cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

カエサルと "借金”

海賊に囚われた時には50タラント(約50億円)もの身代金を従者に借金に走らせたり、按察官時代に行った二つの大事業を自費で行ったり、この時期、35歳にしてカエサルの借金は既に膨大な額でした。さらに生涯かけてカエサル天文学的な数字の借金をすることになります。しかしカエサルは借金(ラテン語 debituum)を悪とは考えません。

膨大な額の金を何に使っていたかといえば、街道の修復や公共広場の建設などの公共事業を行うため、また自分の軍団兵のため、また、たくさんの愛人に喜んでもらう贈り物を買うため等々。当時元老院議員たちはこぞってパラティノの丘に豪邸をもつことがステイタス。カエサルはこの手の「自分の財産を溜め込む」とか、「豪邸建てる」などといった、いわゆる私服を肥やす的なこととは無縁で、借りた金は右から左へ次々と活用していった。そう、活用していったんです。借金で自分の身代金を調達し、海賊に誘拐された人々の命を救い、ついでに海賊退治する。借金で公共事業行って重要な国のインフラを整備して民衆の支持を得る。借金でイベント開催して民衆を楽しませて、人気をとる。カエサルの借金=お金の活用は周到で緻密な計算に基づいている。

また、借金が巨額になると貸す側に逆に大きなプレッシャーがかかり、援助せざるを得なくなる。貸した側は、貸した金がふいにならないために、カエサルが破綻しないようにさらに援助をしたといいます。

 

カエサルとお金の使い方を象徴する、よく語られるエピソードがあります。

戦役中、カエサルは配下の軍団の大隊長たちから借金をします。そしてその金を末端の兵士一人一人にボーナスとして振舞う。すると兵士は感激して一層勇敢に戦い、大隊長たちもカエサルが負けては自分の金が戻らないと必死になって戦った、と。

 

カエサルにとって世の中に存在する全てのお金は「誰か個人のもの」という考え方はなかったようです。そしてカエサルはお金の活かし方を知っていた。

「うなるように金は使うが、カエサルは私腹を肥やすことにはまったく興味が無かった。」

ローマ人の物語に記されたこのフレーズがカエサルとお金、カエサルと借金に対する姿勢をずばり表現している。

さすがにこれをそのまま現代社会で真似をすることはできないけど、「お金」を別の事柄に置き換えると、現代を生きるいろいろな人生のヒントが見えてくる、そんな気がします。

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