かつてのヴェネツィア共和国の玄関口はサンマルコ広場でした。ヴェネツィアを訪れる外国人は、海から必ずここに上陸したそうです。
ローマ人の物語の著者塩野七生さん曰く「ヴェネツィアを訪れるなら船に限る」。海から眺めるヴェネツィアと徐々にせまるサンマルコ広場、その感動は計り知れない、と。
僕は列車でヴェネツィアに入ってしまったので感動の度合いは違うかもしれないけれど、その「海から」の雰囲気を少しでも味わおうと考えた。そんなわけで水上バス「ヴァポレット」に乗り、大運河をたどり、海からサンマルコ広場を目指したのでした。
サンタルチア駅から大運河を、古く歴史ある、かつ斬新な建物を両岸に眺めながら進むとやはて見えてくるサンタ・マリア・デッラ・サルーテ(Basilica di Santa Maria della Salute)のクーポラは大運河の終わりの目印。ここを抜けると広い干潟の海がひらけます。そして左手にはサンマルコ広場の鐘楼が見えてくるのです。
そしてヴァポレットはサンマルコ広場の正面に出る。
水上バスのヴァポレットですら、海からサンマルコ広場に入ることは、僕にとっては十分すぎるほど感動的でした。もし外海から船で入港でもしたものなら感動して気を失っていたかもしれません。
右手にドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)、左手にマルチャーナ図書館が正面両脇に構えます。
サンマルコの象徴「有翼のライオン」と「聖テオドーロ」の二つの円柱(Colonne di San Marco e San Todaro )が訪れる人々を迎え、サンマルコ広場へと導くのです。
サンマルコ広場、ヴェネツィア共和国に上陸です(という気分です)。