cafe mare nostrum

旅行の記憶と何気ない日常を

小話

パリ小話 オルセー閉館間際の至福

僕は2018年に約20年ぶりにオルセーを訪ねた。そんな20年ぶりに行ったので、ゆっくりじっくりとオルセーを堪能したかったのだけど、その時はなんと入場受付締め切り直前、僕たちの後ろ一組が「本日最後の入場者」という状態でした。 「近年のパリは」、「この…

パリ小話 オルセーとゴッホ

ゴッホは一般的に後期印象派に分類されます。でも僕は昔からゴッホの絵を見るたびに思うことがありました。 この人を後期「印象派」という名前でくくるのは適切なのだろうか、と。。 確かに2年ほどのパリ時代にゴッホは印象派の画家たちと過ごして、彼らから…

パリ小話 オルセーとルノワール

印象派の画家で、僕の中でもっとも早くブレイクした画家、ピエール・オーギュスト・ルノアール(1841-1919)。 光と空気の揺らぎを描いたのがモネ、自らの心のゆらぎを通して日常世界を描いたのがゴッホならば、ルノアールは「人々の幸せの空気を描いた」画家…

パリ小話 オルセーとモネと印象派

86年の生涯で2000点もの絵画を製作したモネ(Cloude Monet 1840-1926)。 印象派の歴史の中で、その名前の由来となる絵「印象、日の出(1872)」を描き、最後まで生き残り絵を描き続けたモネは印象派そのもの。 ここではオルセーにあるモネの作品を通して、モネ…

ルーブル界隈 風景

ルーブル周辺はこれまた綺麗な景色が多いのです。 朝のセーヌ川。ポン・デ・ザール(Pont des Art 芸術橋)越しに見るポン・ヌフ(Pont Neuf 新橋)。静かな水面、細い鉄骨の橋の向こうに、石でできた古くて新しい橋を臨みます。 ポン・デ・ザールでの朝。。 朝…

パリ小話 パリ小史

パリの街をちょっと一休みして、ここで少しパリの歴史を、簡単に辿ってみましょう。 紀元前3世紀■パリの始まり ガリア人の一部族パリシイ族がシテ島に集落を作ったことがパリのはじまり。 紀元前1世紀■先進都市への変貌 古代ローマのユリウス・カエサルがガ…

ルーブル美術館8 ルーブル小話〜センスを育む

ルーブルの3つの至宝のうち、サモトラケのニケは1863年にギリシアはエーゲ海のサモトラケ島で、当時のフランス領事が発見したときは118ものカケラに過ぎなかったといいます。それを持ち帰り、復元、いまのような姿となってルーブルの至宝として大切に展示さ…

パリ小話 〜聖人ドニとの縁?

フランスの守護聖人サン・ドニ(聖ドニ Saint Denis)とは何か縁のようなものを感じます。なぜか。 「パリおいてけぼり事件」 初めてのパリ、僕がまだ学生だった頃です。僕はいとこ家族のヨーロッパ縦断旅行にくっついて初めてパリに来ました。僕は初めて見る…

パリ小話 自由の女神

自由の女神といえばアメリカはニューヨークですが、そもそもこの自由の女神像というのはフランスからアメリカへの贈り物。 1886年にアメリカ合衆国独立100周年を記念してフランスから寄贈されました。 フランスの彫刻家バルトルディによりデザインされ、建設…

シテ島小話 パリとスズランの花

5月1日はフランスでは「スズランの日」 スズランの花言葉は「再び幸せが訪れる(le retour de bonheur)」 16世紀、ヨーロッパでスズランの栽培が始まって間もないころ、1561年5月1日にフランス王シャルル9世がスズランの花束をプレゼントされました。幸せを…

シテ島小話 ノートル=ダム 朝のすすめ

ここシテ島はパリ発祥の地であり、ここノートルダムはフランスの信仰の中心。当然観光客も大勢押し寄せ、下手をすると入るために広場に長い列をつくり、やっとの思いで中に入っても大勢の人にまみれながら見て回ることになってしまう。 そこで僕は朝、ノート…

スイス小話 〜中立国スイスの生い立ち

スイスといえば、アルプスの壮大な自然とそこに広がるリゾート、高級時計、美食、チョコ。。なんだか華やかな側面を持ちながら、その一方で4つの公用語をもち、永世中立国という立場を貫き、かつては各地の紛争に傭兵を派遣し、現在もなおバチカンの衛兵を勤…

レマン湖畔小話 〜 トロシュナ村への道

当時、日本人と韓国人の多くの海外旅行者が手にする有名なガイドブックに"〇〇の歩き方"というのがありました。僕も愛用者の一人だった。 でもこのガイド、軽くて便利は便利なのだけど、そこに書いてあるすべてを信じると痛い目に遭うのです。地図の肝心なと…

レマン湖畔小話 〜オードリー・ヘプバーン

オードリーヘプバーン(Audrey Hepburn) 彼女がこの世を去ったのが1993年1月20日。僕はその4年後の1997年にへプバーンが後半生を過ごしたトロシュナ村へ、共同墓地にある彼女のお墓を訪ねる事ができました。 僕にとってオードリーヘプバーンという人はどうい…

ローザンヌ小話 〜空の気まぐれ

この年の旅行はとても天気に恵まれた。ほとんど雨にもあわず、雲に覆われることもなく過ごせた。こんなこと珍しい。 でもこの年唯一雨にあったのが、ここローザンヌ。それもほんの少しの間、通り雨程度。 最初こんな空だったローザンヌが、ノートル=ダムの向…

レマン湖畔小話 〜ニヨンから道草

僕はジュネーブやアルプスの観光客向けのリゾートとは違う、本当のスイスの姿を見たいと思ってニヨンから寄り道をすることにした。当時定番ガイドブック"〇〇の歩き方"に小さく紹介してあった「サンセルグ(St-Cergue)」という村に向かうことにした。 ニヨン…

ジュネーブ小話 〜スイス人のスイスとローマ

僕は最初にスイスに行った頃、ローマとスイスの繋がりは全くわかっていませんでした。 でもスイスを旅していると(というかヨーロッパ各地どこでも)大体ローマの何かに出会うのです。ローマの広場跡、ローマの浴場跡、神殿の円柱やその土台といった遺跡や碑文…

ジュネーブ 小話 〜スイス人のスイス

ジュネーブに行くとつい買いたくなってしまうのが、Victorinoxのアーミーナイフ。 ジュネーブの街にある古いVictorinoxの専門店で買うんです。 1997年に行った時に買ったのがこれ。だいぶ年期が入ってきました。 刺抜きと爪楊枝はどこかに飛んでいってしまっ…

ツェルマット小話 〜村のお祭り

ゴルナーグラートから、精も根も尽き果てへとへとになって歩いて戻ると、ツェルマットではお祭りの最中だった。 狭く短いメインストリートにはテーブルが並べられ、臨時カフェが作られて、みんな思い思いに過ごしている。すごい人出だ。 その一角に、ピアノ…

ツェルマット小話 〜氷河の果てまで

ゴルナーグラートからのトレッキングは天気が良ければどこを歩いてもマッターホルンが見えるはずだった。マッターホルンは朝に雲が無くても、昼頃には雲で隠れてしまうことが多いという。この日も例外ではなくて、朝あれほどはっきりくっきり見えたマッター…

BOL小話〜 雲中の雷鳴

クライネシャイデックで山を眺めるのを諦めて歩き始めて、しばらくすると、雨がいっそう激しくなってきた。霧に巻かれ多様に視界も悪く、まるで雲の中を行くようだ。時々谷に響き渡る雷の音は僕の背筋をピンと伸ばしてくれる。元々雷は嫌いじゃないし、稲妻…

ヨーロッパ旅行の今昔 3 〜お金編

2002年にEU圏内の通貨はほぼ全てユーロで統一された。 それ以前はヨーロッパの国々でそれぞれ独自の通貨がありました。 イギリスはポンド、ドイツのマルク、フランスフラン、スイスフラン、ベルギーフラン、オランダのギルダー、ギリシアのドラクマ、スペイ…

子供たちへ〜 雛人形のお話

娘が生まれて初めての雛祭りに備えて、雛人形を選びに行った時のお話です。 ****************************************************************************** 長女が7月に生まれて以来、僕の生活は一変した。何はともあれ娘中心の毎日は大変だけど、楽し…

ドイツの小話 〜ドイツ人と日本人

ある年イタリアのヴェネツィアからミュンヘンへの夜行列車での話。 僕の入った6人用コンパートメントは、ヴェネツィア観光帰りのドイツ人のおばあちゃん達4人グループと一緒でした。 乗り合わせたこのドイツのおばあちゃんたち、列車に乗り込むのもベッド…

ホーエンシュバンガウ小話6 〜 あの景色

「ホーエンシュバンガウのノイシュバンシュタイン城」 この長ったらしくて言いづらい、なかなか覚えられなかった名前。 ノイシュバンシュタイン城を知ったのは中学生の頃。まだ修学旅行先より遠くへ行ったことのなかった頃、ふと開いたヨーロッパ旅行のパン…

ホーエンシュバンガウ小話3〜 遭難です

トレッキング外伝 この年、秋に訪ねたホーエンシュバンガウは天気が悪かった。 この辺り一帯に低い雲が立ち込めて、ノイシュバンシュタインに雲がかぶさるほど。 紅葉に色づきはじめた木の向こうに見えるノイシュバンシュタイン城も塔のてっぺんは見えない。…

ホーエンシュバンガウ小話2〜 山上のろうそく

ホーエンシュバンガウを訪れる人には主に2つのタイプがあります。 ひとつはシュバンガウの山や湖などの自然を楽しむためにヨーロッパ各地から来る長期滞在者、もう一つはノイシュバンシュタイン城目当ての観光客です。人数としては圧倒的に後者が多く、その…

ホーエンシュバンガウ小話1 〜 ルートヴィヒ2世と白鳥の城

「私はホーエンシュバンガウの古い城の廃墟に新しい城を建てようと思う… そこは見つけうる限り最も美しい場所です」 これはノイシュバンシュタイン城の創造主である19世紀のバイエルン国王ルートヴィヒ2世(1845-1886)が、親交のあった作曲家ワーグナーに宛て…

ミュンヘン小話 1〜 オクトーバーフェスト

ある年、ヴェネツィアからミュンヘンへいく夜行列車で僕の入った6人用コンパートメントにはヴェネツィア観光帰りのドイツ人のおばあちゃん集団とミュンヘン在住の日本人が一人。 この偶然乗り合わせて日本人の方に、ミュンヘンに着いたらでオクトーバーフェ…

エジプト小話 〜クレオパトラについて

エジプト王朝の最後の王、クレオパトラ(7世)。 「世界3大美女のひとり」「絶世の美女」と称されるこの人物は、実際どんな女性だったのだろう? クレオパトラが生きた当時は、エジプトは地中海に面したアレクサンドリアを首都としていました。アレクサンドロ…