バルセロナから北西へ60kmに位置する岩山の上にモンセラはあります。
バルセロナから鉄道でモンセラに到着。この景色が迎えてくれます。
自然が作り上げたその景観は”奇観”そのもので、この場所は地中海と並んでアントニ・ガウディの発想の原点となった場所です。
この景色を間近に見たとき、ガウディの作品の数々が脳裏をよぎりました。
この奇岩群の中にサグラダファミリアがあり、カサミラがあり、ミラーリェスの石門があり、そして実際には見てないけどコロニアグエル教会も見ることができました。
ここ、モンセラの信仰は11世紀にベネディクト派の修道院が建てられたことから始まります。
14世紀、カタルーニャがイスラムの侵入に苦しんでいたころ、ある農夫がモンセラの洞窟の中から黒い聖母子像を発見しました。その後イスラム勢力が衰え引いていった時に、モンセラで見つかった聖母子像がカタルーニャを守ってくれたと、モンセラをカタルーニャの聖山とするようになました。それから聖母マリア信仰はカタルーニャ中に広がっていきました。
ところが、モンセラの修道院は1811年のナポレオンのピレネー越えにより破壊されてしまいました。そして長い間廃寺となっていたのですが、1858年から修復工事が始まりました。その工事には当時まだ建築学校の学生だったガウディが参加していました。
ナポレオン軍からカタルーニャの自由を守ろうと勇敢に戦ったモンセラの修道僧の話はカタルーニャの勇気と愛国心の象徴として語り継がれています。モンセラは信仰だけでなく、カタルーニャの自由、魂の象徴としてのカタルーニャ人の聖地でもあるのです。
カタルーニャ出身の天才の一人、チェロ奏者パウ・カサルスの像がひっそりあります。
モンセラの修道院からの周りの風景
ひたすらの荒野が続き、川が一本流れ谷を深く刻んでいます。フランスからピレネー越えてスペインに入った時も思ったのですが、フランス側の緑の大地とは対照的に、スペインは乾いた、荒涼とした大地の風景が続いていくんです。
その中にモンセラはひとつの砂つぶのように小さく、でもカタルーニャの人々にとってはとても大きく存在するのです。