cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

2022-01-01から1年間の記事一覧

小話 ユリウス・カエサル

これから"cafe mare nostrum"は「ローマ」へ進んでいくのだけど、そこで触れたい人物がいます。それは、 ユリウス・カエサル(Gaius Iulius Caesar)。 古代ローマ(ヨーロッパ世界)の英雄であると同時に、歴史的にも地勢的にも広く長く人類史に影響を及ぼし…

小話 地中海について

僕は「地中海」という場所そのものと、その言葉の響きがとても、たまらなく好きなのです。 日本語でいう「地中海」を表す各国語は "Mediterranean Sea(英語)" "Mar Mediterraneo(イタリア語)" "Mer Méditerranée(フランス語)" "Μεσόγειος Θάλασσα(ギリシア語…

オルヴィエト小話 雨と光と

この日は朝から雨が降ったりやんだりでした。それもかなりの大粒の雨がザーっと降ったかと思うと、スカッと日が差す。 傘を差すとまもなく雨が過ぎ、たたむとすぐに次の雨が落ちる、それを何度も繰り返すとても気まぐれ空でした。僕はこの日一日、雨と傘と格…

子供たちへ〜 オードリー・ヘプバーンの詩

友人が孫に描いた手紙をオードリーが詩に書き換えて「ときの試練で磨かれる美」という名前をつけたもの。彼女が生涯愛読した詩として知られています。娘たちにいつか、この詩を理解できる年頃になったら読んでほしい。自分勝手な都合で争いをやめない人に読…

オルヴィエト 風景

オルヴィエトの風景を。 颯爽と行く老紳士も 泣きながら走る子供も ドゥオモは静かに見守っている。 古い細い路地は古の趣を残し 雨に濡れ 輝く街は遥か昔からこの場所に 古から、なだらかに続く丘陵によってこの街は潤ってきました。 昔も今も変わることな…

オルヴィエトのドゥオモ

オルヴィエトのドゥオモ(Duomo di Orvieto; Cattedrale di Santa Maria Assunta)。Santa Mariaの名前にあるように、フランスで言えばノートルダム(Notre-dame)=聖母マリアを讃える聖堂です。 建立のきっかけは1263年に起きた「ボルセーナの奇跡」でした。ロ…

小話 もう一つの5月4日 

今日5月4日はオードリーヘプバーンの誕生日。 1929年5月4日にベルギーのブリュッセルで生まれたオードリーは子供の頃に第二次世界大戦で凄惨な戦争体験をしています。ナチスドイツに街が占領され、地下に隠れて殺戮の恐怖と飢えと戦い、目の前で友達がなくな…

小話 5月4日

May the force be with you. 5月4日は"May the Fourth"にからんでスターウォーズの日とされています。スターウォーズといえば善と悪、光と闇の間で葛藤しながら銀河宇宙の平和のために戦ったスカイウォーカー一族の物語。僕は子供の時1作目から全てリアルタ…

オルヴィエト

ローマからフィレンツェへ向かう途中、ウンブリアからトスカーナにかけての起伏に富んだ丘陵地隊には小高い丘に築かれた街がいくつも現れます。そしてここオルヴィエト(Orvieto)は、日本ではあまり知られていませんがヨーロッパでは「世界で一番美しい丘上都…

オルヴィエト 目次

ローマからトスカーナ地方へ向かうとその途中には、なだらかな丘の連続と小高い丘に築かれた街の姿をいくつも目にすることになります。ローマから北へ100kmあまりの場所にオルヴィエトはあります。 小さくも歴史深く由緒ある街オルヴィエトを訪ねてみます。 …

イタリア小話 長い時間

もう随分前のことになりますが、初めてイタリアを旅行したときのこと。 ローマの街やミラノの大聖堂、素朴な小さな街と初めてのイタリアに感銘受けつつ、僕もまだ10代だったこともあってか「イタリア人のいい加減さったら酷い」と辟易したことをよく覚えてい…

フィレンツェ小史

フィレンツェの歴史を振り返ってみます。 B.C. 5世紀 エトルリア人の集落誕生 ■ローマ都市の時代 B.C.59年 古代ローマ、ユリウス・カエサルにより入植地となる 花の女神フローラの街として「フロレンティア」と名付けられる 4世紀−9世紀 ローマ衰退によって…

フィレンツェ小話 普通の日

昨夜ゆったりと贅沢に夜を過ごして、この年フィレンツェはこのまま綺麗に終わる予定でした。でも昼前にヴェネツィアへの列車が出発するまでの時間、ひさしぶりに明るいフィレンツェを散策することにしたのです。今回滞在中は早朝と夜以外は別の街で過ごして…

フィレンツェ小話 最後の夜

僕にとってこの年のフィレンツェ最後の夜は、これといって特別な出来事があったわけではなく、淡々と、しかしとても贅沢に過ぎていきました。自由気ままにすごしたあの時間をのんびりつづります。 ☆ 最後の夜の始まり ☆ その日、朝から一日シエナを歩きまわ…

フィレンツェ 風景〜夜

世界の観光地の例に漏れず、フィレンツェの街も夜になるとあちらこちらで見事なライトアップが始まります。 日は落ち、空から光が引いてゆくとき、ヴェッキオ宮殿の時計塔の横に三日月が現れました。 空の漆黒深まると、燻んだ煉瓦色のヴェッキオ宮殿はより…

フィレンツェ小話 ルネサンスの黄昏

長い歴史の中では、ある時期ある場所に「天才」と呼ばれる人々が集中的に現れることがあります。紀元前5世紀のアテネ、15世紀のフィレンツェがそれにあたります。紀元前1世紀のローマもそうかもしれません。 アテネでは「天才政治家」ペリクレスの治世に未…

フィレンツェ 風景〜夕暮れ

陽が傾く夕暮れ時には、フィレンツェの街はとても華やかに色づきます。 色大理石が華やかなサンタ・マリア・デル・フィオーレのファサードは夕日を浴びると、控えめに表現して「宝石のように」輝きます。この建物が1日で一番華やかになるのがこの夕暮れ時。 …

フィレンツェとメディチ家

フィレンツェの歴史はほぼメディチ家の歴史。三百年にわたるメディチ家の栄枯盛衰を、傑出した人物と一緒に簡単に。 メディチ家は古くからの名門一族ではありませんでした。 13世紀に毛織物業が発展して貿易が盛んになったころ、金融業が急激に発展しました…

フィレンツェ 風景〜フィレンツェとは

フィレンツェの街が僕に教えてくれた、フィレンツェの姿です。 「イタリアの古い街とご老人」この組み合わせは最強です。きっとこんな景色は二千年前の古代ローマの街のころから、ルネサンス期もそして今に至るまで同じようにあるのでしょう。 フィレンツェ…

フィレンツェ13 サンマルコ美術館

サン・マルコ美術館 / Muzeo di San Marco サンマルコ美術館はフィレンツェの中心から少しだけ離れた場所、フィレンツェ大学の前に位置します。もともとドメニコ会修道院として建設、2014年まで修道院としても機能していたそうです。いまでは修道院は別の場…

フィレンツェとラファエロ

37歳で他界したラファエロはルネサンスの3大巨匠と言われるレオナルドやミケランジェロと比べて、若くとても短命でした。その短い生涯の中でフィレンツェで過ごした時間もまた短かった。でも、その短い間におそらく一生分の財産を手に入れた、ラファエロに…

フィレンツェ12 ピッティ宮殿とパラティナ絵画館

ピッティ宮殿とピッティ美術館、別名パラティナ絵画館 / Galleria Palatina メディチ家に対抗したピッティ家の大宮殿として1457年に着工。最初の建築家はブルネレスキでした。しかしメディチ家を意識しすぎてピッティ家は破産してしまいます。宮殿完成を待た…

フィレンツェ 風景〜路地

表情豊かなフィレンツェの街角、路地裏を ここがフィレンツェのどこなのか覚えてない。初めて訪れたフィレンツェで活気溢れる路地。この時ここで安い、けどかっこいい皮のベルトを買ったのを覚えています。 朝の一コマ。輝く路面。 こちらも朝。アルノ川沿い…

フィレンツェ 風景〜朝

フィレンツェの風景 僕はこの年、サンタ・マリア・デル・フィオーレの目の前の宿で過ごした。ロケーションは最高、宿のご主人も最高に人懐っこいおじいさんでした。 夜明け前に宿を出て、昼間とは打って変わって、嘘みたいに人のいないフィレンツェの街に繰…

フィレンツェ11 ミケランジェロ広場

ミケランジェロ広場 / Piazzale Michelangelo ヴェッキオ橋をわたり、アルノ川沿いを少し歩いてから小高い丘をひたすら登る。その頂はがらんとした広場となっていて、その中央にはポツンと凛々しくブロンズの像が立っていました。フィレンツェのシンボル、ミ…

フィレンツェ10 サンタクローチェ教会

サンタクローチェ教会 (Santa Croce) アルノルフォ・ディ・カンビオにより、1294から14世紀後半にかけ、フランチェスコ派の教会として建設されました。建築様式としてはイタリアゴシックに分類されるらしいのだけど、内部は尖塔アーチに支えられたバシリカ風…

フィレンツェとミケランジェロ

Firenze e Michelangelo Buonalotti 「神のごとき」ミケランジェロ ローマ、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の天井画「天地創造」を描きあげたあと、人々は彼のことをこう賞賛しました。その「神のごとき」手から数多くの彫刻、絵画、建築を世に残し、レオナ…

フィレンツェとレオナルド

"Uomo universale" 「万能の人」 人々は彼のことをこう呼びました。天文学、地質学、光学、力学、解剖学、数学、土木建築を極め、後世の様々な分野に影響を及ぼした「万能の人」はここフィレンツェで生まれ育ちました。 生涯のうち29歳までをフィレンツェで…

フィレンツェ小話 ルネサンスのはじまり

ルネサンス(Renaissance)。 学校の歴史の授業では「文芸復興」と言葉だけ教えられた。教科書に載っていたボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」がかすかに記憶にあるだけでその意味するところはまったく記憶に残っていない。 大人になって実際にイタリアを旅…

フィレンツェ 風景〜ヴェッキオ橋

ここもまたフィレンツェを象徴する場所。ルネサンス、ではないけれど、とても趣のあるフィレンツェの景色です。 アルノ川の静かな水面に写る回廊とヴェッキオ橋の姿です。 人で溢れるフィレンツェの中で、ここは静かにヴェッキオ橋を眺めて過ごせる貴重な場…