cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

イタリア小話 イタリアへの道

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当時イタリアは治安の悪い国として知られていたので、いつも緊張感とともにイタリアへ入国していました。入国方法はその時々でいろいろ。空路で直接イタリアに入ったり、ドイツから、スイスから、フランスから鉄道だったり、車だったり。

 

*スパイが如く

初めて単身イタリアに行った時のこと。その時は空路でローマに入りました。ローマのフィウミチーノ空港に夜の9時到着。空港からローマ中心部まで列車で向かいます。その時のフライトはミラノ経由。ミラノで大半の客が降りてしまい、ローマまで行く人自体あまりいなかった。なので、その時に列車でローマ中心部へ行く人はほとんどおらず、空港駅の切符売り場は閑散としている。一つだけ空いていたチケット窓口で切符を買って寂しい感じのホームから、寂しい列車に乗り込んだのでした。まだ旅行に慣れてない頃でもあったので「治安の悪いイタリア」っていうけど、一体どう治安が悪いのか?想像膨らんでしまって、緊張感も最高潮です。列車に乗ってる人もほとんどおらず、でもポツポツ乗ってる人がいる。そのぽつぽつの人がみんな悪人に見える。

そしてローマに夜10時近く到着して、そこからホテルを探す。最初は駅から少し離れたところの宿を考えていたけど、近場で探すことにした。路地も暗くて、そこでまた人がぽつぽついる。賑やかに人がいればなんのことはないのだけど、治安の悪いと言われる街で、暗がりでぽつぽつと出くわす人はやはり、みんな悪人に見えてしまう。誰かにすれ違うときは身構えながら、閉店した店の前を過ぎるときはショーウィンドウの反射で自分の後ろに怪しい人影がないかを確かめながら、007さながらに夜のローマの街をホテルまで歩きました。

これは楽しいイタリア旅行の初日のことです。まあ、何も事件は起きなかったのですがね。

用心するに越したことはないのだけど、今思えば、、、、でもまあそのくらいでよかったと、今思ってもそう感じます。日本ではない場所では、常識を取っ払って過剰に注意して行動することがトラブルを遠ざけるために、旅行を楽しい思い出とするためにも最低限必要なことですね。

 

*緊張高める車両ペイント

さて、イタリア入国で一番多かったのが鉄道なのだけど、これもまた緊張感高まります。

例えばスイスからイタリアへ向かう時。スイス国内はどの駅も清潔で花が飾られて、のどかさと洗練がミックスされたとても良い雰囲気です。車窓から見える景色もとても気持ちが良い。それがイタリア国境を越えるあたりで状況が変化するのです。まだ国境越えたばかりはスイスの影響が残って綺麗なのだけど、だんだんと荒んでいくのがあからさまにわかります。

イタリア人のおおらかさといえばそういうことなのかもしれません。当時経済的にも低迷してしまった「治安の悪い国」とはこういうことかと肌で感じました。そしてこの時ジュネーブからミラノへ向かったのですが、ミラノに近づくにつれて、駅も列車も落書きの量が増えていく。当時さらに治安の悪い場所として知られたニューヨーク。テレビで見たニューヨークの地下鉄もこんな感じに落書きペイントだらけだった。○分に1件の強盗事件、1日に○件の殺人事件が起こるニューヨークみたいな街?。。。そんなことが頭をよぎり、緊張感が最高潮に高まった状態で、無事ミラノ中央駅に到着。

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*おかげさまで

そんな感じに、イタリア入国の思い出というのは、「緊張感」しか残っていません。でも、そのおかげもあってか、トラブルに遭遇したことは一度もなく、そこから始まるイタリアの珠玉の街々を放浪した思い出は素晴らしいことばかり。

これからしばらく, 街も人も歴史も豊かで奥深い、イタリアの思い出を綴ります。

 

*ところで、国安全度を示す指標に「世界平和度指数」なるものがあるそうで、2019年のそれによると日本は9位に対して、イタリアは39位だそうです。イギリス45位、フランス60位とあるので、イタリアの治安はだいぶ改善したんでしょうね。全168カ国の統計によるもので、ちなみに1位はアイスランドアメリカは128位、中国は110位だそうです。

 日本を基準にするとどこも危険となってしまいますが、最低限の注意を怠らなければ、楽しい旅行になるはずです。

 

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