ヴェネツィアは海の都で主要な交通手段は船。運河や海には大小数えきれないほどの船が行き交います。そんな街の旅の友(移動手段)も、地下鉄でもバスでもトラムでもタクシーでも自転車でもない、船なのです。
ヴェネツィアの足の筆頭といえば、ゴンドラを思い浮かべる人がほとんどだと思います。でも僕にとってヴェネツィアの足といえば、滞在中何度も搭乗し、このヴェネツィアの記述でもすでに何度も登場した庶民の足「ヴァポレット(水上バス)」なのです。
ヴァポレット(Vaporetto)
ヴェネツィアにあってパリの地下鉄やロンドンのダブルデッカーのような存在です。そもそも日常の足がこんな船だなんていうのがそもそもウソのよう。
1881年から運行しているヴァポレット。最初は蒸気船だったそうです。その後ディーゼル船になり今にいたりますが、この先環境問題に対してどんなふうに変化していくのでしょう?
ヴェネツィア中どこへ行くにも便利で僕はとことん利用しました。
ヴァポレットの停留所は浮島のようになっています。陸から少しはなしたところに浮島を作ってそこが待合室になっている。
乗船口には自動ドアはなく、無機質な銀色の棒があるだけ。停留所に着くと、車掌(船掌)のにいさんが桟橋にロープをひょいと巻き付けながら停留所の名前をブツブツつぶやくように言いながら銀の棒をスライドさせて搭乗口を開き、乗客をサバサバと捌いていく。検札もめったになく船内放送もない。とても質素なこのシステムもとても心地よい。
ヴェネツィアの日常に溶けこんで存在していて、このヴァポレットの船掌さんはたぶんヴェネツィアの子供たちが最初に意識する職業=子供に人気の職業なのではないだろうか。