になるほど。本来の聖堂の姿、本来の空気を感じることができるのです。そんな人もまばらな聖堂をくまなく歩き、南北のバラ窓、聖母マリア像、ゴシックの見事な構造美などをゆっくり、本当にゆっくりと心ゆくまで堪能することができるのです。
そして、もうひとつ朝の特典があります。
それは昼間は開くことのないファサード正面、中央の「最後の審判の門」が開かれる場合があるということ。
身廊中央から東側の最後の審判の門の方を眺めると、ちょうど朝日が差し込んで身廊の床を輝かせます。この景色は朝しかお目にかかれない。
そして東のバラ窓と最後の審判の門からの光、この姿はとても神々しく、朝早くに来て本当によかったと感じるのです。
朝のノートル=ダムはとにかく人がいない。
それが昼になるとこういう状態になります。ノートル=ダムの価値からすれば、当たり前の光景と言えるのですが、朝の心地よさを知ってしまうと、昼間に内部へ入るのを躊躇してしまいsます。
外も同じ。朝はこんな感じに人がとても少ない。
昼に来ると大抵、こんな状態です。
朝のノートル=ダムを一通り堪能して外に出ると、人が増え初めていました。ノートル=ダムに徐々に集まってくる人間たちの様子を鳩が眺めている。
ベンチに座り、ふと後ろを振り向くと植え込みの上はこの状態。
雀の大群が羽を休めてました。これも朝ならでは。
ヨーロッパを旅行すると、やはり世界遺産初め、綺麗な景色、歴史的価値のある場所には行きたくなる。でも、そういう場所はやはりみんな行きたがるので、色々な国の人々が大勢押し寄せることになるのです。僕はどこに行ってもほぼ欠かさず朝歩きます。で、朝歩くと大体いいこと、良い景色に出会うのです。
中でもパリのノートル=ダムは、朝ならではの良いことがたくさんある場所なのです。
次にパリに行くことがあったら、やはり朝ノートル=ダムに行くでしょう。