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カエサル26 お家騒動

アレクサンドリアポンペイウスの死を知った後、カエサルアレクサンドリアプトレマイオス朝の内紛(お家騒動)に巻き込まれます。

ローマと良い関係を保ってきた先王のプトレマイオス12世が紀元前51年に65歳で亡くなった。先王の遺言では、

・姉クレオパトラ(当時18歳)と弟王子プトレマイオス13世(当時10歳)が共同で統治すること

・エジプト王家は今後もローマの同盟者であり続けること

とされていました。

ところが幼い弟王の家庭教師や宦官たちが、エジプトを自分たちのものとすべく弟王を担ぎ、利発的で聡明なクレオパトラ7世を排除に走るのです。アレクサンドリアに居着いた旧ローマ兵を味方につけた弟王側はことを優勢に進め、結果的にクレオパトラ7世はアレクサンドリアを追放されてしまいます。そんな最中にカエサルアレクサンドリアに現れた。

カエサルが国家ローマの執政官として下した裁定は非常にシンプルで、先王の遺言通り「姉弟での共同統治」でした。

しかし、策をめぐらし優位にことを進めてきた弟プトレマイオス13世側はこの裁定に不服をあらわにします。そして自分たちが独立統治を勝ち取れると思ったのか、アレクサンドリアにいるカエサルの軍勢が少なかったのをみて勝てると思ったのか、いずれにせよプトレマイオス13世の軍勢はカエサルのローマ軍に対して攻撃するという暴挙に出た。

プトレマイオス13世とその側近は、こう考えた

ファルサルスの戦いに勝利し、この先ローマの最高位者になること間違い無いカエサルに対して取り入らなければならない。そのためにカエサルの政敵ポンペイウスの首と指輪を差し出したことで、カエサルに貸をつくったつもりでいました。クレオパトラカエサルをうまく丸め込んで、味方につけたらしいことから、今回の自分たちに不利な裁定となったに違いない。せっかくポンペイウスを殺してやったのに、クレオパトラ側についたカエサルけしからん。ローマ軍勢少ないうちにクレオパトラ諸共葬って、自分たちがエジブトを統べるのた。

ローマから見れば、

カエサルはこの内戦においては「寛容」を貫ていた。どんな政敵であってもローマ人はには自由を与えていた。ポンペイウスについては何とか新しいローマを作り運営するために、説得を考えていただろう。ポンペイウスアレクサンドリアプトレマイオス王家を手厚く支援してきたローマの英雄、その恩人とも言える人物をプトレマイオス13世は騙し討ち同然に殺してしまった。

同胞を殺されたローマ人はその相手を許さない、一度許した相手がそれを裏切り攻撃してきた時、ローマがどう対処するか、ということについて過去を学ばなかったのか、あるいは「内戦」という敵味方の区分が難しい状況に、判断を惑わされたのか。。。弟王はローマに、カエサルに噛みついてしまった。ポンペイウス殺害に加えてカエサル軍への攻撃、これはローマに対する反乱に等しい。

終結

こうしてプトレマイオス王朝のお家騒動は、気がつけばプトレマイオス13世軍 vs ローマ軍(クレオパトラ支援)の「アレクサンドリア戦役」に発展します。開戦当初はカエサルの軍団が少数しかいなかったことで防衛に徹した戦いも、カエサル軍団到着後は勝負にならず、少年王プトレマイオス13世が戦死することで戦役は終わります。戦死と書いたものの、この時まだ15歳にも満たない歳でのおそらく何もわからぬままの死だったでしょう。これによってローマとエジプトの蟠りの素はなくなりましたが、アレクサンドリアの街は焼け、アレクサンドリア図書館も焼け、蔵書の多くが消失しまいました。

カエサルにとっては「いい迷惑」のエジプトのお家騒動はクレオパトラ7世と末弟のプトレマイオス14世が共同統治するということで落ち着いたのでした。そして弟王はとても幼かったため、実質的にクレオパトラ7世がエジプトを統治する形となる。

この時紀元前47年3月、女王クレオパトラ7世(当時22歳)が誕生となるのでした。そしてこの王が長い長い歴史を持つエジプト王朝の最後の王となるのです。

 

振り返ってみると

クレオパトラにとってみれば、とても理想的な形でこのお家騒動は終結するわけです。

当初のカエサルの裁定通りだったら、プトレマイオス13世(とその嫌な側近たち)との共同統治はとても窮屈なものになったはずです。それが、カエサルという後ろ盾を得ての、ほぼ単独の統治の女王になれたのですから。そこでふと思うのは、アレクサンドリアを追放迂され、カエサルを味方につけたあと、プトレマイオス13世側がカエサル軍へ攻撃する暴挙をさせたのは、何かしら策をめぐらせたクレオパトラだったのではないか?と想像してしまいます。。。。戦役となればローマ軍が勝利するのは火を見るより明らか。いくらなんでもプトレマイオス13世サイドがそんなことを考えるだろうか、と不思議で仕方ない。。。クレオパトラという人物を考えるとあり得るのではないかと、想像膨らんでしまいます。

 

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