数あるローマの広場の中で、もっとも美しいと思われるのがここ「ナヴォナ広場(Piazza Navona)」。
パンテオンから300mほどの距離にある美しい広場です。
細長い広場はバロックの建物で囲まれ、3つの見事な噴水がバランスよく配置されています。写真の細長い広場の奥にに「ネプチューンの噴水」、手前に「ムーア人の噴水」そして3つの噴水でもっとも華麗で有名なのが、広場中央にオベリスクと共に立つ「四大河の噴水(イタリア語:Fontana dei Quattro Fiumi)」です。
「四大河の噴水」は、1644-1651年にベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini, 1598-1680)よって製作されました。
ドナウ(ヨーロッパ)、ガンジス(アジア)、ラプラタ(南アメリカ)、ナイル(アフリカ)の四つの大河をあらわす彫像をオベリスクを中心に施すことで、カトリック教会が四つの大陸を支配していることを表現したと言います。
現代のローマの街を歩くと、あちこちでとても頻繁にベルニーニの彫刻作品に出会います。ベルニーニは古代遺跡で溢れるローマ街を華やかなルネサンスの街に作り替えたと言われるほど、その斬新な発想から生まれる作品はローマの街と共に賞賛されました。
「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのために作られた」
とまで言われたベルニーニとはそういう人物です。
ところが四大河の噴水を手がけるころのベルニーニは、時の法王の交代により苦境に立たされていました。ベルニーニはそんな逆境を覆すが如く「四大河の噴水」を製作し、この作品の成功によって法王の信頼も得て、その名声を取り戻したと言います。
ローマでも特に美しいと言われるナヴォナ広場には、ローマのために働いた天才ベルニーニの渾身の作品によって彩られているのです。
もう一つ、ナヴォナ広場が特別な理由はその「形」にあります。