cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

ツェルマット小話 〜村のお祭り

f:id:fukarinka:20200318010034j:plainゴルナーグラートから、精も根も尽き果てへとへとになって歩いて戻ると、ツェルマットではお祭りの最中だった。

狭く短いメインストリートにはテーブルが並べられ、臨時カフェが作られて、みんな思い思いに過ごしている。すごい人出だ。

 

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その一角に、ピアノマンならぬキーボードマンがひたすら弾き語りをしている。僕はこの手の"ライブ"に弱い。ついついふらふら音のする方向に近寄っていってしまう。しかもこのときのナンバーときたら、僕が大好きだった洋楽の名曲がずらり。疲れも忘れて、人混みにまみれて彼の演奏と歌を聴いていた。

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キーボードの周りに集まる人たちの楽しみ方は様々で、ローラーブレードをはいた女の子のグループはひたすら踊り続け、その隣では幼稚園くらいの子供がお母さんにくるくる回されて、他にも子供が3,4人できゃーきゃー言いながら飛びはね、喜んでいる。かたや、パーカーを着た一人の女の子はキーボードマンのすぐ傍らに立ち、彼のプレイをじ~っと、ひたすらじ~っと見つめていた。大小若者たちが踊りまくる周囲とのコントラストがとてもおもしろい光景だった。

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圧巻だったのはこのキーボードマン、全く休みなしでひたすら弾き語り続けている。一曲終わると間髪入れずに次の曲が始まる。本当に休む間もなく連続です。このとき実際のところ、ものすごく疲れていた僕は"あと一曲聞いたら帰ろう"と思っているのだけど、次から次へと好きな曲を歌うもんだからいつまで経っても帰れない。こんなペースで歌っていたら、いくら何でもそう長くは続かないだろうと思っていたのだけど、僕が聞き始めてから軽く1時間以上、彼は歌い続けている。ものすごいスタミナと丈夫な”のど”だ。更にまるで分終わる気配がない。

彼のスタミナに負けて、覚悟を決めてその場を去ることにした。そのあともしばらく、彼は歌い続けたらしい。


空を見上げると雲が覆って星は見えない。明日も、朝だけでも晴れてくれればいいのにと思いつつホテルに帰ったのでした。この日も長~い一日となりました。

 

 

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