cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

小話 外国から見た日本

僕の姉はたまたま国際結婚をしてかれこれもう30年以上ベルギーのアントワープに住んでいます。また僕にとっての姪と甥もいて、生まれた時からの付き合いで、よく遊んであげた(遊んでもらった?)ものだったけど、その姪も甥も二人とももうすっかり立派な大人になってしまいました。そんな二人がこの冬姉弟二人で日本に遊びに来ました。

姪っ子の方は世界的に有名な大手スポーツ用品メーカに勤め、立派なキャリアウーマンになった。姪っ子とは1年半ぶりの再会です。

甥っ子の方はまだ大学生。スケボー大好きな大学生なんだけど、自分で会社を立ち上げて、自分のルーツの半分である「日本」をデザインに活かした服のブランドを作って活動している。甥っ子とはコロナ前に会って以来6年ぶりの再会です。前に会った時はまだ10代で、背もまだ僕より小さかったけど、今は20代半ばになって体は随分大きくなっていた。

二人ともすっかり大人にはなってるものの、時折見せる仕草や振る舞いは、やっぱり小さい頃と変わらない、いくつになっても可愛いものです。ウチの娘たちにとっては年上の従姉弟に当たる二人は、娘たちとも仲良くしてくれるありがたい存在です。今回も4人で新宿や浅草や近くのパルコやコクーンに一緒に行って遊んでました。微笑ましい。

さて、そんな姪と甥は半分日本人だけど人生のほとんどをベルギーで過ごしたベルギー人(ベルギーのパスポートを持ってる)。姉だって今では人生の半分以上をアントワープで生きてるわけで、日本人の姿をしたベルギー人のようなものだ。

そんな姪甥が(姉も)日本に来ると日本の些細なことにいちいち感動するから面白い。それは日本人には当たり前すぎてなんでもないことなのだけど、改めて目をキラキラさせて話してくれるので、こっちもなんだか嬉しくなります。

日本に住んでる日本人では感じることのできない感動的な事柄とは何か。。。

①日本では食事処では必ず、お冷やかお茶が出てきますが、まずそれに感動します。しかも水には氷も入っている。そしておしぼりも出てくる。水はもちろんおしぼりだってとても清潔。姉も姪も甥も毎度毎度必ず、日本の食事処でお冷やおしぼりに感動する。恒例行事です。

②バスに乗ると、乗った人が座るかどこかに捕まるのを待って発車する。お年寄りや子供が乗ると、運転手さんはちゃんと席に座ったのを確認してからバスを発車させる。ベルギーではそんなのお構いなしに出発してしまうので危ないんだけど、日本のバスの運転手さんはすばらしい、と。その他公共交通の便利さの話は尽きません。

③富士山にやたら感動する。これは日本人でも感動はするけど、二人はやたら感動するんです。実際あれだけ綺麗なフォルムで周りに邪魔するものがない山は世界的にも稀な存在だし確かにキレイだ。そして姪甥にしてみれば、雪を被った富士山はまた格別なのだと力説してくれた。

④日本の天気の良さ。ベルギーは一年を通じてどんより曇り空がほとんどなんだそうで、スカッと晴れることなどほとんどなく、どんより空は気持ちもどんよりさせる、と。日本なら特に冬場の今頃は太陽が隠れる日の方が稀で毎日よく晴れる。青空と太陽は人の心にも良い影響を与えるといい、ヨーロッパで一番の怠け者がベルギーだとも言われていて、姉はよく、ベルギー人が怠け者なのはスカッと晴れることの少ない天気のせいだ、とよく言っていた。

甥っ子は日本のお寺とか漢字とか日本の文化も大好きです。僕は逆に古代ローマから続くヨーロッパの文化が大好きでアントワープの大聖堂もすごく好きだし、たまに短期間行くだけだからなんだろうけど、ヨーロッパの街の不便さというのも僕は好きなんですよね。多分僕が姪と甥を見て面白いと思っているのと同じくらい、僕がヨーロッパに行って感動してたことは姪や甥にとっては面白く不思議だっただろうと思います。

 

元々日本文化は独特で深く優れたものだった。ローマ人と同じく風呂好きで清潔だとか、街全体が隅々まで清潔だとか、災害時にも人々が規律正しく助け合う姿とか、おもてなしの文化とか、日本は優れた文化と気質を持っていた。便利とか安全とか暮らしていると忘れがちな「日本人にとっての当たり前」は、実は世界に誇れる高水準の文化なんだなと改めて誇らしく感じます。日本人の品格は現代版日本人として世界に誇れるようになったような気がする。 でもこれ、この20年くらいでだんだんと整ってきたものであって、僕がヨーロッパによく出かけた25年前の日本はとても世界に誇れるような国ではなかった。日本人の品性もバブル前後はとても褒められたもんじゃなかったし、街には洗練も清潔感も、バリアフリーな世の中も、なかった。。。だから僕はヨーロッパには理想の街があると感じていたのです。多少不便でも歴史と文化を大切にして、快適で美しい街を残していく、それが僕にとってのヨーロッパの街でした。

この10年ほどで日本はずいぶんいい国になったと実感します。25年前にヨーロッパで感じた日本人であることの後ろめたさみたいなものはすっかり無くなりました。

 

今日の飛行機で姪と甥はベルギーに帰って行った。また日本に遊びおいで。

僕もまたアントワープに行きたい。

 

 

おまけ:姪と甥のおもしろエピソードを少しだけ

日本に来た10代の姪っ子にどこに遊びに行きたいか聞くとその答えは、京都でも奈良でも鎌倉でもディズニーランドでもなく「渋谷のスクランブル交差点!」でした。

二人とも姿形は外国人なんですが、日本語はペラペラ。日本の街を歩いてて、そこらの日本人に日本語で道を聞いたりするんだけど、日本語で聞いてるのに英語で答えられると悩んでた。

小さい頃の面白言い間違いはとても可愛かった。姪は「ポテト」を「ぺぺぽ」、甥は「持ってきて」と言いたいとき「もっけして」、「ゲロ吐きそう」のことを「ゲロすりそう」。。。あげればキリがない。今でも時折出てくる日本語の言い間違いも面白く、甥は「プリクラ」のことを「プリキュア?」だし、姪はデパートの伊勢丹のことを「いさてん」という。うちの次女はトンカツ屋の「さぼてん」を「ちぼてん」とよんでたっけ。

 

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