2024-01-01から1年間の記事一覧
僕はどこに行っても必ず早朝の街を散策します。観光地であればあるほど昼間の大混雑を避けてゆっくり落ち着いて街や建物を堪能するためで、この日も早朝にローマの街を歩いてトレヴィの泉に来ました。街全体が博物館のようで、観光客で溢れかえる昼間のロー…
僕が出会ったとても印象深い人物、天才的エンジニアであり、僕のかつての師匠であった人のお話です。 それは僕が30歳にさしかかるころ。エンジニアとして先にも後にも「この人を追い越すことはできそうもない」と思っていた通称カッパさん。 年齢は3つ先輩…
僕は今まで、たくさんの人々と仕事をしてきました。その中には大変お世話になった人、僕の仕事に、あるいは生き方そのものに大きく影響を与えてくれた人、共に戦ってくれた人もいれば、ちょっと残念だけど僕にとっては良い経験にはなった人など、様々な人々…
トレヴィの泉といえば、泉を背にしてコインを投げ入れることで願いが叶う、という有名な言い伝えがあります。一体いつからどうやって「コインを投げると願いが叶う」ことになったのかは、はっきりした記録がないようです。 313年に皇帝コンスタンティヌスに…
ローマの渋いレンガ色の建物に挟まれた路地を歩いて行くと、その隙間から目を覚ますような真っ白な壁が顔を出します。もう少し進んでいくと、それほど広くはない四角い空間が開けるんです。そしてその空間を囲うある一つの建物の壁には目の覚めるような白亜…
皇帝ハドリアヌス(在位117〜138年 CAESAR PVBLIVS AELIVS TRAIANVS HADRIANVS AVGVSTVS) 2000年ほど前の今日(138年7月10日)に皇帝ハドリアヌスが息を引き取りました。 五賢帝三人目の皇帝で、若い頃からギリシア文明に精通した文化人であり、政治、軍事か…
ある日の夕方の田園風景です。 風強く、雲がぐんぐん流れていく。そういう気持ちの良い空でした。 この土地は今が田植えの時期らしく、水田には小さな稲の苗が規則的に並んでいるのが見えます。 苗が植えられた水田に空と雲が写っています。 湾曲する稲の列…
「賽は投げられた(Alea jacta est!)」 とは、ルビコン川を渡ることを決断したカエサルが、自軍の将校や兵士たちに向かって放った言葉です。 辞書で調べると意味は「決断した後は実行あるのみ」とあります。 僕は6/30をもって今の会社を退職して、7/1から新し…
先日仕事を早めに切り上げて、近所の寺田倉庫でやってる企画展「感覚する構造展 後期 法隆寺から宇宙まで」をみてきました。今年1月にみた「感覚する構造展」の続編です。 最初に高さ4m近い法隆寺の構造再現模型がどーんと迎えてくれます。 その向こうに奈…
東京駅で電車を降りて外を歩いたのは五年ぶり?久しぶりに東京駅周辺を歩いてみました。 たまたま今日はこんな場所で食事をする機会をいただいて、食事と一緒に外の景色を堪能することができた、貴重な時間だったのです。 こんな角度から東京駅を眺めるのは…
ローマ史上「全盛期」と言われる期間、その最初を担ったのが皇帝トライアヌス(CAESAR MARCVS VLPIVS NERVA TRAIANVS AVGVSTVS)。 トライアヌスはヒスパニア(現スペイン)属州に生まれた史上初めての属州生まれの皇帝となりました。生まれなんぞどこだって、…
久しぶりに飛行機に乗り、空の上から空を眺めることができました。 そうしたら、過去に見たことのないような空の姿を見ることができました。 しばしの間、空の上から見た夕暮れ時の空の姿を。。。 何層にも重なる雲。 瀬戸内海の海と島々。 雲海 何も言葉が…
皇帝ティトゥス(TITVS FLAVIVS CAESAR VESPASIANVS AVGVSTVS)はフラヴィウス朝2代目の皇帝として、紀元79年に即位します。ところが、その即位とほぼ同時にヴェスヴィオ火山の噴火、ローマの大火、疫病という未曾有の災害に見舞われ、逃げることなく対策に挑…
古代ローマは王政から共和政、共和政から帝政へ長い歴史の中で国の政体を変えてきました。紀元前753年の建国から約250年は王政、そのあと約500年は共和政です。 ◾️王政から共和政へ 王政から共和政への変化は、王政の後半にいわゆる「暴君」があらわあれ、そ…
この日は朝から風が強く、風の強い日というのは空の様子から目が離せません。こう言う日の空は、ちょっとした隙にびっくりするような、息を飲むような姿を見せてくれるからです。そしてその姿はほんの一瞬で変わっていってしまう。 この日の昼休み、すこし港…
パンテオンから300mほど離れた場所に「コロンナ広場(Piazza Colonna)」があります。コロンナ(Colonna)とは「記念柱」のことで、ここには五賢帝最後の皇帝マルクス・アウレリウス(CAESAR MARCVS AVRELIVS ANTONINVS AVGVSTVS)の戦勝を記念して作られた美しい…
先日僕の会社に、小さな訪問者が現れた。 地上14階のオフィスに何故か、羽の色と模様がとても綺麗な蛾(が)。どうやってここまできたのか分からない。蛾だけど、放っておこう。せっかくこんなとこまで来たんだから、どうぞごゆっくり、好きなようにお過ごしく…
コロッセオの落成式が行われたのが紀元後80年。そこに至るまでには様々な紆余曲折がローマにはありました。 カエサルが帝政ローマをグランドデザインして、その後を継いだアウグストゥスがローマ帝国とパクスロマーナを完成させ、アウグストゥスはカエサルの…
僕の街はバラの街。最寄の駅前はバラの花壇が線路に沿うように配置され、ちょうどバラの花が咲き乱れている。そして近くの公園では、「ばらまつり」が開催されていた。僕自身ばらまつりのバラを見に行ったのは三年ぶりになる。 この土日にばらまつりは開催さ…
ナヴォナ広場のこの不思議な細長い形、その理由はかつてここが戦車競技場(スタジウム / Studium)だったことによるものです。ここはかつて「ドミティアヌス競技場(Stadium Domitiani)」と呼ばれていました。 この競技場はもともとはカエサルが計画し、アウグ…
今日は朝から風の強い一日でした。 どんよりした曇り空の一日と思いきや、夕方にさしかかる頃に空を見上げると、厚い雲はどこかへ去り、すっかり青空が広がっていることに気づきました。しかも北側の空には面白い雲がたくさん浮かんでいることがわかり、一気…
数あるローマの広場の中で、もっとも美しいと思われるのがここ「ナヴォナ広場(Piazza Navona)」。 パンテオンから300mほどの距離にある美しい広場です。 細長い広場はバロックの建物で囲まれ、3つの見事な噴水がバランスよく配置されています。写真の細長い…
ヨーロッパを歩き回っていた頃、僕の基本は一人旅でした。 何の気兼ねもなく好きなところで好きなだけ過ごす。いろいろな場所に行って、街並みや遺跡、建築や美術を堪能することが一人旅の最優先事項。食事に関しては、どちらかというと、いや、圧倒的に「後…
パンテオンは二千年もの間、ローマのこの場所に立ち続けています。長い長い時間を経てもなお、この場所に変わらずにあり続けることは、奇跡のような話であり、それはローマ人のエンジニアたちの叡智によって完成されたこと、ローマがキリスト教国家となって…
パンテオンのドームは古代ローマの建築家、エンジニアの手により多くの困難を克服して実現されました。そしてその後二千年もの間この場所に、姿を変えず存在しつづけている。すごいことだ。 僕は前回、ドーム天井実現の最大の問題だった「重量」を克服する手…
ローマ帝政初期に誕生し、やがてキリスト教と共にあったことで2千年の時を生き抜いたパンテオンは、古代ローマの技術の高さを今でも世界に伝え続けています。今回はパンテオンの構造について綴ります。 パンテオンの内部空間は 直径43.3m、高さ43.3mの広…
今年も桜の花が咲きました。 満開です。 桜の名所はそれぞれ素晴らしいですが、こんな近所の桜の木もそれはそれは素晴らしい。桜の木、桜の花にはそういう力がありますね。 桜の花が咲くととっても華やいだ気持ちになります。 白い花びらに朱の絵の具を一滴…
パンテオンの正面にはラテン語の碑文があります。 M·AGRIPPA·L·F·COS·TERTIVM·FECIT 意味は「ルキウスの息子マルクス・アグリッパが3度目の執政官のときに建てた」であり、パンテオンにはアグリッパがパンテオンを建てたことが大きく刻まれているのです。し…
パンテオンはローマ帝政初期に誕生し、その形をほぼそのまま維持している貴重な建物です。古代ローマの遺跡はほぼどれも半壊または全壊のような状態であることを考えると奇跡ともいえなくもない。コロッセオでも触れたように、本来ローマンコンクリートを使…
ローマの石畳の道を行くと、その先に神殿のファサードが現れました。太陽の光を反射する石畳のその向こう、何やらギリシアの神殿のような建物が目に飛び込んできます。二千年形を変えることなくこの場所にあり続ける建物「パンテオン (Pantheon)」です。いま…