パリのシテ島周辺のセーヌ川沿いには古本市ブキニスト(Bouquiniste)が連なります。17世紀、ポン・ヌフが完成した当時、新しい橋を見ようと見物客が大勢集まりました。それを当て込んでここで本を売り始めたのがブキニストの起源と言われています。以来「世界一大きな露天商店(自称)」としてここで営業を続け、今ユネスコの無形文化遺産登録を目指しているとか。
朝方とかメーデーの日などの閉店時、小さな緑の箱(コンテナ)がセーヌ沿いにズラーっと連なっています。屋台(店)が閉まっているときの上蓋が閉められている様子は、見方によっては「ゴミ捨て場」のようにも見えるのですが、それが開くと下の写真のように即席の小さくも賑やかな店が現れ、なんとも華やかな店の連なりができるのです。
コンシェルジュリー近くのブキニスト。楽しそうなものがたくさん売っています。
No.50って書いてあるのが緑のコンテナの横壁で、蓋を上に開けて屋根みたいにしていろいろぶら下げているのがわかります。
ユネスコの世界遺産登録を目指す一方で、近年は観光客向けの土産物の売り上げ比率が大きくなり、昔からの伝統的な純粋な古本屋を貫くことが難しくなってきているとか。
実際、古本屋というより、お土産物屋みたいなブキニストもたくさん見かけた。純粋な古本屋としてのブキニストが伝統的な残すべきものと思いがちですが、そもそもブキニストの発祥はポンヌフの見物客目当ての商売だったわけで、時代の流れにのって中身を変えるのは良いことだろう。でも、せめて古き良きブキニストのスタイルは守っていってほしいと思う。
下は店主のいないブキニストで留守番中に居眠りしているわんこ。
無形文化遺産になるかはわからないけど、ブキニストは末長く残って欲しいものです。
セーヌ沿いのブキニストが並ぶこの風景も、僕が好きなパリなので。