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ルーブル美術館2 展示部門のはなし

f:id:fukarinka:20200411141129j:plainルーブル美術館の展示は、古代オリエント古代エジプト古代ギリシアエトルリア・ローマ、彫刻、絵画、工芸美術、素描・版画の7つの部門に分かれています。

時代やその背景に従って、部門の繋がりもあり、それぞれが工夫して魅力的な展示を見せてくれているわけです。ちょっとその中身と歴史をたどってみます。

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古代オリエント部門

(シュリー翼・クールカレ北半分とリシュリュー翼にかけて)

1881年に始まった部門で、中近東の古代文明の歴史的コレクションが多数。学校の教科書にも出てきたメソポタミア文明アッシリア、ペルシア、シュメール王国、バビロニア王国などなど。フランスの考古学調査隊が調査、発掘した成果、また侵略による戦利品が展示品としてならびます。中でももっとも重要なものとして、バビロニア王国の「ハムラビ法典(紀元前18世紀)」が(下のルーブルで買った図録の写真左)。

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古代オリエントは歴史的な重要度は認めるものの、僕の興味からは少し外れるせいもあって、あまりほとんど写真がのこっていません。。。

 

 

古代エジプト部門

(シュリー翼・クールカレ東側)

1826年に創設され、いちばんフランス考古学界と深くかかわりのある部門。この部門を創設したのがジャン・フランソワ・シャンポリオン。この人はあのロゼッタストーンでエジプトの古代文字であるヒエログリフを解読した人。この人のおかげでエジプト部門のコレクションは世界最高の充実度と言われている。

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実際、ファラオの像や浮き彫り、多数のミイラ群もさることながら、古代ナイル流域に生活する人々を感じるコレクションが多数。下の図録にあるように、有名な書記の座像や役人夫婦の像など、ルーブルのエジプトコレクションの人気は古代エジプトの生活を知るこれらなもなき人々の展示品が多いことだと言われています。

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古代ギリシアエトルリア・ローマ部門

(地上階と1階 ルーブルシュリーからドノン翼南側)

1800年からルーブルにあった「古代博物館」を起源とした部門。その展示品は王室コレクション、イタリアから持ちこまれたものを中心に、その後の戦利品などで構成され、ヘレニズム初期からローマ帝国末期までの作品が展示品されています。大理石彫刻から青銅器、陶器、銀、象牙、ガラス細工、そしてモザイク画と言う膨大なコレクションは古代美術史の全てがここにあるとすら言われるほどです。

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僕自身、ルーブルに欠かさず来るのがこの部門です。

 

 

■絵画部門

(ドノンのほぼ全て、シュリーからリシュリュー翼の2階)

 フランソワ1世以降王家のコレクションとナポレオンの時代の各地からの戦利品(1915年に多数返却)が展示品の基礎となっていて、世界で一番絵画数とカバーする地域、時代が広いと言われています。

絵画部門の2/3を占めるのがフランス絵画。13世紀以降の王の肖像に始まり、17世紀のジョルジュ・ラ・トゥール、18世紀のルイ・ダヴィッド、19世紀ジェリコードラクロア、アングル、コローといった巨匠をを中心に印象派登場前のフランス絵画が一堂に会します。

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フランドル・オランダ絵画も充実していて、ヤン・ファン・エイクメムリンクルーベンスレンブラントフェルメールを中心とした豪華なコレクションが。

フランス以外で最も充実しているのがイタリア絵画。ルネサンス前のチマブエ、ジョット、フラアンジェリコに始まり、ボッティチェリ、レオナルド、ラファエロといったフィレンツェルネサンスの画家たち、ヴェネツィアのヴェロネーゼ、ティントレット。。。気絶しそうです。

 

■素描・版画部門

レオナルドはじめ、多くの画家たちのデッサンと版画がコレクションされている。数は膨大だけど、展示環境がむずかしくあまり表には出てこない。

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■美術工芸部門

1893年に彫刻部門から分離された、貴重な貴金属や家具を集めたもの。多くは王家や貴族の持ち物だった。王の紋章入りの盾と冑やら、つえの装飾、貴族の寝台、戸棚、テーブル等々。中には王が所有したビザンチン帝国の三つ折り祭壇といったものもある。

工芸品としては相当な価値のあるものなのだと思うけど、僕にとってはあまり興味をそそらないものたちのため、今までほぼスルーしてしまっている。

 

■彫刻部門

(地上階リシュリューにフランス彫刻、ドノンにイタリア彫刻)

彫刻芸術は古代ギリシアの時代に完成しました。それは古代ローマで模倣され、古代彫刻の多くは古代ローマの時代につくられたもの。ルネサンスでその価値を再認識され、ミケランジェロはじめイタリアの芸術家が自由に多くの彫刻作品を残しました。そしてその影響が各地へ広がり、フランスにもその余波が伝わります。

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ルーブルではそのフランスの作品とその他(ほとんどがイタリア)の作品展示にわかれていて、その時代的影響のつながりがわかるように古代ギリシア・ローマからイタリアの彫刻へと展示が展開していくのです。

 
 

僕はいままで1度だけ、朝から晩まで1日中ルーブルにいたことがありました。 でも1日使っても全てをみることはできず、また美術品を見ること自体結構体力を使うので、夜には精魂尽き果てヘトヘトになったことを覚えています。数日かけてじっくり回りたい、心底そう思いましたね。

グランルーブル計画のコンセプトは、実はパリ市民や近隣のフランス国民を第一に考えて練られている。実際、外国から旅行でくる訪問者がルーブルを短期間で隅々までみることは不可能なので、どちらかといえば、何度も来れるフランス市民を第一に考えた。それが正しいし、きっとそうすることで、たまに来る、また一生に一度の訪問者にとっても利用しやすい美術館となるのでしょう。ルーブルはグランルーブル計画が完了して間違いなく、コレクションも施設も世界最高の美術館となった、と2018年に久しぶりに訪れた僕は思ったのでした。

 

 

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