cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

ツェルマット〜ゴルナーグラート

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ゴルナーグラートへの登山電車乗り場へ行くと、出発時間までまだ後20分はあると言うのに、もう行列ができていた。しかもというか、やはりというかその90%が日本人だった。世界では「行列を作るのは日本人くらい」と言われていたが、そのまんまだった。

わいわい日本語の飛び交う満員の車内は、スイスのツェルマットであるはずなのだけど、”ここは都内か?大阪か?”という感じだった。電車が出発して駅を離れると、スイスのきれいな風景が広がっていく。僕はなるべく思考を窓の外に集中して、離れていくツェルマットの村の景色とマッターホルンの姿を眺めていた。「ここはスイス、ツェルマット。何も聞こえない」。

ちなみに登山電車の右側の席に座ると、谷側、ツェルマットやマッターホルンを気持ちよく眺めることができます。

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40分くらいだっただろうか、標高3089mにあるゴルナーグラートの駅に到着。このとき僕の人生での最高到達の高度でした。

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電車を降りて展望台の方へ行きます。

周りを見渡せば、アルプスの山々がすごく近い。そして空が濃い。空の青が果てしなく濃いのです。

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そしてマッターホルンはまだ雲に隠れることなく姿を見せてくれました。

ゴルナーグラートからのマッターホルンはツェルマットから眺めるのとはまた違った印象を受けます。ツェルマットから見たマッターホルンは「人」、巨人でしたが、ゴルナーグラートから見ると鋭くとんがったピラミッドです。どこから見てもほぼ同じ姿の富士山と違って、マッターホルン始めアルプスの名峰は見る方向によってずいぶん印象が変わるものです。

 

写真で見るとわかるように、このときすでにマッターホルンの向こう側、イタリアの方からたくさんの雲が押し寄せてきていました。

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マッターホルン(Matterhorn 4478m)は高さはこの後紹介するゴルナー氷河沿いの山々より低いのだけど、マッターホルンだけ孤立しているので、形と合わせてとても目立ちます。

この辺は日本の富士山と似ています。

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遠くから眺めているとあの鋭くとがった山に登った(登る)人がいることが信じられないけど、あそこまで到達した人が大勢いるそうです。

マッターホルンは最初「霊峰」として恐れられ、登山家から敬遠されていたそうです。登頂の挑戦が始まったのが1857年、最初に登頂成功したのが1865年。8年もの在月をかけて、失敗したり、死者を出したりした後、イギリス人のグループが初めて登頂に成功したそうです。しかしこの時も下山途中で3名が滑落して命を落としたとか。

日本人が最初に登頂したのは1923年。大正12年。そんな時代にこんな冒険をしようという人が日本にいたと思うと誇らしく思えます。

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ゴルナーグラートからはマッターホルンの他にもたくさんの名峰を見ることができます。壮大なゴルナー氷河をはさんで4000m級の山々がずらりと並びます。スイス・アルプスにある38峰の4000m級の山のうち29峰がこの谷を取り囲んでいるそうで、このこともゴルナーグラート、ツェルマットが世界中から人気のある理由だといいます。

写真ではこの巨大感と奥行き感がわかりづらいのですが、とにかく壮大なんです。

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 上の写真の左のはしから、ゴルナー氷河(Gornergletscher)が始まります。

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そのすぐ横に猫耳のような頂を持ったモンテローザ(MonteRosa 4634m)

その右隣にはリスカム(Liscomm 4527m)

二つの名峰の間から流れていくのが、グレンツ氷河(Grenzgletscher)。下でゴルナー氷河に合流します。

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リスカムの隣、写真左の二つのピークがカストル(Castor 4228m)とポルクス(Pollux 4092m)

その右に広がっているのがブライトホルン(Brighthorn 4164m)

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 ブライトホルンの足元をゴルナー氷河は流れて行きます。何度もしつこいようですが、すごい迫力なのです。

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僕は観光客のひしめく展望台から、奥に進み、山の尾根伝いに更に奥へ向かってみました。

写真の真ん中に写っている尾根を歩きました。この尾根の向こうに小さく見えるのがゴルナーグラートの展望台です。

ここは標高3000m、少し歩いただけで息が切れてしまいます。

人がたくさんのゴルナーグラートの展望台から少し離れたとても静かなここで、岩の上に腰掛け、朝御飯を食べながら大パノラマを満喫しました。

周りには誰もいない、この景色を独り占めです。

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 モンテローザを望む崖の上にはいくつもの石塚が。

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ご飯を食べてのんびり過ごしていると、このときすでにマッターホルンに雲がかかり始めていました。到着したばかりの時、イタリア側の向こうから押し寄せていた雲が、もうマッターホルンを覆い始めていたのです。ゴルナーグラートについてから1時間もしないうちに。

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 さあ、これから山をおります。マッターホルンを見ながら、と思っていたのですが、またしても雲で覆われるトレッキングとなりそうです。

 

www.gornergratbahn.ch

www.zermatt.ch

 

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