サン・ミケーレ島 (San Michele)
レンガ造りの高い壁と糸杉の並木が立ち並ぶ、水際が特徴的なヴェネツィアの墓地の島です。
フランス占領下の1807年に、衛生面の問題から埋葬地をヴェネツィア本島や主要な島々から別の場所に置くことが決まります。そして歴史的に修道院や刑務所として存在してきたサン・ミケーレ島が墓地の島として選ばれました。
サン・ミケーレ島はヴェネツィア本島とムラーノ島の中間地点にあり、ヴェネツィアにあっては珍しく四角く造成された島です。
ムラーノ島に面した隅に教会があります。
このサン・ミケーレ・イニーゾラ教会(Chiesa di San Michele in Isola)は1469年に建設されたヴェネツィアで最初のルネサンス教会。
この教会の前の小さな広場がヴァポレットの停留所になっています。この場所以外は高い塀に囲まれていることもあって、ヴェネツィアの他の島とはずいぶん雰囲気が違います。
広場はとても静かでひっそりした雰囲気。観光客も含めて、ここが「墓地の島」であることは知られているからか、サンミケーレに到着時はヴァポレットの中も心なしかとても静かになるのです。
ヴェネツィアの人が亡くなると、ゴンドラに乗せられて、ここサンミケーレに運ばれるのだそうです。もしヴァポレットに乗ってサンミケーレ方面に向かうとき、花束を持っている人がいたら、ほぼこのサンミケーレにいく人なのだと言います。
僕はヴァポレットの停留所で何か神妙な気持ちになり、停留所を出発してこの塀に沿って進むとき、とても美しいレンガの壁と糸杉の景色なのに、何かとても物悲しい気持ちになりました。