cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

ローマ小話 ローマの商魂

今日は朝から雨で、こんな日にはあの時のローマの街でみた土産物売りを思い出します。

☆ みやげ物売り ☆

イタリアに限らず観光地と呼ばれる場所には多くの土産物屋があります。日本では大抵の場合、土産物のお店を思い浮かべますが、海外ではいわゆる店舗の他に屋台を出すタイプ、小物専門に売り物を手に持ったり体に貼り付けて売り歩くゲリラタイプがあって、スタイルは様々です。これらは今も同じじゃないかと思います。

 

☆ 朝のヴァチカン ☆

あの日のローマは天候がとても不安定で、雨が降ったりやんだりカミナリ鳴ったりと大忙しの空でした。この日の僕の予定は、朝一番にまだ観光客が動き出す前の静かなサンピエトロ大聖堂を堪能し、次にバチカン美術館には開館と同時に入り、一目散にシスティーナ礼拝堂へ行き、まだ人のいない静かな礼拝堂でミケランジェロに対峙する、というものでした。

そして予定通り、朝早く人々の集まる前の靴音響くサン・ピエトロ大聖堂内を歩き、そして久しぶりにミケランジェロのクーポラに登り、ローマの街を上から眺めた。雨上がりのひんやりした空気とくすんだローマの街、そして荒れた天気の日特有のドラマチックな雲の織り成す空をのんびり堪能できました。

そして上の方から何気なくサンピエトロ寺院に隣接するバチカン美術館のほうを眺めた。すると、美術館のヴェルヴェデーレの中庭に人がぼつぼつ出始めているのが見えた。遠くに見える人々の服装を目を凝らしてみてみると、どうも普通の観光客のようだ(!?)。思っていたより開館時間が早かったんだ。システィーナ礼拝堂をゆっくり堪能するために開館と同時にバチカン美術館へ行く予定だった僕は、大慌てでクーポラを降り美術館へ向かいました。

 

☆ 美術館への道のり ☆

 美術館へはサンピエトロ広場を出た後、サン・ピエトロ大聖堂を背にして左へ行き、バチカン市国の市壁沿いを歩いていくのだけど、その途中ヴァチカンの高い市壁に沿って不吉な行列が目に入る。「まさか」こんなに。。。と行列を横目に、美術館の入り口を目指します。さらに祈りながら美術館入り口に到着すると、「まさか」は「やっぱり」に変わる。長い長い美術館に入るための列が連なっていたのでした。その長さは400~500mはあろうか。。。 僕はあきらめて列の最後尾まで戻って並び、美術館の入り口を気長に目指したのでした。

 

☆ 商魂 生き残りの術 ☆

 すると、その行列のあちらこちらにゲリラタイプの土産物売りが登場し、行列に並ぶ人々相手に売り込みをはじめる。彼らは店を持たず、絵はがきやら小物を手に売り歩くタイプで、観光地と呼ばれる場所には必ずと言っていいほど現れる。どこからでも攻めてくる彼らに、僕はあまりいい印象を持っていないのだけど、こういう行列に並ぶ観光客を攻めるにはこのタイプの売り方が効果的ではある。

 美術館の行列は確かに長いがすすみが早く、これならば思ったよりかなり早く中に入れるだろう。さすがヴァチカン美術館、器の大きさが違います。これだけの行列がフィレンツェのウフィツィ美術館にあったなら、2日かかっても中には入れないだろう。。。 などと考えていたら、ぽたぽたと雨が落ちてきた。

↑これはサン・ピエトロ大聖堂への行列

 豪雨ではないけど、ほっておくとすぐにびしょびしょになる程度の、ちょうど今日みたいな雨に、僕は折り畳み傘を取り出し突然の雨をしぎ、周りも次々に傘をさし始める。しかし行列の中には結構な人数の「傘を持たない人」もいて、雨に濡れるがままになっている。その傘持たぬ行列に近寄る人影、それはさっきまで絵はがきを売っていた単身の土産物売りだ。あの顔ついさっき見た前後に土産物をぶら下げていたゲリラ土産物売りは、いつの間にか、そしてあっという間に傘屋に大変身しているではないか!その変わり身の早さに感心すると同時に「一体その傘やカッパは今までどこにあったのか?」という素朴な疑問がわいてくる。そういえばミラノとヴェネツィアのちょうど中間にあるヴェローナの街でも同じ光景を見たっけ。そこの土産物売りは傘ではなく、雨合羽だった。あのときの変わり身の早さにも驚かされたっけ。

 

☆ だますつもりもないんだろうけど ☆

 ゲリラ土産物売りにとって、この突然の雨というシチュエーション、ここヴァチカン美術館への入場行列に対する戦略商品は「超小型折り畳み式ワンタッチ傘」。傘売りに早変わりした土産物売りは、この戦略商品をしきりに開いたり、閉じたりデモンストレーションしながら行列の横を行ったり来たりしている。

すると僕の二人前に並んでいたアメリカ人が「買うぞ」と手を挙げた。傘売りに化けた土産物売りはお金をもらい黒い傘を渡しました。結構ずぶ濡れになってしまっていたアメリカ人の観光客は「やっと雨から逃れられる」と安堵の表情を浮かべながら買ったばかりの傘を開いた。次の瞬間、彼のワンタッチで傘がバスッと開くと同時に、びりびりっと音がして傘には大きな穴が開いてボロボロ、さっき買ったはずの傘はもうすでに使い物にならないものと化していました。

恥ずかしさと怒りが入り混じったそのアメリカ人の彼の表情と仕草は、不良傘をつかまされた当人には本当に申し訳ないのだけど、まるでテレビでコントを見ているようで笑いを堪えるのが大変でした。不良傘を片手に彼はきょろきょろしながらさっきの土産物売りを探しています。しかしすでに文句を言おうにももう傘売りはどこか別のお客のところへ消えてしまっていた。

 傘が壊れていたのはもちろん偶然のことだと思われるのだけど、こんな様子を目の当たりにした僕は彼らゲリラ土産物売りに対してますますいい印象を持てなくなった。でも彼らの、つねに状況に応じて素早く対応する「ビジネスマインド」というか「商魂」には学ぶべきところが大きいと思った次第。

 そんなこんなで30分ほどで僕はバチカン美術館の門をくぐった。一番にシスティーナ礼拝堂へ向かったのだけど、結局すでに大勢の人が訪れていて、礼拝堂内は人々のざわめきが響いていました。システィーナ礼拝堂のよいところは、目当ての作品が天井や祭壇の高いところにあること。これだけ人が入ってもミケランジェロの鑑賞にはまったく邪魔されることはない。但し、首は疲れますが。。。

 

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